8月3日、Hexmos Journalが「How to Create Your Own AI Second Brain with Hermes That Works 24/7」と題した記事を公開した。ブラウザのタブを閉じれば記憶も消え、スケジュール実行もできない——そんな既存AIアシスタントの限界を、オープンソースのパーソナルAIエージェント「Hermes」はOracle Cloudの無料枠とTelegramを組み合わせることで突破しようとしている。
チャットウィンドウの外で動くAIエージェント
ChatGPTをはじめとするAIアシスタントの多くは、ブラウザのタブを閉じれば終わりだ。記憶は引き継がれず、スケジュール実行もできない。
Hermes Agentは、Nous Researchが開発するオープンソースのパーソナルAIエージェントで、この制約を突破しようとしている。単なるチャットボットとは異なり、ツールを呼び出し、セッションをまたいで情報を記憶し、スケジュールタスクを自律的に実行する。
※なお、Hermes Agent公式サイトのURLは元記事に記載のNous Researchの公式リソースとして参照しているが、元記事本文には直接記載されていないため、参考情報として掲載している。
動作の基本的な流れはこうだ。
- ユーザーがHermesにタスクを与える
- HermesがAIモデルにタスクを送る
- モデルが何をすべきかを判断する
- Hermesがアクセス可能なツールを使ってアクションを実行する
Hermesのアーキテクチャは、エージェントのコア部分(記憶管理・ツール呼び出し・スケジューリング)をローカルまたはクラウドのサーバー上で動かしつつ、AIモデルの推論自体は設定で選択したプロバイダーに委ねる構成になっている。今回の記事では、OpenRouter経由で無料モデルを利用する例が紹介されており、AIモデルへのリクエストはOpenRouter等の外部APIを経由する点には注意が必要だ。「セルフホスト」とはあくまでエージェントの制御ロジックをクラウドサーバー上に置くという意味であり、推論自体の完全なオンプレミス化とは異なる。
今回の記事では、これをOracle Cloudの無料枠にデプロイし、Telegramから操作できる状態に仕上げるまでの手順が解説されている。
無料で動かす:Oracle Cloud × Telegram
ローカル実行でも試せるが、PCを落としても動き続けるという点でクラウドホストに分がある。記事ではOracle Cloudの永久無料枠(Always Free)を使う。
使用するインスタンス仕様は以下のとおり。
- シェイプ: VM.Standard.E2.1.Micro(無料枠)
- スペック: 1 OCPU、1 GB RAM
- OS: Canonical Ubuntu 24.04 LTS
- ストレージ: 200 GB(任意で拡張)
SSHキーを生成・保存してインスタンスを立ち上げ、パブリックIPを割り当てたらサーバーに接続する。
ssh -i <path-to-private-key> ubuntu@<public-ip>
必要パッケージをインストール後、Hermesのインストールは1コマンドで完了する。
curl -fsSL https://hermes-agent.nousresearch.com/install.sh | bash
source ~/.bashrc
セットアップウィザードが起動し、以下の項目を対話形式で設定する。
- プラン選択(Freeプランで可)
- 使用する言語モデル(元記事では無料モデルとして
poolside/laguna-s-2.1:freeを選択する例が示されている。OpenRouter上のモデル識別子であり、利用可否は時期によって変わる可能性がある) - 有効にするツールの選択
- ターミナルプロバイダー(
Localを選択) - メッセージングプラットフォームの連携(Telegramを選択)
Telegram連携はQRコードまたはリンクをスマートフォンで開く形式で、ボットを作成・接続する。設定が完了したら以下を実行するだけだ。
hermes gateway run
これでTelegramからエージェントにアクセスできる状態になる。
実際に何ができるか:2つの使用例
記事を「あとで読む」から解放する
気になった記事を見つけたが今は読む時間がない、というシーンでHermesに任せる使い方が紹介されている。
ブックマークして忘れるのではなく、Hermesに記事のURLを送り「定期的にリマインドして」と伝えるだけで、毎週月曜と木曜に通知するといったスケジュールを自動で提案してくる。さらに「少しずつ要約してほしい」と依頼することも可能で、読み進めるきっかけを作る用途にも使える。会話形式なのでスケジュール変更もチャットで完結する。
GitHub Trendingの自動チェック
毎日GitHubのトレンドを手動で確認するのが面倒なら、Hermesに丸投げできる。「毎日トレンドのAIリポジトリを1件Telegramに送ってほしい」と伝えれば、以降は自分が何もしなくても毎日通知が届く。
この2例が示しているのは、「毎日同じことを繰り返している」か「あとで思い出したいことがある」と気づいたタイミングが、エージェントへの委譲チャンスだという考え方だ。
整理:Hermesでできること
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 記憶 | セッションをまたいで情報を保持 |
| ツール実行 | 環境へのアクセス、外部サービス連携 |
| スケジュール | 自然言語でのタスクスケジューリング |
| 通知 | タスク完了時にTelegramへメッセージ送信 |
| 自律実行 | PCオフ中も継続動作 |
ツール拡張性についても言及しておきたい。Hermesはツールベースのアーキテクチャを採用しており、ウィザードで有効にするツールを選択できる。元記事ではWebアクセスやファイル操作などの基本ツールが例示されており、必要に応じて有効化する機能を絞り込める構成になっている。オープンソースプロジェクトとしてGitHubリポジトリも公開されており、コードベースを確認したいエンジニアは参照できる。
AIモデルの推論はOpenRouter等の外部APIを経由するため、完全にデータをオンプレミスに閉じたい用途には向かないが、エージェントのロジックや記憶・スケジュール管理をサーバー上でコントロールできる点が、クラウドサービス完結型のAIアシスタントとの差別化になっている。
詳細はHow to Create Your Own AI Second Brain with Hermes That Works 24/7を参照していただきたい。