7月21日、Techstrong.aiが「Alibaba Unveils Trillion-Parameter Qwen3.8 AI Model, Claiming Global Second-Place Standing」と題した記事を公開した。Alibabaが2.4兆パラメータの新フラッグシップAIモデル「Qwen3.8-Max-Preview」を発表し、グローバル2位を自称しているが、その主張は現時点で外部検証を一切経ていない。独立機関によるベンチマーク評価とオープンウェイト公開が揃う前に、どこまでこの主張を信頼できるのかが問われている。
Qwenシリーズ初の兆パラメータ超えモデル
Alibaba Group Holdingが日曜日に発表した「Qwen3.8-Max-Preview」は、Qwenファミリー初の兆パラメータ超えとなる2.4兆パラメータを搭載するモデルだ。テキストだけでなく、画像・動画・文書を統合処理するフルマルチモーダル構成を採用している。
アーキテクチャは「継続的進化型」と説明されており、Alibabaはオープンソースコミュニティへの重みの公開も約束している。ただし、具体的な日程とライセンス条件は現時点で未発表だ。
発表は市場にも即座に反応を与え、香港市場でAlibaba株が最大5.4%上昇、Hang Seng Indexのトップパフォーマーとなった。
「最新Claudeに次ぐ世界2位」——ただし自己申告のみ
Alibabaが最も積極的に打ち出しているのが、「Anthropicの最新モデルに次いでグローバル2位」という主張だ。しかしこの評価は、現時点で外部機関による検証を一切経ていない。
※元記事では比較対象のAnthropicモデル名が記載されているが、製品名の表記に疑義があるため、ここでは「Anthropicの最新モデル」と表記する。Anthropicの現行ラインナップについては公式サイトを参照されたい。
前世代の「Qwen3.7-Max」(2025年5月リリース)は、公式テクニカルブレークダウンとArtificial Analysis Intelligence Indexスコア56.6を伴って登場した。一方Qwen3.8-Maxのプレビューには、モデルカードもベンチマークデータも、アクティブパラメータ数の開示もない。
独立系リーダーボードであるLMSys Chatbot Arenaもまだ本モデルを評価していない。現在同ランキングのトップはAnthropicの最新モデルで、Qwen3.7-Maxはそれよりかなり下位に位置する。エンタープライズ導入を検討するバイヤーは、Alibaba自身の発表する指標のみを判断材料とせざるを得ない状況だ。
中国勢の兆パラメータ競争が加速
今回の発表は、北京のスタートアップMoonshot AIが2.8兆パラメータのオープンモデル「Kimi K3」をリリースしてからわずか3日後のことだ。
Goldman Sachsのアナリストは、この国内競争が高品質なコーディング・エンタープライズモデルの大量投入を引き起こし、業界全体の競争を激化させると見ている。これらの動きは、兆パラメータ規模のモデルが米国の一部エリートAIラボの独占領域ではなくなりつつあることを示している。
開発者向けアクセスとインフラ投資
プレビュー期間中、開発者はAlibaba Token Planサブスクリプションのほか、QoderおよびQoderWorkプラットフォームから、**通常価格の10%**というプロモーション料金でアクセスできる。
インフラ面では、Alibabaは米国の半導体輸出規制の強化に対応するため、3年間で3,800億元(約530億ドル)をクラウドおよびAIインフラに投資すると表明している。傘下のT-Headが設計した独自AIチップ「Zhenwu M890」を活用した国内自立型コンピューティング網の構築も進めている。
また、Alibabaは中国国内でAppleのiOS・iPadOS・macOS・visionOS向け「Apple Intelligence」機能を提供する規制承認を取得しており、中国の主要AIプロバイダーとしての地位固めを図っている。
開発者・エンタープライズ利用者の視点から言えば、Qwen3.8-Maxはスケールとマルチモーダルのポテンシャルをアピールするモデルだが、オープンウェイト公開と独立機関によるベンチマーク評価が揃うまで、「グローバル2位」の主張は検証不能な状態が続く。
詳細はAlibaba Unveils Trillion-Parameter Qwen3.8 AI Model, Claiming Global Second-Place Standingを参照していただきたい。