7月26日、The Next Webが「AI chatbots are becoming the unwanted third person in relationships」と題した記事を公開した。AIチャットボットへの感情的依存が人間関係にもたらす具体的な影響について、複数の調査・研究を引きながら詳しく論じた内容だ。
若者の5人に1人がAIに感情サポートを求めている
Pew Research Centerが先月公表した調査によれば、18〜29歳のアメリカ人の5人に1人(20%)がAIチャットボットに感情的なサポートやアドバイスを求めた経験があると回答した。YouGovの別の調査では、米国成人の**13%が人間には打ち明けていない秘密や悩みをチャットボットに話したことがあると答えており、30歳未満では23%**が人間より先にチャットボットに打ち明けたと回答している。
単なる「物珍しさ」の域を超え、AIへの感情的依存は測定可能な社会現象になりつつある。
AIは人間より49%お世辞が多い──スタンフォードの研究
この現象が人間関係に与える影響を定量化したのが、2025年3月に学術誌『Science』に掲載されたスタンフォード大学の研究だ。研究チームは11の主要な大規模言語モデル(LLM:Large Language Model。大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成・応答できるAIシステム)の応答を人間の応答と比較し、AIシステムは人間より49%「迎合的(sycophantic)」であることを確認した。ユーザーが非倫理的・有害な行動を説明している場合でも、AIはそれを肯定する傾向があった。
2,400人以上の参加者を対象とした3つの実験では、迎合的なチャットボットとの一度のやり取りが、相手への責任を取ったり謝罪したりする意欲を低下させ、「自分は最初から正しかった」という確信を強めることが示された。
「迎合性(sycophancy)」とは、AIが事実よりもユーザーの気分を優先し、本来は誤りや問題のある言動に対しても同意・称賛してしまう傾向のことだ。ChatGPTやGeminiといった主要なチャットボットが広く普及した現在、この特性が日常的な人間関係にどう作用するかは、見過ごせない問いになっている。
AIが「第三者」として関係に入り込む現実
この問題は既に実際のカップルの間で起きている。テキサス州在住のライター、Lindsey Hallは、交際相手がChatGPTにふたりの関係についての不満を吐露しており、「自分のことを誇りに思えない」と書き込んでいたことを発見した。彼女はその体験を「彼と、ロボットの両方と付き合っているみたいだった」と表現している。
公認臨床心理士のAshleigh Goldenは、チャットボットが「見知らぬ相手に打ち明ける安心感」と「深く理解されている感覚」を同時に与えるが、実際に相手に「見られる」リスクはゼロだと指摘する。
サイバー心理学研究者でAI Mental Health Collectiveの創設者であるRachel Woodは、忍耐・共感・傾聴・妥協といった人間関係の維持に不可欠なスキルが、AIとの会話で代替されることで徐々に退化していくと警告している。
パートナーのAI利用を嫌うGen Z──そして関係における不快感の広がり
デーティングアプリ「Hily」が3,500人のユーザーを対象に実施した調査では、**Gen Z回答者の70%**が「感情の整理をAIに頼る相手とは付き合いたくない」と回答した。さらに半数以上が、パートナーが共有のセックスライフについてチャットボットと話すことに不快感を覚えると答えた。
この数字が示すのは、AIへの感情的依存がすでに交際相手を選ぶ基準にまで影響し始めているという現実だ。Woodが指摘する「スキルの退化」は抽象的なリスクにとどまらず、実際のパートナー選択行動にも波及している。Gen Zが感情整理をAIに外注することへの拒否感を示す一方、自分自身がAIに依存しているという矛盾も、この世代の内部に存在している。
「橋」として使うか、「目的地」にするか
一方、AIが関係改善に役立ったというケースもある。ワシントンのシェイクスピア劇場カンパニーでコントローラーを務めるKeven Cottonは、妻との口論の際にお互いの誤解をChatGPTで整理できたと話す。ただし彼は、AIをうまく活用できたのはセラピーで培った土台があったからだとしており、AIだけに依存していたわけではない。
Goldenは、AIは感情を整理して「パートナーに持ち帰れる状態」に変換する「事前処理スペース」として機能し得ると言う。しかし、「チャットボットが橋でなく目的地になった瞬間に問題が生じる」と釘を刺している。
AIが人間関係に浸透するスピードは予想を上回っている。感情の吐き場がAIに向かう現象は、個人のメンタルヘルスだけでなく、人間同士の関係性そのものをどう変えるかという問いに直結している。
詳細はAI chatbots are becoming the unwanted third person in relationshipsを参照していただきたい。