8月11日、CNBCが「Riot Platforms strikes deal with Anthropic as bitcoin miners shift focus to AI infrastructure」と題した記事を公開した。ビットコイン専業(ピュアプレイ)路線を堅持してきた最大手格のRiot Platformsが、AIスタートアップ大手Anthropicと総額91億ドル・20年間のコンピュートリース契約を締結し、AIインフラ事業者への本格転換を宣言した。ビットコインマイニング業界の勢力図が大きく塗り替わる節目として、業界内外の注目を集めている。
91億ドル、20年契約の中身
Riot Platformsは、テキサス州ロックデールのデータセンターキャンパスにある191メガワットの電力容量をAnthropicにリースする。契約期間は20年で、期待される収益は91億ドル。さらに5年ずつ2回の延長オプションが行使されれば、最大161億ドルに達する。
RiotにはすでにAMD(Advanced Micro Devices)との既存契約もあり、Compass PointのアナリストMichael Donovanは「2テナント体制で、契約済みのデータセンター収益は98億ドル規模になる」と指摘している。
発表を受けてRiotの株価は一時20%超急騰したが、その後ほぼ全戻しとなった。元記事によれば、この急騰後の急落についての詳細な分析は示されていないが、大型長期契約発表直後にありがちな「期待先行→利確」の動きとも見られる。※編集部の考察:20年・91億ドルという契約規模は将来的には安定収益の裏付けになり得る一方、足元のマイニング事業の採算悪化懸念が先行して織り込まれた可能性もある。
なぜビットコインマイナーがAIインフラへ転換するのか
背景には、暗号資産価格の低迷とビットコインマイニングの構造的な収益悪化がある。
マイニング業界には4年ごとに「ビットコイン半減期(Halving)」が訪れ、新規発行量が半減するたびに採掘報酬が削られる。加えて競合増加と電気代・ハードウェアコストの上昇が重なると、ビットコイン価格が採掘コストを下回る「アンダーウォーター」状態に陥りやすくなる。この転換の動きは2022年の暗号資産急落時にも小規模事業者を中心に起きていた。
一方、AI向けコンピュートの需要は急拡大しており、電力容量・データセンター施設・電力会社との長期契約を持つマイナーは、「どのAIモデルが勝つか」に関係なく、インフラ供給者として安定した需要を取り込める立場にある。Riotのような大規模キャンパスを持つ事業者にとっては、高額かつ不安定なマイニング収益から、長期固定の賃料収入モデルへ転換することで、投資家向けの収益予測可能性も大きく向上する。
AnthropicがRiotを選んだ理由
元記事では、AnthropicがRiotを選定した具体的な理由については詳述されていないが、いくつかの構造的な文脈は読み取れる。AnthropicはClaudeシリーズを展開するAIスタートアップとして急速に事業規模を拡大しており、学習・推論インフラの確保は経営上の最優先課題の一つだ。RiotのロックデールキャンパスはERCOT管轄内で大容量グリッド接続を既に確保しており、新規に電力許認可を取得する手間とリードタイムを省ける点は、スピードを重視するAI企業にとって大きな魅力となる。20年という長期契約は、Anthropic側にとっても中長期のコンピュート確保を担保する意味を持つ。
テキサスの電力希少性が追い風に
Riotのロックデールキャンパスが持つグリッド接続済みの大容量電力は、それ自体が希少資産になりつつある。テキサス州の送電網を管轄するERCOT(Electric Reliability Council of Texas)が新規電力プロジェクトへの審査を厳格化しており、新たな大規模電力確保がより困難になっているためだ。
Donovanは「ERCOTの審査強化により投機的プロジェクトは遅れるが、テナント側の大容量電力への需要は減らない。むしろ許認可済み容量の希少性が戦略的価値を高める」と述べ、Riot株に対する買い推奨と目標株価29ドルを維持している。
業界の勢力図
マイニング各社のAIシフトへの対応はまちまちだ。Cipher Mining、Hut 8、Terawulfはすでに「ハイブリッドマイナー」として知られ、マイニングとAIインフラを並行して手がける。一方、RiotはMara HoldingsやCleanSparkとともに、これまでビットコイン専業(ピュアプレイ)路線を維持してきた。今回のAnthropicとの契約は、その最大手格のRiotが本格転換を宣言したという点で、業界の節目を示すものだ。残る専業マイナー各社が今後どのような戦略を選択するかにも、引き続き注目が集まるだろう。
詳細はRiot Platforms strikes deal with Anthropic as bitcoin miners shift focus to AI infrastructureを参照していただきたい。