8月3日、The Decoderが「China's MiniMax H3 is the first open model to top an AI video ranking」と題した記事を公開した。中国のAIスタートアップMiniMaxがリリースした動画生成モデル「H3」が、オープンウェイトモデルとして初めてAI動画ランキングの首位に立った。動画生成AIの分野ではOpenAIのSora、Google、Runwayといったクローズドモデルが性能をリードし続けてきたが、H3はそのすべてを抑えてトップの座を獲得した。オープンモデルがこの分野で頂点に立つのは史上初めてのことだ。
オープンモデルが動画生成AIの頂点へ
MiniMaxは、テキスト・音声・画像・動画を横断するマルチモーダルAIを開発する中国のスタートアップだ。2021年の創業以来、大規模言語モデルや音声合成、動画生成など幅広い領域でモデルをリリースしており、2025年1月には大規模マルチモーダルモデル「MiniMax-01」を公開している。H3はその動画生成部門における最新の成果にあたる。
AI動画モデルの性能を継続的に評価・比較している分析機関Artificial Analysisによれば、H3は「Video Editing(動画編集)」カテゴリで1位、「Text-to-Video(テキストから動画生成)」で2位、「Image-to-Video(画像から動画生成)」で3位にランクインした。
なお、Artificial Analysisは複数のAIモデルを横断的にベンチマーク評価するアナリティクス組織で、LLMや画像・動画生成モデルのランキングを定期公開していることで広く参照されている。オープンウェイトモデルが同ランキングで首位を獲得したのはこれが初めてだ。
ここで補足しておきたいのは、記事タイトルが指す「ランキング首位」の根拠についてだ。H3が「Video Editing」カテゴリで1位を獲得したことが、このランキング上で最も高い評価に相当するとArtificial Analysisは位置付けている。Text-to-VideoやImage-to-Videoでも上位に食い込んでおり、総合的な評価としてオープンモデルで最高位に立ったという文脈での「首位」表現だ。
H3の仕様と特徴
H3は330億パラメータのマルチモーダルモデルで、テキスト・画像・動画・音声を同時に入力として扱える。生成できるクリップの長さは4〜15秒で、ステレオ音声も含めて出力される。
モデルカード(HuggingFace)によると、1つのプロンプトに対して以下の参照素材を含めることができる。
- 参照画像:最大9枚
- 動画クリップ:最大3本
- 音声クリップ:最大3本
オープンウェイトであるため、カスタム映像・キャラクター・特定のビジュアルスタイルに対するファインチューニングも可能だ。クローズドモデルでは原則できないこうした細粒度のカスタマイズが、H3が注目される大きな理由のひとつと言える。
クローズドな部分も残る
ただし、すべてが公開されているわけではない。以下の2つのコンポーネントは非公開のままだ。
- 2K解像度モジュール:ローカル実行(ComfyUI使用)では最大768pにとどまる。
- H3-Context-IR:プロンプトや参照素材を構造化された中間フォーマットに変換する機能。利用者はMiniMaxが公開しているプロンプトガイドを参照しながら、自力でコンテキスト整形を行う必要がある。
また、ライセンス面での制約として、商用利用は年間収益2,000万ドル未満の企業に限定されている。大規模な商業展開を検討する場合は注意が必要だ。
同日にByteDanceもクローズドモデルを投入
H3のリリースと同日、ByteDanceもクローズドモデル「Seedance 2.5」を公開した。こちらは最大30秒のクリップをビルトインの音声付きで生成できる。H3の最大15秒と比べると、長尺動画の生成では優位にある。オープンかクローズドか、という軸と合わせて、用途に応じた選択が求められる。中国勢が同日に相次いで有力モデルを投入した格好となり、動画生成AIをめぐる競争の激化が改めて浮き彫りになった。
詳細はChina's MiniMax H3 is the first open model to top an AI video rankingを参照していただきたい。