7月25日、Search Engine Journalが「Google Data Compares Gemini & AI Mode Use Against Daily Life」と題した記事を公開した。GoogleがGeminiおよびAI Modeの実際の利用データをアメリカ人の日常生活時間と比較した分析レポートの内容を詳報したものだ。
「時間をかけていないのに、よく質問する」ことが明確になった
GeminiやAI Modeに何を聞いているかは、生活時間の配分とおおむね比例する——そう思いきや、実はいくつかの分野で大きくズレている。このズレを可視化したのが、GoogleとGoogle DeepMindの研究者が公開した「Google AI & Economy ATLAS」だ。
データソースは1,465万件のインタラクション(Geminiアプリ、AI Mode in Search、Gemini APIから収集)。Googleはそのうち米国の非業務会話を抽出し、米国労働統計局が公表する**American Time Use Survey(ATUS)**と突き合わせた。ATUSは米国人が1日をどのように過ごすかを記録した統計調査で、AI利用傾向を実生活と比較する基準として使われた。
AI Modeのデータが含まれている点も見逃せない。AI ModeはGoogleが2025年に本格展開したAI検索機能で、このレポートはその利用実態を初めて本格的に分析したものの一つだ。
最大のギャップは「行政手続き」——約20倍
レポートが示した最も極端な乖離は、政府サービスや市民的義務(免許、納税、罰金、選挙など)で、AI会話のシェアが実際の時間のシェアの約20倍に達した。
以下の表は、各分野においてAI会話のシェアが実生活時間のシェアを上回る倍率を示している(2026年4月6〜19日のデータ)。値が大きいほど、「実際に費やす時間は少ないが、AIへの質問が多い」分野であることを意味する。
| 分野 | AI会話シェア ÷ 実生活時間シェア(倍率) |
|---|---|
| 政府サービス・市民的義務 | 約20倍 |
| 専門・個人ケアサービス(医師、弁護士、銀行、美容など) | 7倍超 |
| 教育 | 約5.8倍 |
| 消費者向け購買 | 約3倍 |
逆に、実生活で占める時間の割合に比べてAI会話への登場頻度が著しく低い分野もある。飲食、旅行、スポーツ、家事、テレビ視聴などがその例で、飲食に至っては実生活時間のシェアがAI会話のシェアを約18倍上回る。料理、洗濯・着替え、掃除、テレビ鑑賞はリストの最下位に位置する。これらは生活時間の大半を占めるにもかかわらず、AIへの質問はほとんど発生していない。
「高摩擦な質問」が夜間・週末に集中
Googleはこのレポートの中で、医療・法律・金融・行政に関する質問を「高摩擦(high-friction)」と定義している。専門家に問い合わせることが難しく、調べること自体に手間がかかるカテゴリだ。
注目すべきデータとして、これらの質問の約半数が業務時間外(夜間・早朝・週末)に来ていることが示された。レポートはその意味については断定を避けているが、「夜11時の免許に関する質問は、通常の検索になっていたかもしれないし、翌朝まで待たれていたかもしれないし、そのまま放置されていたかもしれない」と述べている。
クリックデータはない——トラフィックへの影響は不明
このレポートが示しているのはあくまでGoogleのプロダクト内での会話傾向であり、クリックデータは含まれていない。つまり、これらの会話が外部サイトへのトラフィックを生んでいるかどうかは分からない。
同じ課題はMerchant CenterのAIクエリパイロットでも指摘されている。小売業者は「何が聞かれているか」は知らされたが、「誰かが実際に来たか」は知らされていない。SEOや広告に関わる立場からすると、利用量の増加が実際のトラフィックや成果に直結するかどうかは依然として不透明だ。
なお、Googleは2025年5月にもAI Modeの利用データを共有しており、その際には健康、食、旅行がトップ10に入っていた。今回の分析と合わせると、健康・医療カテゴリへの高い関心は一貫したパターンとして浮かび上がってくる。
詳細はGoogle Data Compares Gemini & AI Mode Use Against Daily Lifeを参照していただきたい。