7月16日、CNBCが「Anthropic moves closer to mega-IPO as bankers line up investor meetings」と題した記事を公開した。Anthropicが株式公開(IPO)に向けて投資家との事前ミーティングを開始しており、評価額ではすでにOpenAIを逆転、上場時期もOpenAIに先行する可能性が浮上している。AIスタートアップとしては異例のメガIPOになる見通しだ。
OpenAIを上回る評価額、先行上場の可能性も
Anthropicは2026年5月に資金調達ラウンドを完了し、評価額が9,650億ドルに達した。これはOpenAIの評価額8,520億ドルを初めて上回った数字であり、生成AI業界の勢力図に変化が生じていることを示している。
上場時期についても、AnthropicがOpenAIより先に公開市場へ踏み出す可能性が高いという見方が出ている。Bloombergの報道によれば、Anthropicの上場は早ければ2026年10月になる見通しだ。一方、OpenAIも2026年6月にSECへIPO目論見書を秘密裏に提出しているが、追加情報の開示はなく、上場の検討時期は2027年以降とみられている。ただし、Anthropicの10月という観測も市況次第で変わる可能性は十分にある。
なお、記事執筆時点でAnthropicの広報担当はコメントを拒否している。
資金調達と幹事銀行の顔ぶれ
今回のIPOの幹事にはゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースという米ウォール街の収益上位3行が揃って参画している。複数の銀行が同社幹部と投資家候補との間で事前ミーティングの設定を進めており、その実態をCNBCが内部事情に詳しい関係者から入手した。
現在は正式なロードショー前の「投資家需要の打診段階」にある。Anthropicは2026年6月にSECへIPO目論見書を秘密裏に提出済みだが、上場時期の公式発表はまだない。
なお、今回の資金調達ラウンドの規模は6.5億ドルと報告されており、評価額9,650億ドルとの間には大きな乖離がある。これは直近ラウンドの調達額が企業の累積評価額全体を指すわけではなく、過去の大型調達(Googleやアマゾンからの数十億ドル規模の出資)が積み上がった結果として算出された時価総額であることに注意が必要だ。
上場の背景:SpaceX IPOが切り開いた道
Anthropicのタイミングは偶然ではない。2026年6月に行われたSpaceXの大型IPOが公開市場の扉を開いたとも言える状況で、AIブームの中心にいる企業が上場に踏み切る流れが加速している。それまでAI大手各社は、数千億ドル規模の民間資金調達を続けながら非上場を維持してきた。AI熱が今後冷める可能性を考えれば、先行上場は戦略的に有利に働くという見方もある。
Anthropicとは何者か
Anthropicは2021年、OpenAIの経営方針に疑問を持った幹部・研究者グループが離脱して設立した企業だ。「AIの安全性」を組織の中心的な使命に掲げており、その姿勢はOpenAIとの差別化軸のひとつになっている。
現在の主力製品はClaudeシリーズのモデル群で、エンタープライズ向けのコーディングアシスタント「Claude Code」が企業市場で着実に存在感を高めている。Claude Codeはターミナル上で動作するエージェント型のコーディングツールで、コードベース全体を読み込んだうえでの実装・リファクタリング・テスト生成などを一連のワークフローとして処理できる点が特徴とされている。エンタープライズ採用が進むなかで、このような開発者向けツールの収益貢献がIPO評価においても注目される要素のひとつとなっている。
今後の焦点
投資家需要の打診が進む現段階では、上場の正式スケジュールはまだ確定していない。AIセクター全体の市況や規制環境の変化によって、タイムラインが前後する可能性は引き続き残る。OpenAIとのIPO競争がどのような決着を迎えるかも含め、生成AI業界の資本市場における動向として注目が続く。
詳細はAnthropic moves closer to mega-IPO as bankers line up investor meetingsを参照していただきたい。