7月26日、The Next Webが「DeepSeek pauses fundraising after founder's leaked comments go viral」と題した記事を公開した。「中国AIは依然として米国に後れを取っている」——DeepSeek創業者・梁文鋒がそう率直に語った非公開の投資家向け発言が中国SNSに流出し、波紋を広げている。北京が「中国AI企業は米国との差を急速に縮めている」と対外的に喧伝するなかで飛び出したこの発言は、DeepSeekに不都合なスポットライトを浴びせ、進行中の第2回資金調達ラウンドを一時停止に追い込んだ。
非公開の投資家向け発言が中国SNSに拡散
Bloombergの報道によると、DeepSeekは第2回資金調達ラウンドを一時停止した。停止の直接的な契機は、創業者・梁文鋒(Liang Wenfeng)が投資家との非公開ミーティングで語った発言が中国のSNSに流出し、拡散したことだ。
梁は投資家に対し、口頭でラウンドの一時停止を通知した。この第2回ラウンドは、プレマネー評価額(資金調達前の企業価値)で約4,800億元(約710億ドル)を目標としていた。「調達額」ではなく、あくまで「このバリュエーションで出資者を募る」という条件設定であり、実際に調達した金額ではない点に注意が必要だ。
問題の核心は、流出した発言の内容にある。梁は投資家に対し、次のような点を率直に語っていたとされる。
- 中国のAI能力は依然として米国に後れを取っている
- 米国の輸出規制にもかかわらず、DeepSeekはNvidiaチップへの依存度が高い
北京が「中国AI企業は米国との差を急速に縮めている」というナラティブを対外的に打ち出している中、これらの発言が公になったことで、DeepSeekは政治的にも微妙な立場に置かれた。梁はこの発言が許可なく公開されたことへの不満を表明している。
第1ラウンドはテンセント・CATLから約70億ドルを調達済み
DeepSeekは2025年6月に第1回資金調達ラウンドを完了しており、テンセント、電池大手CATL、中国国家AI産業投資基金などから約70億ドルを調達している。この時点での企業価値評価は500〜520億ドルとされ、世界で最も評価額の高いAI企業のひとつに位置付けられた。
また、同社は米国の輸出規制によって先端プロセッサへのアクセスが制限されていることを踏まえ、独自のAIチップ開発にも取り組んでいることが報じられている。梁が非公開の場で「Nvidiaチップへの依存度が高い」と認めた事実は、こうした独自チップ開発の背景をより鮮明にするものでもある。
資金調達は止まったが、IPOの準備は進行中
資金調達の一時停止にもかかわらず、関係者によればDeepSeekは株式公開(IPO)の準備を進めており、今年中にも上場申請を行う可能性があるという。
創業者の梁文鋒の個人資産はBloombergの推計で360億ドルに達し、AIモデル開発者としては世界最高の富豪とされる。AnthropicのダリオCEOや元OpenAI社長のグレッグ・ブロックマンをも上回る水準だ。DeepSeekは、梁がAI研究に転換する前に設立したヘッジファンド「浙江幻方科技(Zhejiang High-Flyer Asset Management)」を親会社として持つ。
オープンソース戦略と資本論理のジレンマ
DeepSeekは積極的な低価格戦略とオープンソース開発を優先する姿勢を示しており、これが世界中の開発者を引き付けている。しかし、評価額710億ドルで資本を調達する経済合理性と、モデルを無償公開するオープンソース方針は、本質的に相反する。
一般的に、AI企業の高額バリュエーションは将来の収益成長を前提に正当化される。クローズドなAPIや有料プランで収益を積み上げるOpenAIやAnthropicのモデルとは異なり、DeepSeekは現時点でオープンウェイトのモデルを広く公開しており、明確な有料化ロードマップは公表されていない。投資家にとっては、研究志向の強い創業者が将来にわたって商業化を優先するかどうかが、評価額の根拠を問う上での核心的な問いとなる。
今回の資金調達停止が流出事件を受けた一時的な混乱に過ぎないのか、それともDeepSeekの研究志向と投資家の期待との間にある構造的な緊張を示すものなのかは、今後の動向次第だ。
詳細はDeepSeek pauses fundraising after founder's leaked comments go viralを参照していただきたい。