7月23日、TechSpotが「Google records its first negative free cash flow since going public as its AI spending explodes」と題した記事を公開した。Googleの親会社Alphabetが2004年の上場以来、一度も記録しなかったフリーキャッシュフローのマイナスが、2026年第2四半期についに実現してしまった。AI投資の急拡大がその主因であり、CEOのSundar Pichaiは「ユーザーはまだ恩恵をほとんど感じていない」と自ら認める異例の発言を行っている。
上場から20年超、初のフリーキャッシュフロー赤字
Googleが2026年第2四半期(4〜6月)にフリーキャッシュフロー(FCF)マイナス59億ドルを記録した。FCF(フリーキャッシュフロー)とは、事業運営と設備投資に必要な支出を差し引いた後に残る現金のことで、企業の財務的な余力や成長余地を示す代表的な指標だ。Alphabetが2004年に上場して以来、FCFがマイナスに転じたのはこれが初めてとなる。
この発表を受け、同社株は時間外取引で4%下落した。
設備投資は2050億ドルへ——当初見通しから大幅上振れ
AlphabetのCFO(最高財務責任者)であるAnat Ashkenaziは、2026年通年の設備投資(CapEx)が2050億ドルに達する見通しを示した。これは従来の見通しである1800〜1900億ドルから大幅に上方修正されたものだ。
第2四半期だけで450億ドルを支出しており、その内訳はサーバーが60%、データセンターが40%となっている。さらにAshkenaziは、2027年にも設備投資を大幅に増やす方針を示しており、Bloombergは来年の投資額が2620億ドルに達すると予測している。
「技術インフラへの投資によってフリーキャッシュフローは引き続き圧迫される見通しだ。ただし、この投資こそがAIの機会を活かし、魅力的なリターンをもたらし続けるための基盤になる」とAshkenaziは述べた。
Pichaiが認めた現実——「ユーザーはまだ恩恵を感じていない」
注目すべきはCEO Sundar Pichaiの発言だ。
「フロンティアモデルでできることを見ていると、それをユーザー体験に落とし込むまでにはまだ多くの作業が残っている」とPichaiは述べた。つまり、これだけの巨額投資にもかかわらず、大多数のユーザーはまだその恩恵をほとんど体験できていないという事実をCEO自身が認めたかたちだ。
数兆円規模の投資を続けながら、その成果がまだプロダクトに十分反映されていないと経営トップが公の場で認めることは異例であり、投資家の不安を高める要因ともなっている。
Google だけではない——業界全体に広がる"AI出血"
FCFがマイナスに転じているのはGoogleだけではない。
- Tesla:FCFがマイナス11億ドルを記録。2年ぶりのマイナス転落で、今年の設備投資は最大250億ドルと倍増の可能性がある。Tesla株も4%下落した。
- Meta、Microsoft、Amazon:来年中にFCFがマイナスに転じると予測されている。
さらに別途報じられた記事によれば、Amazon、Meta、Microsoftなど米国の大手テック企業が合計1兆6500億ドル超の「隠れ債務」を抱えているとされており、その大半がAIインフラへの巨額投資に起因するという。出典元の詳細については当該報道を確認されたい。
バブル論争——懸念する投資家 vs 強気の業界幹部
AIへの兆単位の投資が続く中、業界がバブルに近づいているとの見方が強まっている。一方で業界幹部はこれを否定する。
- NvidiaのJensen Huang:「エージェント型AIがハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)のキャッシュフロー成長を促す」と主張
- あるメモリメーカー幹部:「AIバブルを議論すべきなのは2040年、あるいは2050年になってからだ」と述べた
Ashkenaziも「魅力的な投資機会がある限り、投資を続ける」と強調している。
また、AI需要が急増していることによりメモリの価格が高騰しており、これがさらに設備投資を押し上げるという皮肉な構図も生まれている。
上場から20年以上、一度もFCFをマイナスにしなかったGoogleが初めてその水準を割り込んだ——これはAI投資競争の激しさを象徴する出来事だ。投資家の懸念をよそに、テック大手各社はAIインフラへの支出をむしろ加速させている。
詳細はGoogle records its first negative free cash flow since going public as its AI spending explodesを参照していただきたい。