7月12日、Matthias Bastianが「OpenAI CEO Altman is now "pretty sure" AI is net job-creating, which is quite the pivot from predicting mass layoffs」と題した記事を公開した。AIは雇用を「破壊する」と警告していたSam Altman自身が、今度は「雇用を創出しているとかなり確信している」と発言を翻した。しかしその裏付けとなるデータは、現時点では存在しない。
Altmanの発言転換:「雇用破壊」から「雇用創出」へ
OpenAIのSam Altman CEOが、AIの雇用への影響に関して見解を大きく変えた。Altmanは「AIはここまでのところ、ネットで雇用を創出しているとかなり確信している」と述べた。さらに「これは自分が予想していなかったことだ」とも付け加えている。
この発言は、過去の自身のコメントとの乖離が際立つ。Altmanはかつて、AIが雇用市場に与える影響は非常に速く進む可能性があり「少し恐ろしいくらいだ」と警告していた。
同様の方向転換はAnthropicのDario Amodei CEOにも見られる。Amodeiも以前の発言を修正し、現在は自動化を「雇用の破壊者」ではなく「生産性の乗数」と表現している。Amodeiはかつて、AIがごく短期間でエントリーレベルのオフィス職の大部分を奪い、失業率が20%に達すると主張していた。
実データは何を示しているか
両CEOの楽観論とは裏腹に、現時点でAIが雇用市場全体に与えた影響を示す確固たるデータは存在しない。
複数の大学による共同研究では、プログラマーやコピーライターの雇用危機はChatGPTの公開より数ヶ月前の2022年初頭にすでに始まっていたことが示されており、AIが直接の原因とは言い切れない状況だ。Yale Budget Lab(元記事内で参照されている調査)でも、AI起因の雇用市場への構造的な変化は確認されていない。また、AIが生産性の向上として指標や決算に現れているかどうかも依然として不明確である。
一方で、AIを理由とするレイオフ自体は実際に起きている。その実態は二つのパターンに分かれる。一つは、本来は人件費に充てるはずだった予算がAIハードウェアへ振り向けられたケース。もう一つは、AIを株主向けの説明として利用したケースで、実際の理由はAIブーム以前に遡るにもかかわらず、AIへの投資を理由に削減を正当化した企業も存在する。
発言転換の背景
Altman自身は「これは予想外だった」と認めており、発言の転換が単なる政治的配慮ではなく、実際に観測されるデータを踏まえた修正である可能性を示唆している。雇用市場への影響という問いに対して、現時点では誰も確定的な答えを持っていないというのが実情だ。
※編集部の考察:AI業界のトップが相次いで「雇用破壊」論を引っ込めた背景には、規制当局や世論からの圧力という文脈も読み取れる。AIが大規模な失業をもたらすという主張は各国政府による規制強化の根拠にもなり得るため、業界にとっては扱いづらいテーマであることは確かだ。ただしこの点は元記事に明示された記述ではなく、編集部による解釈である。
詳細はOpenAI CEO Altman is now "pretty sure" AI is net job-creating, which is quite the pivot from predicting mass layoffsを参照していただきたい。