7月16日、Euronewsが「EU orders Google to open Android to rival AI services」と題した記事を公開した。EUがGoogleに対し、AndroidをAI競合サービスに開放し、検索データを競合他社と共有するよう正式に命じたもので、違反すれば**世界総売上の最大10%**に相当する罰金が科される可能性がある。来週にも別のDMA調査で追加制裁が下る見通しも報じられており、EU-Google間の規制摩擦は新たな局面を迎えている。
EUがGoogleに「Android開放」を命令
EUは現地時間7月16日(木)、Googleに対して2つの措置を正式に命じた。
- 競合検索エンジンへの検索データ共有
- AndroidをAI競合サービスに開放すること
根拠となる法律はEUの**Digital Markets Act(DMA)**だ。DMAは、一定規模以上の巨大テック企業(「ゲートキーパー」と呼ばれる)に対してサービスの開放や相互運用性の確保を義務付け、競争環境を整えることを目的とした規制で、2023年3月に本格施行されている。GoogleはDMAのゲートキーパーとして指定されており、検索・広告・モバイルOSなど複数のサービスが規制対象となっている。
EU技術担当委員のHenna Virkkunenは「これらの措置により、Google SearchやGeminiに代わる新興サービスが育ち、EU市民がより多くの選択肢を享受できることを期待する」と述べた。
具体例として挙げられたのが、Androidの音声コマンド機能だ。現在の「Hey Google」のような音声アシスタント呼び出しについて、ユーザーが好みのAIチャットボット(AIと自然言語で対話できるサービスの総称)を選択できるようにすべきとEUは要求している。GeminiはGoogleが提供する大規模言語モデルベースのAIアシスタントであり、現在Androidデバイスにデフォルトで深く統合されている。
GoogleはプライバシーリスクとセキュリティリスクをEUへ訴える
Googleはこの命令に強く反発している。同社のグローバルアフェアーズ責任者Kent Walkerは、EU側の措置が「数百万人のヨーロッパ人のプライバシーとセキュリティの保護を損なうリスクがある」と主張した。
Walkerが問題視するのは検索データの共有だ。「Androidユーザーの個人的な検索内容が、十分な匿名化やユーザーの知識・同意なしに、見知らぬ企業に渡ることになる」と警告している。また、AIアシスタントはすでにAndroidにアクセスできるとも述べており、追加の開放措置の必要性そのものに疑問を呈している。
これに対しEUの高官は、「データの匿名化を確保した上で決定を下しており、セキュリティとプライバシーを最大限に考慮した」と反論している。
法的拘束力と追加制裁の可能性
今回の命令は法的拘束力を持つ。ただし、今回は1月に開始された手続きによるもので、罰金につながる正式な調査とは別の枠組みとなっている。
とはいえ、Googleへの追加制裁は現実的な可能性として浮上している。AFP通信がこの件に詳しい関係者から確認したところによれば、EUは来週にも別のDMA調査でGoogleに罰金を科す可能性があるという(フィナンシャル・タイムズが水曜日に報じた内容を裏付けるもの)。
DMAではGoogleの世界総売上の最大10%を罰金として科せる。参考値として、EUは2017〜2019年にかけて別の競争法規定でGoogleに計82億ユーロの罰金を課しており、昨年9月にも別の独禁法案件で29.5億ユーロの罰金を科している。DMA施行以降、欧州委員会はAppleやMetaに対してもDMAに基づく制裁手続きを進めており、Googleへの今回の命令はその流れを加速させるものとして業界から注目されている。
米国との政治的摩擦も背景に
この問題はテック規制の枠を超えた政治的文脈もある。トランプ政権はDMAについて「アメリカ企業を不当に標的にしている」と批判しており、今回の命令もその文脈で捉えられる可能性があると元記事は指摘している。EUとアメリカのデジタル通商摩擦の一環として、今後の動向が注目される局面だ。
詳細はEU orders Google to open Android to rival AI servicesを参照していただきたい。