8月8日、The Next Webが「Disney+ and ESPN are testing AI-powered search that lets users describe what they want in plain language」と題した記事を公開した。Disney+とESPNが自然言語やムードによるコンテンツ推薦・スポーツ情報回答を可能にするAI検索機能のベータテストを開始したという報告で、長年ストリーミング業界が抱える「スクロール疲れ」問題への新たなアプローチとして注目される。
「気分」で作品を探す——Disney+のAI検索
Disneyは水曜日、ESPNと**Disney+**の両プラットフォームでAI検索機能のテストを開始したと発表した。
Disney+側の機能が面白いのは、視聴履歴に依存しない点だ。通常クライムドラマを好む視聴者が「今日は気軽に笑えるものが見たい」と入力すれば、システムはその「今この瞬間のムード」に合わせたコンテンツを提示する。入力方法はテキスト、音声、あるいは提示されたプロンプトの選択と柔軟だ。
「何を見ればいいかわからない」という状態——いわゆるスクロール疲れ(decision fatigue)——は、ストリーミング業界が長年抱える課題である。視聴履歴ベースのレコメンドエンジンはすでに各社が持っているが、その日の気分や文脈を自然言語で伝えると適切な作品が出てくる仕組みは、また別のアプローチだ。従来のレコメンドが「あなたが過去に好んだもの」を起点にするのに対し、今回の機能は「あなたが今求めているもの」を起点にする点が本質的な差異といえる。
ESPNでは「スポーツ質問への回答」を実現
ESPNの機能は検索というよりQAシステムに近い。「プレーオフ1試合で最も多くのラッシングヤードを記録したのは誰か」のような問いかけに対して、リンクの羅列ではなく、数十年分のESPN記事・映像・リサーチデータ・内部ナレッジを参照した回答と関連コンテンツをセットで返す。
この設計は、従来のキーワード検索が「検索結果を渡す」ものだったのに対し、「答えを渡す」体験を目指している点で大きく異なる。スポーツファンが試合後に細かいスタッツや記録を調べる際、複数のページを渡り歩く必要がなくなる可能性がある。使われているLLMやインフラの詳細については、今回の発表では明らかにされていない。
いずれの機能も現時点では米国の一部ユーザー向けの限定ベータであり、正式な全体公開の日程は発表されていない。ベータテストの対象規模を示す具体的な数字も公表されていない段階だ。
ストリーミング各社のAI競争
Disneyが参入したのは、すでに動き出している競争だ。
- AmazonはPrime Videoを「Lighthouse」と呼ばれるプロジェクトでAIレコメンド中心に刷新中
- Netflixは生成AIを使ってコンテンツ過多の問題を解消しようとしている
各社が共通して取り組んでいる問題は同じで、「視聴者が何を見るか決めるまでに時間がかかりすぎ、最終的に何も見ずにやめてしまう」という現象だ。ムード・文脈・意図を理解するAI検索は、3社が同じ方向に張っている賭けである。
ただ、Disneyのバージョンは3社の中で最も初期段階にある。テスト結果次第で全ユーザーへの展開があるかどうかが決まる。今後の評価軸として、ベータユーザーの継続利用率やコンテンツ視聴完了率といった指標がカギになると見られるが、Disneyはそうした数値の公開には言及していない。
詳細はDisney+ and ESPN are testing AI-powered search that lets users describe what they want in plain languageを参照していただきたい。