8月8日、MakeUseOfが「6 file types you can upload to ChatGPT that are far more useful than PDFs」と題した記事を公開した。ChatGPTにファイルを渡すとき、多くの人がまずPDFに変換しようとする——だがその習慣こそが、ChatGPTに渡せる情報の質を自ら下げている原因かもしれない。PDFは印刷・表示用に固定レイアウトを保持するための形式であり、スプレッドシートをPDF化すると列の関係が失われ、数式は計算結果に置き換えられ、複数シートは消える。記事はその前提を崩し、元のファイル形式のままアップロードすることを推奨する。
PDFは「最後の手段」でいい
記事の著者は「PDFをアップロードする前に、元のファイル形式が何だったかを自問するようになった」と述べる。PDFへの変換が慣習化した背景には、「ChatGPTには何でもPDFで渡せばよい」という誤解がある。実際にはChatGPTのファイル解析機能はCSV・XLSX・JSONといった構造化形式に最適化されており、元のファイル形式のままアップロードした方が、ChatGPTにより多くの構造情報を渡せるケースがほとんどだ。
最も実用的なのはCSVとXLSX
CSV:単一テーブルの分析ならこれが最速
経費エクスポートのCSVをアップロードして「異常な請求と重複を検出して」と依頼したところ、他と比べて突出した**$290のCloudHost支払いと、$8.75のCity Cafeが2件重複している**ことを即座に特定できた。
CSVはシンプルさを強制する形式でもある。先頭行に明確なヘッダー、以降は1行1レコード、という構造がChatGPTの解析精度を高める。ブランク行、結合セル、小計行はエクスポート前に除去しておくのが望ましい。数式や複数シートは失われるが、テキストエディタで直接確認できる透明性が担保される。
XLSX:複数シートを持つワークブックごと渡せる
Summary・Transactions・Labelsの3シートからなるワークブックをそのままアップロードすると、ChatGPTは全3シートの構造を認識し、サマリーシートから計算済みの合計・平均・最大値を読み取った。
PDFに変換した場合、シートの境界は消え、数式は表示値だけになる。XLSXはその構造をそのまま保持できる点が優位だ。ただし、フィルタ操作や直接のセル編集など日常的な作業はExcelの方が速い場面も多い。OpenAIも推奨している通り、関係のないテーブルや空白の区切り行、画像内の数値は分析前に整理しておくのが基本だ。
残り4形式の要点
JSON:ネスト構造をそのまま解析
APIレスポンスや設定ファイル、診断ログなど、行列に収まらないデータに強い。2台のデバイス・位置情報・タイムスタンプ付き計測値・エラーを含むテストファイルで試したところ、タイムアウトエラーが2台目のデバイスのどの読み取りに紐付くかを正確にトレースした。プログラマでなくても「このスキーマを平易な日本語で説明して」「欠けているフィールドを列挙して」といった使い方ができる。アップロード前にJSONのバリデーションは必須で、カンマ1つの欠落でも構造が崩れる。
DOCX:文書の構造を保ったまま編集依頼できる
スタイル付き見出し・表・推奨事項・埋め込みスクリーンショットを含むサービスレポートをアップロードしたところ、セクション順序・表の値・推奨事項を正確に取得できた。コメントやトラックチェンジ、組み込みオブジェクトは必ずしも読み取れるとは限らない点に注意が必要だ。
埋め込み画像の扱いについては注意が必要だ。OpenAIの現行ガイダンスでは文書内の埋め込み画像はサポート対象外とされている。一方、記事のテストではDOCX内のスクリーンショットからエラーコードや同期時刻まで読み取れたとも報告されている。これは矛盾しているように見えるが、「公式サポート対象外=必ず失敗する」ではなく、「結果が保証されない」という意味だと理解するのが適切だ。実際に読み取れるケースもあれば、無視されるケースもある——だからこそ、重要な画像は別途アップロードする方が確実だという結論になる。
PPTX:スライド間の論理構造を点検できる
4スライドの運用レビューデッキで試したところ、スライドタイトルの順序を正確にマップし、請求カバレッジの推奨が3枚目と最終スライドに重複していることを指摘した。「3枚目に根拠を、最終スライドに決定を置く」という具体的な修正方針が得られた。スライドの内容確認やデッキ全体の論理整合チェックはChatGPTが得意とする領域で、発表前の構成レビューに有効だ。なお、アニメーションやトランジション設定は解析対象外となる点は留意しておきたい。
PNG:スクリーンショットをそのまま渡す
エラー画面や設定ページなど、画像としてしか存在しないものはPNGで直接アップロードが有効だ。クラウド同期エラーのモック画面でテストしたところ、エラーコード・直近の成功した同期時刻・診断ID・画面下部のビルド番号まで読み取った。手動での転記なしに、トラブルシューティング用のメモを即座に作成できる。テキストが多く含まれる画面ほど精度が高く、グラフや図解など視覚的情報が主体のスクリーンショットは解析結果にばらつきが出やすい。
まとめ
| ファイル形式 | 向いているケース |
|---|---|
| CSV | 単一テーブルの分析・異常検出 |
| XLSX | 複数シートのワークブック分析 |
| JSON | ネスト構造のデータ・API応答 |
| DOCX | 文書の編集・要約・トーン変更 |
| PPTX | スライド構造の点検・論理確認 |
| PNG | エラー画面・設定ページの解析 |
PDFは「どうしても元ファイルが入手できない場合」の選択肢として位置づけるのが現実的だ。元のファイル形式を保持したままアップロードするだけで、ChatGPTが受け取る情報の質は大きく変わる。
詳細は6 file types you can upload to ChatGPT that are far more useful than PDFsを参照していただきたい。