7月7日、Googleが「Expanding Managed Agents in Gemini API: background tasks, remote MCP and more」と題した記事を公開した。Gemini APIのManaged Agentsに追加された4つの新機能——バックグラウンド実行、リモートMCP統合、カスタム関数呼び出し、ネットワーク認証情報のリフレッシュ——について詳しく紹介されている。
バックグラウンド実行とリモートMCP対応が核心
今回の更新でエンジニアが最も注目すべき点は、バックグラウンド実行とリモートMCPサーバー統合の2点だ。この2つが「核心」である理由は明確で、どちらも従来のManaged Agentsが抱えていた構造的な制約——「長時間タスクを安定して走らせられない」「外部・社内ツールへの接続にカスタム実装が必要」——をプラットフォームレベルで解消するものだからだ。これにより、開発者はインフラ側の問題回避に費やしていたコストをビジネスロジックの実装に集中させられる。
バックグラウンド実行:長時間タスクのHTTP接続問題を解消
これまで長時間かかるエージェントタスクをHTTPで処理しようとすると、コネクションを維持し続ける必要があり、接続切断のリスクが伴っていた。データのスクレイピングや大規模なコード生成・テストといった処理は、完了までに数分〜数十分を要することがあり、クライアントが接続を保ち続けることを前提とするアーキテクチャでは現実的な運用が難しかった。
今回追加された**background: true**オプションを渡すことで、インタラクションをサーバー側で非同期実行できるようになった。APIはすぐにIDを返し、クライアント側はそのIDを使ってポーリング、進捗のストリーミング受信、または後からの再接続が可能になる。エージェントはクライアントとは切り離されたまま処理を完結させるため、モバイルアプリやサーバーレス環境のように接続が不安定なクライアントからも長時間タスクを安全に発行できる。
// @google/genai JavaScript SDK の例
// background: true を渡して非同期実行
コードサンプルや詳細な実装手順は公式のバックグラウンド実行ガイドに掲載されている。
リモートMCP統合:プロキシ実装なしで内部APIへアクセス
MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルが外部ツールやデータソースと接続するためのオープンプロトコルで、Anthropicが2024年末に提唱して以降、各社のAIエージェント実装で広く採用されつつある。MCPの概要については公式仕様サイトも参照されたい。
従来、プライベートなデータベースや社内APIにエージェントからアクセスするには、カスタムのプロキシミドルウェアを自前で実装する必要があった。このミドルウェア実装はセキュリティ設計・認証連携・エラーハンドリングなど考慮点が多く、エージェント本体の開発より先に相当な工数を取られる問題があった。今回の更新により、リモートMCPサーバーへの直接接続がManaged Agentsに対してネイティブにサポートされた。
インタラクション時にmcp_serverツールをパラメータとして渡すだけで、Google SearchやCode Execution(コード実行)との組み合わせも可能になる。エージェントはセキュアなサンドボックス内からMCPサーバーと通信するため、既存のセキュリティ境界を崩さずに外部ツールを追加できる。外部ツールやAPIを組み込む際は公式のセキュリティベストプラクティスに従うことが推奨されている。
追加された2つの機能
カスタム関数呼び出し
組み込みサンドボックスツールに加えて、カスタム関数をローカル実行用ツールとして追加できるようになった。APIはステップマッチング方式を採用しており、組み込みツールはサーバー側で自動実行され、カスタム関数が必要な場面ではインタラクションがrequires_action状態に遷移する。クライアント側でそのタイミングにローカルのビジネスロジック——たとえば社内DBへのクエリや独自の計算処理——を実行し、結果をエージェントに返す仕組みだ。これにより、Googleのサンドボックス外にあるシステムとのハイブリッドな処理フローを、単一のエージェント実行内で完結させられる。なお、カスタム関数呼び出しの実装詳細はAntigravityエージェントのドキュメントを参照されたい。
ネットワーク認証情報のリフレッシュ
アクセストークンや短命のAPIキーが期限切れになった際、既存のenvironment_idに新しいネットワーク設定を渡すことで認証情報を更新・ローテーションできるようになった。新しいルールは即座に適用され、サンドボックスのファイルシステム状態、インストール済みパッケージ、クローン済みリポジトリはそのまま維持される。長時間にわたるエージェントセッションでトークンの有効期限が切れるたびにセッションを破棄して再起動する、といった対処が不要になる点で、実運用上の恩恵は大きい。実装詳細はこちらもAntigravityエージェントのドキュメントで確認できる。
Gemini Interactions APIとの関係
これらの機能はGemini Interactions API上のManaged Agentsとして提供される。単一のエンドポイントを呼ぶだけで、推論、Code Execution(コード実行)、パッケージインストール、ファイル管理、Web情報取得をGemini側が分離されたクラウドサンドボックス内で処理する。
SDKのサンプルは@google/genai JavaScript SDK向けに提供されており、PythonやcURLのサンプルはAntigravityエージェントのドキュメントで確認できる。まず試してみたい場合はManaged Agentsクイックスタートが出発点として用意されている。
詳細はExpanding Managed Agents in Gemini API: background tasks, remote MCP and moreを参照していただきたい。