7月17日、Simon Willisonが「Tool: LLM cliché highlighter」と題した記事を公開した。LLMが生成する文章には「it's worth naming」「is real and」「no fluff, no filler」といった特定の言い回しが繰り返し現れる——そうした"LLMらしさ"のパターンを自動検出・ハイライト表示するWebツールを作成した経緯と機能の解説だ。
作成の動機:「また同じ文章か」という苛立ち
きっかけはシンプルだ。Simon Willisonが「no fluff, no filler, no jargon」(無駄なし、水増しなし、専門用語なし)といった定番フレーズで埋め尽くされた記事を読んで嫌気が差したことに始まる。そこで、Xbox向けRPG「Fable 5」(Microsoft傘下のPlayground Gamesが開発中の大作タイトル)の関連コンテンツを題材に、いわゆる「vibe coding」(大まかな意図をAIに伝えてコードを生成させる手法)によってこのツールを素早く作り上げた。つまり、AI生成コンテンツに辟易したWillisonが、AIを使って対抗ツールを作るという逆説的な構図になっている。
LLM生成文章の「クリシェ問題」は、コンテンツマーケティングやAI活用が普及するにつれ業界全体で指摘されるようになっている。特定のパターンが繰り返し現れることで、文章が機械的に見えたり、内容の信頼性が疑われたりする。このツールはそうした問題を可視化し、書き手が自覚的に修正できるようにすることを目的としている。
ツールの概要と機能
このツールは、入力されたテキストを解析し、LLM生成文章に特徴的な11のパターンをハイライト表示するWebアプリだ。

画面上部にはサマリー行として「マッチ数」「フラグが立った文の数」「チェーンアイテム数」が表示される。「チェーンアイテム数」とは、複数のパターンが連鎖して同一文中に現れる場合にカウントされる指標で、LLMらしさが特に集中している箇所を示す。テキストエリアに文章を貼り付けるほか、URLを入力してWebページを直接読み込む機能も備わっており、その際はr.jina.ai経由でコンテンツを取得する。
ハイライトは2段階で色分けされる。
- 淡い黄色:フラグが立った文(パターンを含む文全体)
- 濃い黄色:パターンマッチした箇所そのもの
スクリーンショットの例では、「That loss is real and it's worth naming」という文が解析対象になっており、「is real and」が「Is real … and / not」パターンとして、「's worth naming」が「Worth naming」パターンとして検出されている。
「Show just the highlights」チェックボックスをオンにすると、パターンが含まれる箇所のみを抽出して表示することもできる。
検出対象のパターン例
ツールが検出する11のパターンは、LLM生成文章によく見られる表現群だ。記事内およびスクリーンショットから確認できる代表例を以下に挙げる。
- 「is real and」(「〜は現実であり、かつ〜」型の強調構文)
- 「it's worth naming」(「〜と名指しする価値がある」型の持ち上げ表現)
- 「no fluff, no filler」(「無駄なし、水増しなし」型の自己称揚フレーズ)
- 「no jargon」(「専門用語なし」型のアクセシビリティ強調)
- 「is real and」の派生形(「… and / not」型の対比強調)
これらは一見もっともらしく聞こえるが、LLMが統計的に多用しがちな「重みのありそうな言い回し」の典型だ。記事タイトル自体が「it's worth naming」「is real and」を例示しているように、Willisonはこうした表現を「名前をつけて認識する価値がある」と考えており、ツールの設計思想もその延長にある。パターンは個別にオン/オフを切り替えられるため、特定の表現だけに絞った検査も可能だ。
実用上のポイント
- テキスト直接入力とURL読み込みの両方に対応しているため、公開済みの記事のチェックにも使える
- パターンは選択式なので、特定のクリシェだけを対象にした絞り込み検査が可能
- 「Load example」ボタンでサンプルテキストをすぐに試せる
- チェーンアイテム数が多い箇所は、LLMらしさが特に凝縮している段落として優先的に見直す目安になる
LLMを使って文章を生成・補助している場合、出力をそのまま使う前にこのツールで一度チェックする、という使い方が素直な用途だ。コンテンツ品質の管理フローに組み込む際の参考になるだろう。
詳細はTool: LLM cliché highlighterを参照していただきたい。