7月6日、The Next Webが「UK's Cooper warns of an AI 'Hiroshima' without rules」と題した記事を公開した。英国外相イヴェット・クーパーがAIを「次の10年における最大の安全保障上の脅威」と位置づけ、国際的なルール整備を訴えたことについて詳しく紹介されている。
「惨事の前に動け」——クーパーの核心的な主張
英国外相イヴェット・クーパーは、チャタムハウス(英国の国際問題研究機関)向けに執筆したエッセイの中で、AIと核兵器の歴史的な類比を持ち出した。
「核については、世界がヒロシマで新技術の恐るべき力を目の当たりにして初めて、国際的な合意が生まれた。AIにおけるヒロシマに相当する出来事を待ってから行動することは、許されない」
このメッセージは単純だ。ルールは惨事の後ではなく、前に作るべきだ。クーパーはGuardian紙のインタビューでも同様の考えを語り、AIは「今後2年間で私たちが対処する支配的な外交政策課題になる」と述べた。戦争や貿易が主テーマの外交の場でこれほど強い言葉が使われるのは、異例だ。
なお、記事タイトルおよびクーパー自身のエッセイに含まれる「ヒロシマ」という表現は、核兵器による被害を踏まえた歴史的な警句として元記事が原文のまま使用しているものであり、本稿もその引用として紹介している。
クーパーが求めるのは、米国と中国を含む大国を交渉のテーブルにつけることだ。
なぜ今なのか
この警告には背景がある。国連の科学パネルによる最近の報告書は、AIがサイバー犯罪・詐欺・偽情報を大規模に助長しうると警告しており、技術の進展が各国政府の対応能力を超えているとも指摘している。リスクは仮定の話ではない。
英国は2023年に世界初のAI安全サミットを開催しており、クーパーはその実績を根拠に「英国が議論を主導できる立場にある」と主張する。同サミットにはイーロン・マスクを含む各国首脳やテック企業幹部が集まった。英国の研究機関は現在も先進AIシステムに向けた技術的な安全策の構築を進めている。
最大の難題:米中を合意させること
問題の核心はここにある。クーパー自身のエッセイが認めているように、ワシントンへの期待は低くならざるを得ない。米国が従来の「世界の調停役」から退きつつある今、まさにその状況下でAIの国際ルールを作ることが最も困難になる、という矛盾がある。
ただ、主張の本質はそれとは独立して成立する。AIの安全保障は、カンファレンス会場から外交政策の中枢へと移行しつつある。
クーパーの賭けは、世界が取り返しのつかない事態の前に動けるかどうかだ。規制の窓は狭まっている。
詳細はUK's Cooper warns of an AI 'Hiroshima' without rulesを参照していただきたい。