8月1日、The Decoderが「ByteDance's Seedance 2.5 generates 30-second video clips with built-in audio」と題した記事を公開した。ByteDanceが新たにリリースした動画AIモデル「Seedance 2.5」は、映像と音声を1回の推論で同時生成し、最大30秒のクリップを出力できる。前バージョンのSeedance 2.0はAI性能評価サイトArtificial Analysisの「音声付き画像→動画」リーダーボードでトップを獲得しており、『District 9』監督のニール・ブロムカンプが13分のAI生成短編映画「Nightborne」をSeedance 2.0で制作・公開したことでも注目を集めた。Seedance 2.5はその後継にあたる。
最大30秒、音声込みで一括生成
Seedance 2.5の最大の特徴は、映像と音声を1回の推論で同時生成し、最大30秒のクリップを出力できる点だ。さらに、そのクリップを複数回延長することも可能とされている。
競合と比較すると、GoogleのGemini Omni Flashが音声付き動画生成で出力できるのは約10秒にとどまる。30秒という上限はこの比較において3倍の差となる。なお、動画生成AIの領域ではOpenAIのSoraやKuaishouのKlingなども競合として存在するが、音声を映像と同時に一括生成する機能の有無や出力時間の上限は各モデルで異なる。Seedance 2.5が訴求するのは、「映像+音声を単一推論で30秒」という組み合わせの実用性だ。
入力として使えるのは最大30枚の画像、10本の動画クリップ、10個の音声ファイル。複数の参照素材を組み合わせることで、複数キャラクターや多様なカメラアングルを含むシーンを構成できる。テクスチャ・ライティング・肌の質感といった映像品質も前バージョンから改善されているとされている。
「一本のパイプライン」で完結する制作フロー
ByteDanceはSeedance 2.5の性能を示すため、このモデルだけで制作した短編映像を公開している。広告やビジュアルコンテンツの制作において、個別のクリップを後処理でつなぎ合わせる従来の工程を省き、単一パイプラインで完結できる点が実用上の利点として挙げられている。
ただし、タイトルにも掲げた「後処理なしで広告制作が完結するか」という問いに対し、元記事は明確な答えを与えているわけではない。30秒・音声込み・複数素材の参照という仕様は、ポストプロダクションの工数を削減する条件として十分に機能しうる。一方で、実際の広告制作でどこまで後処理が省略できるかは、用途・品質基準・ブランドガイドラインへの適合度に左右される部分も大きい。現時点ではByteによるデモ映像が主な根拠であり、外部での検証はこれからの段階だ。
前バージョンの実績と評価
前バージョンのSeedance 2.0は、AI性能評価サイトArtificial Analysisの「音声付き画像→動画(Image-to-Video with Audio)」部門のリーダーボードで首位を獲得している。Artificial Analysisは複数のAIモデルを統一基準で横断比較する独立評価機関として知られており、その首位という評価はSeedanceシリーズの技術的な水準を示す一つの指標となっている。
また、南アフリカ出身の映画監督ニール・ブロムカンプ(『District 9』『Elysium』)がSeedance 2.0を用いて制作した13分のAI生成短編映画「Nightborne」は、長尺AI映像作品の一例として広く注目された。こうした実績が、Seedance 2.5への期待値を下支えしている。
提供形態と関連サービス
Seedance 2.5は現在、ByteDanceが中国向けに展開するAIクリエイティブサービス「Jimeng AI(剪映AIの後継にあたるAI生成特化プロダクト)」および、同社のAIアシスタント「Doubao(豆包)」のプロ版である「Doubao Pro」で利用可能となっている。いずれも中国国内向けのサービスであるため、日本を含む海外ユーザーにとっては現時点で直接アクセスしにくい側面がある。
開発者・企業向けのAPI経由アクセスについては、ByteDanceの海外向けクラウドプラットフォーム「**BytePlus ModelArk**」を通じて後日提供予定とされている。BytePlus ModelArkはByteDanceが国際市場向けに展開するAIモデルAPIサービスで、Seedance系モデルのほか複数のAIモデルをAPIとして提供している。
詳細はByteDance's Seedance 2.5 generates 30-second video clips with built-in audioを参照していただきたい。