8月1日、PYMNTSが「Amazon Completes $50 Billion Investment in OpenAI」と題した記事を公開した。Amazonが総額500億ドルのOpenAIへの投資を完了したことを報じており、当初課されていたとされる「AGI達成」という条件が事実上棚上げされた可能性が業界内で注目を集めている。
AGI達成が条件だった可能性
今回の投資完了において最も注目すべき点は、投資の「条件」をめぐる経緯だ。
2月の発表時点でAmazonは、最初の150億ドルに続く残りの350億ドルについて、「一定の条件が満たされた場合」に数か月以内に投資すると説明していた。
The Informationの2月時点の報道によれば、その条件にはOpenAIのIPO(新規株式公開)の実施、もしくはAGI(人工汎用知能)の達成が含まれるとされていた。AGIとは、人間と同等のレベルで幅広いタスクをこなせるAIを指す概念であり、OpenAI自身もその定義と達成判定を独自に定めている。
しかし今回、The InformationがAmazonのSEC提出書類を確認したところ、OpenAIはまだ上場しておらず、AmazonもなぜこのタイミングでAGIに関係なく残額を投資したかについては説明していない。条件の詳細な内訳が公表されていない以上、断定はできないが、当初想定されていたマイルストーンを待たずに投資が実行されたことは確かだ。
500億ドルの投資が完了
Amazonは7月31日(金)、米証券取引委員会(SEC)への提出書類において、OpenAIへの500億ドル(約7.5兆円)の投資を完了したと報告した。
投資は3段階に分けて実行された。
- 第1四半期(Q1):150億ドルを投資
- 第2四半期(Q2):137億ドルを追加投資
- 6月30日以降:残りの213億ドルを投資
2月27日にOpenAIが公表した資金調達ラウンドでは、Amazonからの500億ドルを含む総額1,100億ドルの調達が明らかになっていた。
AWSがOpenAIの「唯一のサードパーティクラウド」に
今回の投資に伴う戦略的提携の内容も注目に値する。Amazon Web Services(AWS)はOpenAIのFrontierプログラムにおける唯一のサードパーティクラウドプロバイダーとなる。
Frontierプログラムとは、OpenAIが最先端モデルの開発・運用に用いる基盤インフラ群を指す社内プログラムであり、同社の中核的な研究・推論基盤を支えるものだ。このプログラムの唯一の外部クラウドパートナーに位置づけられることは、単なる調達契約を超えた戦略的優位性を意味する。
加えて、AWSとOpenAIの既存インフラ契約は8年間で最大1,000億ドル規模に拡大する可能性があるとされている。AWSはすでにAnthropicへの大規模投資でも知られており、今回のOpenAIとの提携により、主要AIラボとの関係を二重に確保した形となる。
OpenAIの足元の動向
こうした大型投資の完了は、OpenAIが急拡大するサービス規模とビジネス基盤を背景に実現したという文脈でも理解できる。投資完了が報じられた前後、OpenAI自体の動向も慌ただしかった。
7月29日(水)には、ChatGPTの週間アクティブユーザー数が10億人に迫っていると報じられた。当初の目標より7か月遅れではあるものの、サービス開始から4年未満でこの規模に達したことは、インターネット史上最速クラスの成長の一つだ。
7月30日(木)には、OpenAIが2モデルの価格を引き下げ、1モデルの性能を価格据え置きで向上させると発表した。エンタープライズ向け大量処理ワークロードにおけるコストパフォーマンスの改善が狙いだという。急成長するユーザー基盤と価格競争力の強化は、今回の巨額投資の意義を裏付ける事業環境の証左ともいえる。OpenAIはブログで次のように述べている。
「私たちは回復力のあるインフラポートフォリオを構築し、各ワークロードに最適なシステムを割り当てている。このアプローチは、価格とパフォーマンスの両端を支えるものだ。」
詳細はAmazon Completes $50 Billion Investment in OpenAIを参照していただきたい。