8月4日、Efosa Udinmwenが「OpenAI's giant Ohio AI project could exceed $500 billion in investments」と題した記事を公開した。赤字続きのOpenAIに対し、なぜNvidiaが2,500億ドル規模の保証を引き受けようとするのか——その答えは「数年先まで安定したチップ需要を確保できる」という実利にある。この逆説的な利害構造が、5,000億ドル超とも言われるオハイオ州データセンタープロジェクトの核心だ。
NvidiaがOpenAIに2,500億ドルの保証を検討
Wall Street Journalの報道によると、Nvidiaはオハイオ州南部に建設予定のOpenAIデータセンターに対し、約2,500億ドル規模の資金調達保証を交渉中だ。この保証はデータセンターのリース費用と負債融資をカバーするもので、施設内に設置されるNvidiaチップの費用は含まれない点に注意が必要だ。
当該施設は容量10ギガワット(GW)という規模で、SoftBankの子会社であるSB Energyが開発を進めている。10GWという数字は現在世界最大級のデータセンターと比較しても桁違いの規模であり、単純換算で数百万台規模のGPUサーバーを稼働させられる電力量に相当する。
チップ購入分については別途交渉が進んでおり、こちらは最大3,500億ドルに達する見込みだ。これら全体を合算すると、プロジェクト総額は5,000億ドル超になると見られている。
資金構造の複雑さ
このプロジェクトの資金調達は単純な民間投資ではなく、複数の主体が絡み合う構造になっている。
- 民間ファイナンス保証: Nvidiaによるリースおよびチップ購入の資金調達保証。OpenAIに資金を直接拠出するのではなく、OpenAI側が外部から資金を調達する際の信用補完を担う形だ
- 政府関与と電力調達: 施設への電力供給は米国政府が管理し、日本との貿易協定を通じて別途調達される。日本は天然ガス発電所への330億ドルの投資を約束している。この発電所で生み出された電力は米国の送電網を経由してオハイオ州の施設に供給される見通しであり、エネルギー調達の段階から国際的な取り決めが絡む構造になっている
- 電力配分の決定権: 米国商務長官のHoward Lutnick氏が、どの企業が電力へのアクセスを得られるかを決める役割を担うと報じられている
第一フェーズは2028年完成予定で、10GW中の約800メガワット分が稼働する見込みだ。
OpenAIの財務状況という不安要素
OpenAIの企業評価額は8,520億ドルと、未上場企業として世界最高水準に位置しているが、収益性は伴っていない。
株主向け資料によれば、2026年第1四半期だけで純損失は約213億ドルに上った。投資家向けワラントの再評価に伴う非現金費用を除いた営業損失でも約93億ドルだ。内部予測では2026年通年で約140億ドルの損失、2028年までの累積損失は440億ドルに達するとされている。
こうした財務状況下で、なぜNvidiaが巨額の保証を引き受けようとしているか——元記事はその構図を明確に示している。Nvidiaにとっては、数年先まで安定したチップ需要を確保できるという実利がある。OpenAIにとっては、現在依存しているMicrosoft・Amazon・Oracleのクラウドから脱却し、自社でコンピューティングインフラを保有するという戦略的転換を意味する。
なお、同施設にはAnthropicやMicrosoft、Googleも関心を示しているとされており、現時点で各社間の商業契約は未締結だ。
規模感の参照点
元記事が参照する別報道によれば、AIブームへの投資規模は既にアポロ計画・国際宇宙ステーション・マンハッタン計画の合計を上回るとも指摘されている。5,000億ドルという数字はその象徴的な一例だ。
ただし、交渉はまだ継続中であり、最終的な商業合意には至っていない点には注意が必要だ。
詳細はOpenAI's giant Ohio AI project could exceed $500 billion in investmentsを参照していただきたい。