7月7日、Windows Latestが「Microsoft 365 Copilot adoption is under 4.5% after 3 years, only 1% use it weekly, yet prices went up」と題した記事を公開した。3年間の展開を経ても有料利用率4.5%未満・週次利用は1%程度という低迷の中、Microsoftはこの状況を「継続的なイノベーション」と称しつつ価格を引き上げている。しかも有料版の目玉として推しているのは、Microsoftではなく競合Anthropicのモデル「Claude」だ。
有料版の目玉がAnthropicのClaudeという皮肉
有料版で実質的に最も目立つ追加機能はモデル選択だ。MicrosoftはAnthropicのClaudeモデルをResearcher、Copilot Studio、Copilot Chat、Copilot in Excelで利用可能にしたと公式ブログで発表している(管理者によるオプトインが必要)。
つまり、有料アドオンの月30ドルのうち相当部分は「Microsoftのラッパーの中でClaudeを動かすライセンス」だ。MicrosoftはWork IQやMicrosoft Graph連携を差別化ポイントとして押し出しているが、モデルの出力品質でClaudeに勝ると主張はしていない。この構図は、Microsoftが自社AIの競争力に自信を持ちきれていないことを暗示している。
4億5000万ユーザーのうち、週1回でも使う人は約1%
Fortuneの報告によると、Microsoftの商用Microsoft 365顧客は約4億5000万人存在する。そのうちCopilotの有料ライセンスを追加購入しているのは4.5%未満だ。さらに、その有料ユーザーのうち週に1度でもCopilotを開くのは20〜30%にすぎない。掛け算すると、**週次アクティブユーザーはMicrosoft 365全体の約1%**という計算になる。
MicrosoftはWord、Excel、Outlook、Teams、そしてWindows 11のタスクバーにまでCopilotを統合してきた。それだけの投資をしてこの数字だ。
Copilotチーフを務めるJacob AndreouによるMicrosoft内部メモ(The Informationが報じ、The Decoderが追った)では、CopilotはIf it has to 「earn the right to exist(存在する権利を勝ち取れ)」 と言及されている。社内でも危機感を共有していることが伺える。
なお、この4.5%は有料の「Microsoft 365 Copilot」アドオンの話だ。Microsoft 365の対象プランに含まれる無料の「Copilot Chat」は別扱いで、追加費用ゼロで自動的に使えるため利用数は多い。
有料版で何が増えるのか
Microsoft 365のCopilotは大きく3段階に分かれている。
- 無料版(copilot.microsoft.com): Webベースのチャット、画像生成、Copilot in Edge。Microsoft 365不要。
- Copilot Chat(Microsoft 365サブスク付帯): 追加費用なし。ITコントロールや従量課金型エージェントを利用可能だが、自社の業務データ(メール・会議等)には触れない。
- Microsoft 365 Copilot(有料アドオン): Microsoft Graphを通じてメール・ファイル・会議の内容を横断的に参照可能。ResearcherやAnalystといった高度なエージェントも利用できる。
価格は、エンタープライズ向けがユーザー1人あたり月30ドル(既存のMicrosoft 365ライセンスに追加)。300席未満の中小企業向けは約21ドル。これにBusiness Standardのプラン料金(先日12.50ドルから14ドルへ値上げされた)を足すと、1ユーザーあたり月35ドル超になる。
「Microslop」という評判
Microsoftが強引にCopilotを各所へ埋め込んできた姿勢は、ネット上で「Microslop」と呼ばれ定着した。Notepad、Paint、File Explorerへの統合、WordやExcelへのフローティングボタン設置(その後ユーザーの反発を受けて撤回)、さらにはCopilotキーを物理的にキーボードに追加しながら後に「生産性を損なう可能性がある」と認めて再マッピングを許可するなど、迷走が続いた。
Microsoftは2026年3月にNotepadなどのインボックスアプリでCopilotブランディングを縮小している。また、元MicrosoftのVPは「Microsoft 365ユーザーのうちCopilotに課金しているのは3.3%」と発言しており、今回の4.5%という数字との近さが現状の深刻さを裏付けている。
開発者ツール側も同様だ。GitHub Copilotの有料加入者は470万人だが、CursorやClaude Codeに開発者のシェアを奪われつつある。
Satya Nadellaが2023年に競合他社をAIで圧倒する意図を明言したことは広く報じられているが(※元記事に引用として掲載されているが、一次出典の特定が困難なため表現を調整)、現時点でCopilotのWeb上のシェアは約1%。Geminiが伸びる一方で、Copilotは苦戦している。
採用率が低いまま値上げが行われた背景
Microsoft 365の料金が上がった直接の理由としてMicrosoftは「継続的なイノベーション」を掲げているが、なぜこの時期に値上げを実施したのか、その詳細な経営判断は公式には明らかにされていない。ただ、Copilot採用率が4.5%に満たない段階での値上げは、「人気サービスをバンドルすることでAIの使用を促す」賭けに見える。次世代のCopilotがユーザーに「開く理由」を与えられるかどうかが、この賭けの行方を左右する。
詳細はMicrosoft 365 Copilot adoption is under 4.5% after 3 years, only 1% use it weekly, yet prices went upを参照していただきたい。