8月4日、CBS Newsが「Trump administration finalizes AI framework, official says」と題した記事を公開した。規制ではなく「任意協力」を建前としながらも、政府が最先端AIモデルに公開前30日間アクセスできる——このフレームワークが持つ逆説的な緊張感が、今回の発表の核心にある。AI企業は参加を強制されないが、政府は最長1か月にわたりモデルを先行評価できる仕組みが制度化される。
政府へのモデル事前提供、最長30日間
トランプ政権は、新たなAIモデルを評価するための自発的(ボランタリー)フレームワークを最終化した。ホワイトハウスは同日(現地時間8月5日火曜日)、業界パートナーとの会合を開催する予定だ。ただしホワイトハウスの当局者はフレームワークの具体的な内容については明らかにしていない。
このフレームワークは、トランプ大統領が**2026年6月に署名した大統領令**に基づくもの。大統領令はAIのセキュリティ強化とイノベーション促進を目的とし、AI企業が強力な新モデルを一般公開する前に政府へ自発的に共有するプログラムの設立を命じていた。
具体的には、いわゆる「フロンティアモデル」(現時点での技術水準の最前線に位置する最先端のAIシステム)を対象に、公開の最長30日前まで連邦政府がアクセスできる仕組みが設けられる。
規制ではなく「任意協力」を強調
大統領令は、連邦政府が「過度に負担の重い規制でイノベーションを阻害したくない」と明記している。フレームワークへの参加はあくまで任意であり、AI企業が技術開発を進めることを禁じるものではないとも強調されている。
こうした姿勢は、バイデン前政権が2023年に署名したAI安全に関する大統領令(事業者に安全性評価結果の政府への報告を義務付ける内容を含む)と対比される。トランプ政権は規制色を薄め、産業界との自発的な協力関係を前面に出す姿勢を取っている。
「任意」を強調しつつも政府が事前アクセスできるという構造は、実質的にどの程度の拘束力を持つのかという点で、業界から注目されることになる。参加しない企業が政府調達や規制対応で不利を被るか否かは、フレームワークの詳細が公開されて初めて明らかになる問題だ。
サイバーセキュリティリスクが背景に
フレームワーク策定の背景には、フロンティアモデルが持つサイバー攻撃への悪用リスクがある。最先端のAIは、これまで見落とされてきたソフトウェアの脆弱性を発見する能力を持つとされており、その能力が悪意ある目的に転用される懸念が高まっている。
大統領令には、AIの利用に向けて連邦政府のサイバーセキュリティシステムを強化するとの方針も盛り込まれており、政府側としては事前アクセスを通じてリスク評価と防衛準備を並行して進める狙いがある。
詳細はまだ非公開
ホワイトハウスが業界との会合を開く一方、フレームワークの具体的な内容は現時点で公表されていない。Axiosが最初にフレームワーク最終化を報じたが、非公開の形で議論が進んでいた経緯もある。参加要件・評価プロセス・政府内での取り扱いルールといった実務上の詳細が明かされるのは、業界会合以降になる見通しだ。
詳細はTrump administration finalizes AI framework, official saysを参照していただきたい。