7月21日、Googleが「Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber」と題した記事を公開した。エージェント型AIワークフローの効率化を目的とした3つの新しいGeminiモデルの提供開始と、次世代モデルGemini 4の学習開始が明らかにされた。
AIエージェントの実用化が進むにつれ、「トークンコスト」は開発者にとって無視できない問題になりつつある。エージェントが複数のツールを呼び出しながら多段階のタスクをこなす場合、1回の処理で膨大なトークンが消費される。この課題に正面から応えたのが、今回発表されたGemini 3.6 Flashだ。
Gemini 3.6 Flash:トークン効率の改善でエージェントコストを削減
Artificial Analysis Indexによると、前世代の3.5 Flashと比較して出力トークン数が約17%削減されている(サードパーティ計測値)。さらにDatacurveのDeepSWEベンチマーク(ソフトウェアエンジニアリングタスクの評価指標)では、最大**65%**の削減が確認されている。
この改善は単なる出力の短縮ではない。エージェントがタスクを処理するうえで必要なステップ数そのものを減らすことで効率を高めている点が重要だ。ステップが減れば、ツール呼び出しの回数も減り、コストは雪だるま式に圧縮される。
価格は入力$1.50/1Mトークン、出力$7.50/1Mトークン。前世代の3.5 Flashが入力$0.075〜$0.30/1Mトークン、出力$0.30〜$1.25/1Mトークン(コンテキスト長・利用条件により変動)というレンジだったのに対し、3.6 Flashはより高性能な処理を担うクラスとして位置づけられており、コーディング・ナレッジワーク・マルチモーダルの各性能も向上している。
Gemini 3.5 Flash-Lite:350トークン/秒の高速モデル
Gemini 3.5 Flash-Liteは、速度とコスト効率を最優先した3.5クラスのモデルだ。Artificial Analysis Indexでは350出力トークン/秒を記録しており、従来のFlash-Liteシリーズを大幅に上回る速さとなっている。
エージェントワークフローでの性能も過去世代のFlash-Liteを「大幅に上回る」とされており、大規模な並列処理や応答速度が求められる用途での採用が見込まれる。価格はGoogleから公表されていないため、Gemini API料金ページで最新情報を確認されたい。
Gemini 3.5 Flash Cyber + CodeMender:セキュリティ特化の構成
Gemini 3.5 Flash Cyberは、サイバーセキュリティ用途に特化した新モデルだ。単体モデルとしてではなく、CodeMenderと呼ばれるコードセキュリティエージェントとの組み合わせとして提供される。CodeMenderは脆弱性の検出・修正提案をコードベース全体に対して自動実行するエージェントで、モデルと組み合わせることで実際のセキュリティ運用フローに組み込めるよう設計されている。
Googleは「サイバーセキュリティの実用には、モデルとエージェントインフラの慎重なオーケストレーションが必要」と説明しており、モデル単体の性能より、エージェントシステム全体としての実用性を重視した設計だ。価格についても現時点では公表されていない。
ロードマップ:3.5 ProとGemini 4も視野に
今回の発表にはモデルのロードマップに関する言及も含まれている。Gemini 3.5 Proは現在パートナー企業とテスト中で、準備が整い次第、広く公開される予定だ。
さらに、Gemini 4について「これまでで最も野心的なモデル学習を開始した」と明言されており、次世代モデルの開発が本格的に動き出していることが公式に確認された。具体的な仕様や公開時期は明かされていない。
| モデル | 特徴 | 価格(1Mトークンあたり) |
|---|---|---|
| Gemini 3.6 Flash | トークン効率改善、コーディング・マルチモーダル強化 | 入力$1.50 / 出力$7.50 |
| Gemini 3.5 Flash-Lite | 350トークン/秒、最速・最安クラス | 未公表(料金ページ参照) |
| Gemini 3.5 Flash Cyber | セキュリティ特化、CodeMenderとセット提供 | 未公表 |
詳細はIntroducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyberを参照していただきたい。