7月10日、Search Engine Landが「Gemini Intelligence signals a new era for search and commerce」と題した記事を公開した。GoogleのGemini Intelligenceがエージェント型OSとして検索・ECの構造を根本から変える可能性について詳しく紹介されている。
ウェブサイトが「訪問先」から「バックエンド」になる
Googleは5月12日のAndroid ShowでGemini Intelligenceを発表した。AndroidベースのノートPC「Googlebook」を含む全デバイス(ノートPC・スマートフォン・スマートウォッチ・メガネ)のOS層に組み込まれる基盤技術として位置づけられている。
今回の発表が検索・EC業界にとって重要な理由は、OSレベルのAIエージェントがユーザーの代わりにウェブを操作するという設計思想にある。メール内の日付を指さすと会議が設定され、家具アプリで選んだ商品が自分のリビングに重ねて表示される——ユーザーはブラウザを開かない。さらに踏み込めば、ユーザーが「買う」と言うだけで、検索・比較・フォーム入力・決済までをエージェントが代行し、確認画面だけが手元に届く、という世界が現実になりつつある。
これは従来のSEOの前提を崩す。これまでの検索は「ユーザーが意図を持ち、検索エンジンにクエリを投げ、リンクを選んでサイトを訪問する」という流れだった。Gemini Intelligenceのモデルでは、AIエージェントがその中間ステップをすべて処理する——ページを読み、フォームを埋め、場合によっては購入まで完了させる。ユーザーの代わりにエージェントがサイトを訪問するのだ。
2025年1月にGoogleが公開した**Chrome Auto Browse**はその先行実装で、航空便の調査、フォーム入力、予約管理、サブスクリプション管理といった複数ステップのタスクを自動処理し、購入直前にだけユーザーに確認を求める。なお「Gemini 3をベースにしている」という記述は元記事に明示されていないため、※編集部注:モデルの詳細については元記事原文の確認を推奨する。
2つのプロトコルが「エージェントが使えるサイト」を定義する
Gemini Intelligenceが機能するには、エージェントがサイト上でタスクを確実に完了できる必要がある。その基盤として2つのプロトコルが整備されている。
WebMCP
サイトが自分の機能(在庫検索、チェックアウト開始、サポートリクエスト送信など)を構造化ツールとして宣言し、エージェントから呼び出せるようにするAPIだ。「エージェントにラベル付きのメニューを渡す」のに相当する。
GoogleとMicrosoftが共同開発。Chrome 149でオリジントライアルが開始済みで、Firefoxは2026年第3四半期、Safariは第4四半期に対応予定。
Universal Commerce Protocol(UCP)
エージェントが商品を見つけ、カートを作り、チェックアウトを完了し、注文を管理するための共通言語となるプロトコル。ユーザーがサイトを訪問しなくても購入が完結する。
Google・Shopify・Walmart・Target・Etsy・Wayfair・PayPal・Stripeが共同開発し、2025年1月に公開済みだ。消費者向けの表面レイヤーとして「Universal Cart」も用意され、Search・Gemini・YouTube・Gmail をまたいでカートを統合管理できる。
エージェントに使われるサイトを作るための数字
元記事が引用するプレプリント研究では、オンラインショッピング・認証・コンテンツ管理を対象にエージェントへの事前構造化データ提供(declared-toolsアプローチ)を評価した結果、フルHTMLをパースする従来手法と比較して処理要件を67.6%削減、コストを34〜63%削減したとされている。タスク成功率は98.8%から**97.9%**とわずかな低下にとどまっている。エージェント対応による効率向上は、精度をほとんど犠牲にせずに実現できるということだ。
※編集部注:元記事が参照するプレプリントのURLについては、記事公開日(7月10日)時点での正確な論文番号を元記事原文で直接確認することを推奨する。
開発者・SEO担当者が今すぐ確認すべきこと
記事では以下のアクションが挙げられている。
- Lighthouseの「Agentic Browsing」スコアをCore Web Vitalsと同様に確認し、エージェントがサイトを「読む」だけでなく「使える」かどうかを検証する
- ECサイトであれば、チェックアウトフローがUCPまたはACP(Agent Commerce Protocol)経由で到達可能かを確認する
- リードフォーム・予約フロー・チェックアウトページなど主要なアクションを棚卸しし、エージェントが完了できるかどうかを問い直す
- 検索からの発見・信頼獲得(retrieval)は引き続き重要で、エージェントが代行する前にまず見つけてもらう必要がある
ウェブサイトが「訪問先」から「バックエンド」へと変わる移行期において、問われるのは「検索で上位に表示されるか」ではなく「エージェントが使えるサイトかどうか」になりつつある。
詳細はGemini Intelligence signals a new era for search and commerceを参照していただきたい。