8月13日、Netlifyが「More models, more choice: Comparing 11 different AI models」と題した記事を公開した。同一のプロンプトを11種類のAIモデルに与え、生成されたWebサイトの品質とコスト(クレジット消費量)を横並びで比較した実験レポートだ。
結論から言えば「コストと品質は必ずしも比例しない」。最高コストのClaude Opus 5は1回のランで最大1,055クレジットを消費した一方、DeepSeek V4 Flash 0731の平均は2.4クレジット。差は400倍以上だが、高いモデルが常に優れた結果を出したとは言い切れない内容だ。
背景:Netlifyが複数AIモデルの切り替え環境を整備
Netlifyはフロントエンド開発者向けのホスティング・デプロイプラットフォームで、近年AI機能の統合を積極的に進めている。2026年に入り、OpenRouterとの提携によりAI Gateway経由で複数のAIモデルを切り替えて利用できるようになった。コーディングエージェント機能「Agent Runners」では、Kimi K3・GLM 5.2・DeepSeek V4といった新興モデルも選択肢に加わっている。
選択肢が増えたことで開発者が直面する疑問はシンプルだ——「どれを使えばいいのか?」。そこでNetlify自身が実験を行い、結果を公開した。
なお、記事中の「クレジット」はNetlifyプラットフォーム独自の課金単位だ。無料プランには月300クレジット、Personalプランには1,000クレジット、Proプランには3,000クレジットが含まれる。冒頭で触れた「452クレジット」「2.4クレジット」はこの単位での消費量である。
テスト設計:同一プロンプトを3回ずつ、デフォルト設定で
テストシナリオは3種類が設定された。本記事が扱うのは最初の1つだ:
- 近所のコーヒーショップの静的サイト(今回の対象)
- 複数ユーザーが共有するTo-Doリストアプリ(データベース必須)
- 食材から料理を提案するAIアプリ(AI Gateway利用)
使用したプロンプトはシンプルだ:
Build a one-page site for a neighbourhood coffee shop: opening hours, the address, a short menu and a photo. Nothing on it changes unless I edit it myself.
各モデルはデフォルト設定で3回ずつ実行された。結果はすべて専用の比較サイトで公開されており、誰でも確認できる。
モデル別のクレジット消費量
11モデルの平均クレジット消費量は以下の通りだ:
| モデル | 平均クレジット |
|---|---|
| Claude Opus 5 | 452(最大1,055) |
| Claude Sonnet 5 | 143 |
| GPT 5.6 Sol(低effort) | 141 |
| Gemini 3.6 Flash | 103 |
| Kimi K3 | 102 |
| Gemini 3.1 Pro | 53 |
| DeepSeek V4 Pro | 47 |
| GPT 5.6 Terra | 39 |
| GLM 5.2 | 27 |
| Kimi K2.7 Code | 19 |
| DeepSeek V4 Flash 0731 | 2.4 |
高コスト ≠ 高品質:モデル別の所感
Claude Opus 5:コストが最大で最もばらつく
3回のランで消費クレジットは253・249・1,055と大きくばらついた。1,055クレジットのランで生成されたサイトは、コーヒー豆をモチーフにしたスタンプ風の装飾、カスタムマップ、ダークモード対応など確かに作り込まれていた。ただし記事では「Opusはクレジットを過剰消費することが他モデルより頻繁に起きるが、それが良い結果を保証するわけではない」と明確に指摘している。クレジットに余裕がある場合のみ使うべきモデルという位置づけだ。
GPT 5.6 Sol(低effort):Sonnet 5と同コストで上回る場面も
GPT 5.6 Solをあえて「低effort」設定で動かすと、平均141クレジットとClaude Sonnet 5とほぼ同コストながら、デザインの基本的なセンスではSonnet 5を上回る結果が出た。effortの設定はユーザー側でも変更できる。
GPT 5.6 Terra:39クレジットで「異なるビジュアル言語」
SolからTerraへの格下げは品質の明確な低下というより、「異なるデザイン方向性を持つモデル」という印象だ。一部に画像抜けや低コントラストのテキストはあるが、39クレジットという低コストで方向性として興味深い結果が出た。記事では「OpusとTerraを両方走らせて、異なるデザイン方向性を比較してから選ぶ」という使い方を提案している。
Gemini 3.1 Pro:53クレジットで最低評価
プロンプトに書いてあることは実装したが、それだけだ。デザインや内容の豊かさはほぼなく、記事では「ライブサイトへのリンクを貼る価値すらない」とまで評されている。一方、同じGeminiでも3.6 Flashは103クレジットでコンテンツの充実度が大きく改善しており、別世代のモデルのような印象だ。
DeepSeek V4 Flash 0731:平均2.4クレジットの最安モデル
コスト面では断トツだが、品質もその価格帯相応だ。GLM 5.2(27クレジット)と合わせて、「複数回実行して使えるものを選ぶ」用途に向いているとされている。なおGLM 5.2はテキストのみのモデルのため、スクリーンショットをデザイン参考として入力できない点にも注意が必要だ。
Kimi K3:本来の設計とのミスマッチ
Kimi K3は長期エージェントタスク向けに設計されており、デザイン重視の静的サイト生成では本来の実力が出る設定ではない。記事でも「K3を正当に評価するには複雑なWebアプリ向けプロンプトが必要」と明言している。次のシナリオでの結果に注目すべきモデルだ。
実践的な示唆
- Opus 5は実行ごとのコストばらつきが大きい。クレジット上限に余裕がある場合のみ推奨。
- 迷ったらOpus 5とGPT 5.6 Terraの両方で走らせる。異なるデザイン方向性を得てから選ぶ使い方が有効だと記事は提案している。
- オープンモデルは複数回実行して選ぶ前提で使うと費用対効果が上がる。
コーヒーショップ以外の2シナリオ(データベースを使うTo-Doアプリ、AI Gatewayを活用するレシピアプリ)の比較はフォローアップ記事で公開予定だ。より複雑なタスクでモデル差がどう現れるかは、続報で明らかになる。
詳細はMore models, more choice: Comparing 11 different AI modelsを参照していただきたい。