7月7日、Anthropicが「Claude Cowork on web and mobile: hand off work anywhere」と題した記事を公開した。AIエージェント機能「Claude Cowork」がウェブおよびモバイルに対応し、デバイスがオフラインでもタスクがバックグラウンドで動き続けるようになったことを伝える内容だ。スマートフォンを閉じても、会議中でも、Claudeが自律的に作業を進める——そのコンセプトがデスクトップ限定から解放された意義は大きい。
「タスクを渡して閉じる」という使い方が、どこでもできるようになった
Claude Coworkは、ファイル・カレンダー・メール・メッセージアプリ・ウェブといった各種ツールを横断してClaudeが自律的にタスクをこなすエージェント機能だ。2025年初頭にデスクトップアプリ限定でローンチされ、数ヶ月間はmacOSおよびWindowsのデスクトップ環境でのみ利用可能だった。今回のアップデートでウェブ(claude.ai)とモバイル(iOS/Android)に対応し、初めてCoworkに触れる読者もブラウザやスマートフォンアプリから試せるようになった。ベータアクセスは今後数週間かけてMaxプランユーザーから順次展開される。
注目すべきは、単なるマルチデバイス対応ではなく、「デバイスがオフラインでもタスクが動き続ける」点だ。ラップトップを閉じて会議に向かっても、Claudeはバックグラウンドで処理を継続する。スケジュール実行も可能で、たとえば「月曜朝6時にクライアント資料を準備する」と設定しておけば、ClaudeがメールスレッドDEVICE・通話トランスクリプト・最新ニュースを読み込んでブリーフィングドキュメントを作成し、送信前のフォローアップメールまで下書きしておく。ユーザーはコーヒーを飲みながら確認するだけだ。
コーディング以外の「仕事の周辺業務」が主な用途
AIエージェントはコード生成の文脈で注目されてきた。しかし元記事によれば、Coworkの実際の使用用途のうち90%以上がソフトウェア開発以外だという。最も多いのはビジネスオペレーションとコンテンツ作成で、合わせて全使用量の約半分を占める。
具体的には以下のような業務だ:
- 四半期の支出照合と差異レポートの起草
- 契約書フォルダをリスク付きの更新トラッカーに変換
- 通話トランスクリプトとパイプラインデータからクライアント向けデッキを構築
いわゆる「仕事の周辺業務(work around the work)」——誰かの職務記述書には載っていないが、全員の週の大きな部分を占める作業——がターゲットだ。Gemini for WorkspaceやMicrosoft Copilotもオフィス業務の自動化を進めているが、Coworkが「デバイスを閉じても動き続ける」バックグラウンド実行と通知ベースの承認フローを前面に打ち出している点は、ワークフロー設計の思想として明確な差異がある。※編集部の考察
今回変わる3つのこと
1. 作業がデバイスをまたいで続く
デスクで始めたタスクをスマートフォンから確認し、どのデバイスでも成果物を受け取れる。ユーザーのArmand Hosseini氏(Ramp、カスタマーサクセス)は次のように述べている:
「出張中にクライアントをトラッキングするダッシュボードを作った。ラップトップで始めて、荷物を待っている間にスマートフォンでセッションを引き継いだ。スレッドがそのまま保たれていた。」
2. デバイス不要のバックグラウンド実行
スケジュール設定したタスクは、デバイスがオンラインでなくても実行される。
3. 判断はユーザーに委ねられる
Claudeが自己判断できない意思決定ポイントに達すると、スマートフォンに通知が届く。会議中でもドラフトの方向修正が可能で、承認するまで何も外部に送信されない。
デスクトップの位置づけと利用開始
デスクトップはローカルファイルやブラウザを使った「ディープワーク」の場として引き続き最も機能が充実している。一方で、デスクトップアプリをインストールできないユーザーもウェブ版でCoworkを使えるようになった点は実用面で大きい。
また、ウェブとデスクトップ両方で、チャットとCoworkが同一ホーム画面に統合された。プロジェクトとアーティファクトも両者で共有される。
ローンチを記念して、Coworkの使用量制限が2倍に拡張され、8月5日まで延長されている。
利用開始は、ウェブならclaude.aiのホーム画面、モバイルならClaudeアプリのサイドバーからCoworkを開く。フル機能はClaudeデスクトップアプリで利用できる。なお、現時点でのCoworkアクセスはMaxプランが対象となっており、個人・チーム向けの上位プランに位置づけられている。
詳細はClaude Cowork on web and mobile: hand off work anywhereを参照していただきたい。