7月6日、Techstrong AIが「Meta's Upcoming 'Watermelon' AI Model Draws Even with OpenAI's GPT-5.5: Report」と題した記事を公開した。Metaの次期AIモデル「Watermelon」が社内ベンチマークでOpenAIのGPT-5.5と同等の性能に達したとする社内報告を伝える内容だ。ただし、比較の根拠となる具体的なベンチマークは未公開であり、同じタウンホールではZuckerberg自身がAIエージェント開発の遅延を率直に認めるという逆説的な展開も明らかになっている。
MetaのWatermelonがGPT-5.5と同等水準に到達
Metaの最高超知性責任者(Chief Superintelligence Officer)であるAlexandr Wangが、社内タウンホールミーティングで従業員に対し、開発コード名「Watermelon」と呼ばれる次期AIモデルが社内ベンチマークでOpenAIのGPT-5.5と同等の性能に達したと伝えた。この情報はBusiness Insiderが最初に報じた。
WangはもともとAI学習データプロバイダーであるScale AIのCEOを務めていた人物だ。Scale AIは人間のフィードバックを活用したデータアノテーションサービスで知られ、OpenAIやGoogleなど主要AI企業との取引実績を持つ。そのWangを2025年初頭にMetaが引き抜き、新設の「Meta Superintelligence Labs」のトップに据えた。Meta Superintelligence Labsは、OpenAIやGoogle DeepMindに対抗するフロンティアモデル開発を専門に担う組織として設立された部門である。
Watermelonは現在トレーニング段階にある。Wangによれば、このモデルは前身モデル「Avocado」(4月にリリースされたMuse Sparkの社内コード名)と比べて「1桁上のコンピューティングリソース」を要するという。Muse Spark自体は標準ベンチマークで一定の成果を残したものの、MetaはOpenAI・Google・Anthropicのトップクラスのモデルに対抗できるフロンティアモデル(各社が競って開発する最高水準のAIモデルの総称)とは位置付けていなかった。Watermelonはその構図を変えることを目指している。
ただし、比較の根拠は未公開
注意すべき点がある。WangがGPT-5.5との同等性を主張する根拠とした具体的なベンチマークは現時点で開示されていない。外部の専門家は、公開データが揃うまでこの主張を慎重に受け止める姿勢を示している。
さらに、仮にWatermelonがGPT-5.5に追いついたとしても、OpenAIはすでにその後継となるモデルの開発を進めており、競合が常にリードを保っている現実は変わらない。フロンティアモデル競争では、性能の同等性を主張した時点で比較対象がすでに次世代へと移行しているという構図が繰り返されている。
ZuckerbergのAIエージェント戦略は遅れを認める
同じタウンホールでは、Mark ZuckerbergがAIエージェント開発の遅延を率直に認めた。
「少なくとも過去4ヶ月間、エージェント開発の軌跡は我々が期待したような形では加速していない」
コーディングアシスタントをはじめとするツールの開発速度について、経営陣が過度に楽観的だったと述べた。AIエージェントとは、ユーザーの指示に基づいて複数のタスクを自律的に実行するAIシステムを指す。OpenAIのOperatorやAnthropicのComputer Useなど、各社がエージェント機能の実用化を競う中、Metaの遅れは相対的な地位に影響しうる。
投資額は最大1450億ドルに上積み
遅れを取り戻すため、Metaは投資規模を引き上げている。チップ・データセンター・専用ハードウェアへの今年の支出見通しを、当初の1150〜1350億ドルから1250〜1450億ドルに上方修正した。
人材獲得面でも積極的な動きが続いており、競合他社からトップクラスのAI研究者を引き抜くために数億ドル規模の報酬パッケージを提示しているとされる。Wang自身の招聘もその一環であり、Meta Superintelligence Labsの立ち上げは単なる組織改編ではなく、フロンティアモデル競争への本格参入を宣言するものとして業界では受け止められている。
近日中のアップデートを示唆
WangはX上でのポストで、現行のMuse Sparkモデルに近日中にアップデートを行うと予告しており、コーディング能力と自律エージェント機能に「大きな飛躍」があると述べた。AnthropicのClaude Opusに匹敵するコーディングモデルの投入時期を問われると「かなり近いうちに」と回答している。
Metaはタウンホールでのリークについてコメントを拒否しており、Watermelonの正式リリース日やオープンソース化の予定も発表されていない。社内ベンチマークでの好結果が公開評価にどう反映されるかが、今後の注目点となる。
詳細はMeta's Upcoming 'Watermelon' AI Model Draws Even with OpenAI's GPT-5.5: Reportを参照していただきたい。