7月29日、Microsoft Visual Studio チームが「Visual Studio July Update — Meet the New Agent, Powered by the GitHub Copilot SDK」と題した記事を公開した。Visual Studio 2026の7月アップデートで追加された、GitHub Copilot SDKベースの新エージェントをはじめとする複数の新機能について詳しく紹介されている。
最注目:GitHub Copilot SDKで動く新エージェント(Preview)
今回のアップデートの目玉は、Copilot Chatに追加されたAgent(Preview)だ。GitHub Copilot SDKを基盤として構築されており、VS CodeやGitHub CLIのCopilotエージェントと共通の実装を持つ。
従来のCopilotエージェントは、複数回のやり取りを経ながら軌道修正が必要なケースが多かった。新エージェントはその改善を主眼に設計されており、初回で正確なタスク完了を目指し、往復のやり取りを減らすことを狙いとしている。
もう一つの設計意図が「Copilotサーフェス間の一貫性」だ。これまで、GitHub CLI・GitHub app・VS Code・Visual Studioのそれぞれでエージェントの挙動が異なることへの不満がユーザーから寄せられていた。新エージェントはその声に応え、CLIやVS Codeで着手した作業をVisual Studioに自然に引き継ぎ、レビューや修正を続けられる体験を目指している。SDKを共通化することで、ツールをまたいだ会話の連続性と、レスポンスの質の均一化を実現している。レスポンスは短く整理されており、読む時間より実際の変更内容の確認に集中できる設計だ。
使い方はシンプルだ。GitHub Copilot Chatを開き、ウィンドウ下部のエージェントピッカーからAgent(Preview)を選択するだけでよい。フィーチャー追加・バグ修正・リファクタリングといった日常的な作業をそのまま投げかけることができる。
現時点はまだPreviewであり、フィードバックは「Help > Send Feedback > Report a Problem」から送れる。
.NETとAzureのビルトインスキル
Visual Studioに、.NETチームとAzureチームのエキスパートが作成したビルトインスキルが同梱されるようになった。対応する.NETまたはAzureのワークロードがインストールされていると、ツールピッカーの「Built-in」カテゴリにスキルが表示される。
スキルはデフォルトでオフになっており、必要なものだけを選んで有効化する設計だ。どのスキルが使えるかは、GitHubで公開されている.NET skillsとAzure skillsで確認できる。将来的にはサードパーティ製スキルの追加も想定されており、エコシステムの拡張余地が設けられた設計になっている。
組織レベルのカスタム指示
GitHubのOrganizationオーナーが、組織全体に適用されるCopilotのカスタム指示を設定できるようになった。これまでは開発者ごとに個別設定が必要だったチーム共通のコーディング規約・命名規則・コメントスタイルといったルールを、一度の設定で全メンバーに反映できる。大規模チームや複数プロジェクトを抱える組織ほど恩恵が大きい機能といえる。
対象となるのはGitHub Organizationに属するリポジトリで作業している場合に限られ、ポリシーの強制ではなくあくまで「好みの設定」を共有する用途として位置付けられている。適用された指示はCopilotとのやり取り中に参照リストに表示され、内容をいつでも確認できる。
使いたくない場合は、Tools > Options > GitHub > Copilot > Copilot Chatから「Enable organization-level custom instructions」のチェックを外せばよい。GitHub側の設定方法についてはGitHub Copilotのカスタム指示に関するドキュメントも参照されたい。
ブランチのCopilot Chatへのアタッチ
コミット・変更・プルリクエストに続き、ブランチもCopilot Chatのコンテキストとして添付できるようになった。Git Repositoryウィンドウでブランチを右クリックし、「Add to Chat」を選ぶと会話にブランチを取り込める。
チェックアウト前に「このブランチにどんな変更が入っているか」を自然言語で確認したり、複数ブランチの差分を把握してレビュー優先度を判断したりするような使い方が想定されている。コードレビューの事前調査やブランチ間の影響確認といった場面で、コンテキスト切り替えのコストを下げる効果が期待できる。
C++ MSVCビルドツールのクロスインストール自動検出
チームで特定バージョンのC++ツールセットをピン留めしている場合に有用な改善だ。従来、Visual Studioは別のインストールにあるツールセットの検索を、現在のインストールにターゲットプラットフォームのツールセットがまったく存在しない場合にのみ実行していた。そのため、v143の別バージョンが別インストールにあっても、現在のインストールにv143が一つでもあれば検索が止まってしまい、ピン留めしたVCToolsVersionが無視されるケースがあった。
今回、EnableVCToolsVersionDiscoveryをtrueに設定することで、全インストールを横断して正確なバージョンを検索できるようになった。
<PropertyGroup>
<EnableVCToolsVersionDiscovery>true</EnableVCToolsVersionDiscovery>
<VCToolsVersion>14.43.34604</VCToolsVersion>
</PropertyGroup>
これにより、バージョンピンが確実に尊重され、個人のIDE更新に左右されないビルドの再現性が確保される。手動でのVCToolsInstallDirオーバーライドも不要になる。MSVCのツールセットバージョン管理についてはMSVC公式ドキュメントも参照されたい。
詳細はVisual Studio July Update — Meet the New Agent, Powered by the GitHub Copilot SDKを参照していただきたい。