7月11日、The Next Webが「OpenAI folds safety into research as head of safety exits」と題した記事を公開した。OpenAIで安全システム責任者を務めていたJohannes Heideckeが退任し、安全チームが研究部門へ統合されるという。注目すべきは、これがOpenAIにとって2年足らずで2度目となる「安全組織を研究系の管理下に置く」再編であることだ。Superalignmentチームの解散、AGI Readinessチームの消滅、そして今回——繰り返されるパターンに、業界内外からの視線が集まっている。
安全責任者の退任と組織統合
OpenAIの安全システム責任者(Head of Safety Systems)を務めていたJohannes Heideckeが退任する。同社の最高研究責任者(CRO)Mark Chenが社内メモで明らかにしたもので、安全チームは今後、新設ポスト「VP of Research and Safety」に就くMia Glaese(ミア・グリーズ、DeepMind出身のアライメント研究者)の下に統合される。後任が決まるまでの間、Saachi Jain(サーチ・ジェイン)が暫定の安全システム責任者を務める。
Heideckeは2021年にAI安全アナリストとしてOpenAIに入社し、2024年にLilian Wengの後任として安全システム責任者に就任した。モデルのアライメント(AIの目標と人間の意図を整合させる技術的取り組み)、ルールベースの報酬システム、危険な能力を持つモデルの評価(Preparedness Evaluations)などを担当していた。
ChenはHeideckeへの感謝を述べつつ、統合の狙いをこう説明している。「安全に関する作業をフロンティアモデルの開発に組み込み、主要なモデル・製品・ローンチの決定に、より早い段階から直接関与させることが重要だ」。
これで何度目か——解体されてきた安全チームの歴史
今回の動きは、OpenAIにとって2年足らずで2度目となる「安全組織を研究系の管理下に置く」再編である。これまでの経緯を並べると、パターンが見えてくる。
- 2023年: Superalignmentチームを発表。コンピュート資源の**20%**を充てると宣言
- 2024年5月: Ilya SutskeverとJan Leikeが離脱し、Superalignmentチームを解散。Leikeは退任時に「安全文化とプロセスが華やかな製品に押しのけられてきた」と公開書簡で批判
- 2024年10月: AGI Readinessチームのリーダー、Miles Brundageが辞任。チームも消滅
- 2025年(時期不明): SuperalignmentチームのリーダーだったJoshua Achiamが「チーフフューチャリスト」という新肩書に就き、後継にあたるMission Alignmentチームが解散(※元記事には「発足から16ヶ月で解散」と記載されているが、発足・解散の正確な時期は編集部では確認できていない)
- 2025年4月: 製品責任者、Soraチーフ、エンタープライズCTOが同日に退任
- 今月: Fidji Simo(最高アプリケーション責任者)が医療上の理由で退任
Heideckeの前任者であるLilian Wengは、元OpenAI CTOのMira Muratiが創業したスタートアップ、Thinking Machines Labsに移籍している。Muratiは最近、AIガバナンスがモデルの能力向上に追いついていないと公に警鐘を鳴らしている。
「統合」の論理と、その反論
OpenAIが示す統合の論理は、「安全を最終チェックポイントではなく、開発の最初から組み込む」というものだ。Glaeseの肩書に「Safety」の文字が残っていることも、安全を引き続き優先課題とする意図の表れとされる。同社は4月6日にSafety Fellowshipを立ち上げ、外部研究者を招いて独立した安全・アライメント研究を行う枠組みも設けている。
一方、批判的な見方もある。研究部門の内側に置かれた安全チームは、独立した組織として存在する場合に比べて構造的な独立性が低く、製品のリリースを遅延・阻止する交渉力も弱くなる、というものだ。
外部からの圧力も強まる
この再編は、OpenAIへの外部からの監視が強まる時期と重なる。同社がIPO(株式上場)の機密申請を行った直後、42の州司法長官が調査に乗り出し、広告・ユーザーデータ・社内ポリシーに関してサブポエナ(召喚状)を送付している(詳細)。
詳細はOpenAI folds safety into research as head of safety exitsを参照していただきたい。