7月10日、The Next Webが「OpenAI launches ChatGPT Work, an agent built to finish the job」と題した記事を公開した。OpenAIが同日正式ローンチした新機能「ChatGPT Work」は、複数アプリをまたいで作業を完遂するエージェントだ。「答えるAI」から「仕上げるAI」へ——その転換を象徴するリリースとして注目を集めている。
「答える」から「仕上げる」へ
OpenAIはこれまでの2年間、「ChatGPTはほぼ何でも答えられる」と訴えてきた。今回のChatGPT Workは、その次のフェーズだ。ユーザーのアプリやファイルをまたいでアクションを取り、必要なら数時間かけてプロジェクトを継続し、ゴールを「完成した成果物」に変えることを目指す。
動力はGPT-5.6(OpenAIが命名した最新のフロンティアモデル)。同日に米政府審査をクリアして広くロールアウトされたモデルで、多段階タスクの推論やテンプレート・参照ファイルに沿った成果物生成に強みを持つとOpenAIは説明している。
内部エンジンはCodexだ。OpenAIが2025年以降にエージェント基盤として再定義したエンジンで、Web・モバイル・デスクトップ全体で実作業をこなせるよう組み込まれている(旧来のコード補完ツールとしてのCodexとは別物として理解されたい)。Codexは現在、週500万人以上が使用しており、うち100万人超がソフトウェア開発以外のタスクに活用しているという。この統合は、共同創業者のGreg BrockmanがChatGPTとCodexを単一のエージェント基盤に統合する方針を示していた流れの延長線上にある。
実際にどう動くか
ChatGPT Workへの入り口として想定されているのは、ユーザーがすでによく知っている業務だ。月末の予算差異分析、素材をマーケティングキャンペーンブリーフに変換する作業、営業会議の準備など。ユーザーはエージェントの進捗を追いながら、途中で質問に答えたり、方向を変えたり、重要なアクションを承認したりできる。
単一のリクエストからワークフロー全体を任せることも可能だ。OpenAIが示した例では、顧客リサーチをキャンペーンブリーフに変換し、そのブリーフをもとにマーケティング素材を生成し、さらに異なる市場向けにアダプテーションするまでを一連の流れで処理する。各ステップで文脈を再説明する必要がなく、エージェントが全体を通じてコンテキストを保持するのが特徴だ。
早期ユーザーとして紹介されているZapierのエンタープライズマーケティング責任者Angela Ferrante氏の事例が具体的だ。月間数千件のリードをレビューする仕組みをChatGPT Workで構築し、CRMとメールをまたいで顧客タッチポイントをトレース、フォローアップが途切れた箇所を特定し、7桁ドル規模の潜在売上を可視化するウィークリーエグゼクティブダッシュボードを生成したという。
デスクトップアプリが戦略の核心
デバイス間の連携も設計に組み込まれている。スマートフォンでタスクを開始し、外出先でドラフトを確認し、会議の合間に進捗をチェックし、デスクに戻ってWebで作業を再開するという使い方が想定されている。
デスクトップアプリが戦略の中心だ。ローカルファイルやアプリに直接アクセスできるほか、新たに搭載された組み込みブラウザがWebサイト・ツール・オンラインファイルを一元管理する。既存のCodexアプリはこの新しいChatGPTデスクトップアプリに統合され、Chat・Work・Codexが一つのアプリに収まる形になる。
CodexはChatGPT Workの一部として機能強化も受けた。差分(diff)内のインライン編集、サイドパネルでのプルリクエストレビュー、GPT-5.6による高速なComputer Use、単一プロジェクト内での複数リポジトリサポートが追加されている。エンジニアリングの用途では、チケットからテスト済みのプルリクエストまでを一連のフローで処理できるとしている。
プラグイン、Sites、スケジュール実行
既存ツールとの連携はプラグインで行う。Slack・Microsoft Teams・Google Drive・SharePoint・メール・カレンダー・CRM・プロジェクト管理ツールなどに接続でき、ChatGPTが自動でプラグインを参照するか、「@アプリ名」で特定のアプリを指定する方式だ。
Sitesはパブリックベータとして同時ローンチ。作業やアイデアをURLで共有できるインタラクティブなサイトやWebアプリに変換する機能で、ライブダッシュボード、プロジェクトトラッカー、ローンチカレンダー、社内ポータル、インタラクティブレポートへの活用が想定されている。元データが変わればSitesのコンテンツも更新できる。
Scheduled Tasksは繰り返し作業を自動化する。一度きり、スケジュール実行、イベントトリガーの3形態があり、Slackの更新から定例会議アジェンダを自動更新する、毎朝ダッシュボードをチェックして変化をサマリーで送る、メールで新しいフィードバックが届いたらプレゼンを更新するといった用途が例示されている。
セキュリティと料金
ガバナンス面では、エンタープライズグレードのセキュリティ・プライバシー・コンプライアンス基盤の上に構築されていると説明されている。Enterprise・Eduの管理者はアクセス権限、使用可能なコンテキスト、接続ツール、実行可能なアクションを一元管理できる。
Computer Useの前に重要なアクションを自動レビューする層も設けており、OpenAI自身が実施した敵対的レッドチーミング(※AIシステムの脆弱性を意図的に探す評価手法)では、保護データ抽出の試みを100%ブロックしたと主張している。ただしこの数値はOpenAI自身の報告であり、独立検証はされていない点には留意が必要だ。
料金体系はCodexと同様の従量制で、複雑なタスクほど利用量を多く消費する設計だ。まずPro・Enterprise・Eduユーザーに展開し、その後数日以内にPlus・Businessプランにも順次提供される。Chat・Work・Codexは無料プランを含む全プランで利用可能となる。
詳細はOpenAI launches ChatGPT Work, an agent built to finish the jobを参照していただきたい。