7月8日、SiliconAngleが「Amazon launches $25B bond sale to fund AI infrastructure」と題した記事を公開した。AmazonがAIインフラ投資のために250億ドル規模の社債を発行し、需要がその2.5倍近くに達したことを伝えている。
250億ドルの社債、需要は620億ドルに達した
Amazonが債券市場に戻ってきた。今回の調達額は最低250億ドルで、AIインフラ整備の資金に充てられる。
発行形態は8本立てのシニア無担保社債(senior unsecured notes。担保資産を設定せず、企業の信用力のみを根拠に発行する社債)で、償還期間は3年から40年まで幅広い。金利は大半が固定、一部は変動金利。調達資金の用途はGeneral corporate purposes(一般企業目的)とされており、AmazonのスポークスマンはCNBCに対し、「将来の設備投資や既存債務の返済にも充当できる」と説明した。
注目すべきは需要の強さだ。火曜日のピーク時には注文が620億ドルに達した。その後、主幹事行がスプレッド(ベンチマーク金利への上乗せ幅のこと。縮小するほど発行体に有利な条件となる)を縮小したため、最終的なオーダーブックは約410億ドル、ディール規模の約1.6倍で着地した。主幹事はBarclays、Goldman Sachs、JPMorgan Chase、Morgan Stanleyの4行が務めた。
今年だけで累計890億ドル超の借り入れ
これは単発の資金調達ではない。Amazonは今年すでに米国・欧州で約540億ドルの社債を発行しており、6月にはカナダで100億ドルを追加している。今回の250億ドルを合わせると、2026年の借り入れ総額は890億ドル超に達する。なお同社は、今年はこれ以上の起債を行わない方針を引受銀行団に伝えたとされる。
借り入れが続く背景には、支出がキャッシュ創出を上回っていることがある。Amazonは2026年の設備投資額を約2,000億ドルと見込んでいる。2025年実績の約1,310億ドルから大幅な増加だ。この大半をデータセンター、半導体、AWSの運用インフラが占める。
こうした大規模な資金調達が相次いでいる背景には、現在の金利環境も関係している。高金利が続く局面であっても、AI需要への成長期待から機関投資家の需要は旺盛であり、GAFAMのような高格付け企業は比較的有利な条件で巨額調達を実現できている。需要が供給を大きく上回る今回の結果は、その端的な証左といえる。
Andy Jassyの論理:作るより速く売れている
CEO Andy Jassyはこの巨額支出を擁護している。「AI処理能力への需要が、Amazonが新たに供給できるペースを上回っている。かつ、構築するより速く収益化できている」というのが彼の主張だ。
実際、直近四半期のAWS売上高は前年比28%成長を記録した。また、Amazonが自社開発するTrainium(AI学習向けに最適化した独自アクセラレーターチップ。NVIDIAのGPUへの依存低減を目指す自社半導体戦略の中核を担う)とGraviton(汎用コンピューティング向けに設計したARM系プロセッサー。電力効率の高さでAWSの標準インスタンスに広く採用されている)の2製品は、今年だけで100億ドル超の売上をもたらすとJassyは述べている。
業界全体で7,000億ドルを超えるAI投資競争
この動きはAmazon単独ではない。Alphabet、Microsoft、Metaもそれぞれ債券市場・株式市場を活用してAI投資を拡大しており、これら4社合計の2026年AI投資額は7,000億ドル超に達する見通しだ。
投資家が注目しているのは、この巨額支出のどれだけが利益ではなく借金で賄われているかという点だ。Amazonにとっては「需要が持続するかどうか」が最終的な答えを決める。
詳細はAmazon launches $25B bond sale to fund AI infrastructureを参照していただきたい。