7月31日、The Next Webが「AI search is fragmenting, ageing and filling with ads」と題した記事を公開した。AI検索市場が急成長しながら断片化・広告化・高齢化という三つの変質を同時に起こしているという、Similarwebの2026 Generative AI Landscapeレポートの分析を紹介している。
ChatGPTのシェアが低下、群雄割拠の時代へ
1年前、AI検索はChatGPT一択だった。しかしSimilarwebの最新レポートは、その構図が崩れつつあることを示している。
2025年6月〜2026年5月の期間、生成AIサイトへの月間訪問数は世界で95億回に達し、前年比70%増。アプリのダウンロード数も44億件と58%増だ。驚くべきは成長の規模より、その分散ぶりにある。
ChatGPTは依然として最大のAIサイトだが、Gemini・Claude・Perplexity・DeepSeekがそれぞれ独自のユーザー層を取り込んだことで、シェアは着実に低下している。
米国の月間アクティブユーザー数(前年比)の伸びは以下の通りだ:
| サービス | 成長率 |
|---|---|
| Meta AI | +435% |
| Claude | +349% |
| Grok | +117% |
| Perplexity | +94% |
| ChatGPT | +87% |
| Gemini | +31% |
| Microsoft 365 Copilot | −31% |
| DeepSeek | −23% |
Meta AIとClaudeの急伸が目を引く。Meta AIはWhatsApp・Instagram・Facebook Messengerへの統合によって既存ユーザーベースへのリーチを一気に拡大しており、Claudeは企業向けAPIや開発者コミュニティでの評価を背景に伸びている。
一方、MicrosoftのCopilotは逆行している。Microsoft 365 Copilotはこれまで同社のオフィス製品群に深く統合されてきたが、近年は企業向けサブスクリプションの体系やライセンス設計を見直す動きがあり、専用のウェブ窓口としての利用が減少したとみられる。DeepSeekについては、中国発のサービスであることへの地政学的懸念から、欧米の一部企業・政府機関での利用が制限されており、それがMAU減少の背景にあると考えられる。
Perplexityの伸び(+94%)も注目に値する。同サービスは「回答エンジン」を標榜し、ウェブ検索の結果を引用付きで要約するという差別化されたUXを提供している。ChatGPTやGeminiとは異なり、情報の出典を前面に出すアプローチが、信頼性を重視するユーザー層に支持されている格好だ。
Googleはオープンウェブを内側から締め出す
GoogleはAI Overviewsを米国での検索結果のほぼ4割に表示させており、会話型の「AI Mode」へのアクセスも増加傾向にある。
この動きが外部サイトへのトラフィックを圧迫している。主要カテゴリの中でニュースサイトへのアクセスだけが5%減と唯一の縮小を記録した(同期間のAIチャットボットは57%増)。ただし、ユーザーがGoogleを離れているわけではない。ChatGPTユーザーの**95%**が依然としてGoogleも利用している。
ユーザー層の高齢化と「AI離れ」の若者
ユーザー構造も変化している。2024年5月時点では生成AIユーザーの**61%が35歳未満だった。2026年5月には50%**まで低下し、45歳以上への広がりが顕著だ。レポートはこれを「親世代がサインアップする」段階、すなわち本格的な定着の証と位置づけている。
一方で、若い層の一部はAI検索を意図的に避けている。DuckDuckGoのAIなし検索では、18〜24歳のユーザーが**33%**を占める(ウェブ全体の同年齢層比率は16%)。
広告が入り始めた——市場成熟の最大のシグナル
最も注目すべき変化は広告の流入だ。米国において、ChatGPTの会話に広告が含まれる割合は、2026年5月の**14%からわずか1ヶ月後の6月には26%**へ急上昇した。
広告の特徴として:
- 約3分の2は2回目以降のプロンプトに表示される
- 広告が出ても**65%**のユーザーがチャットを継続する
- クリック率は**0.50%**と低水準
- 主な広告主はResume.io、Monday.com、Framerなど
クリック率の低さや広告主の顔ぶれは、まだ黎明期の雰囲気を残しているが、方向性は明確だ。
AIがブランド推薦エンジンになる
マーケティング観点では、AIからの流入トラフィックの急増が重要だ。前年比でマーケットプレイス系サイトへのAI経由トラフィックが**+312%、ニュースが+278%、旅行が+237%。ChatGPTの回答でウェブソースが引用される割合も、1年で5倍以上の6.8%**に増加した。
AIが推薦したブランドへの訪問頻度は競合の2〜4倍というデータもある。この文脈で注目されているのが、GEO(Generative Engine Optimization)と呼ばれる概念だ。従来のSEO(検索エンジン最適化)がGoogleのクローラーに向けてページを最適化する手法であるのに対し、GEOはChatGPTやPerplexityといった生成AIの回答に自社コンテンツを引用・推薦させることを目的とする。検索の主戦場がキーワードマッチから意味的な文脈理解へと移行するなかで、SEOとは異なるアプローチが求められつつある。
実際、AIからの流入の**58.8%**はホームページに着地するが、ChatGPTが実際に引用するページは2〜3階層深いサブディレクトリにあることが多い。つまり、AIに引用されるためには、深部のコンテンツの質と構造化が鍵を握る。
Similarwebのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)であるバルフ・トレダノ氏は「発見はもはや単一の目的地に縛られていない」と述べている。SEOが「検索結果1位を取る」ゲームだったとすれば、GEO時代の競争はAIの回答の中に自然な形で織り込まれることを目指すゲームへと変わりつつある。
なお、本レポートはSimilarwebによるウェブ・アプリのトラフィック推計値であり、API経由の利用や他アプリへの組み込み型AIは含まれていない点は留意が必要だ。
詳細はAI search is fragmenting, ageing and filling with adsを参照していただきたい。