7月3日、The Next Webが「Zuckerberg says Meta's AI agent progress is slower than expected」と題した記事を公開した。マーク・ザッカーバーグがMetaの社内タウンホールで、AIエージェントの開発進捗が期待を下回っていると自ら開示した経緯について詳しく紹介されている。
「期待通りに加速していない」——ザッカーバーグの率直な発言
ザッカーバーグは木曜日の社内タウンホールで、AIエージェント開発の軌跡について次のように述べた。
「少なくともここ4ヶ月間、エージェント開発のトラジェクトリは私たちが期待したような形で加速していない」
この発言が重いのは、その規模感を背景に置くと際立つからだ。Metaは今年、AIインフラに最大1,450億ドルを投じる計画を立てており、5月には約8,000人を削減しながら同時に約7,000人をAI関連部門に異動させるという大規模な組織再編を実施した。それだけの人的・資本的投資を行った結果として出てきたのが、「期待通りに進んでいない」という率直な開示だ。
OpenAI、Google、Anthropicを含む主要プレイヤーが今年一斉に注力しているエージェントAI(人間が逐一指示しなくても複数ステップのタスクを自律的にこなせるAIシステム)の領域において、大手ラボのトップが進捗の遅れを社内で明言するのは珍しい部類に入る。Metaはオープンソースの大規模言語モデルLlamaシリーズや対話サービスMeta AIを通じてAI競争に参戦しているが、エージェント機能の実装という点では競合に後れを取っている可能性を、今回の発言は示唆している。
組織再編の前提が崩れた
再編の判断は今年1〜2月に行われた。当時の経営陣は、AnthropicのClaude CodeのようなAIコーディングツールに「非常に楽観的」だったとザッカーバーグは説明した。その楽観論が、Meta社内製品でのエージェント機能の加速につながると見込んでいた。
だが、その前提は実現しなかった。ザッカーバーグ自身が「あの時期に下した賭けはまだ実を結んでいない」と認め、組織変更のタイミングについても、Metaが「十分なスピードで適応できないのではないか」という恐れに駆られた部分があったと明かした。
5月の別のタウンホールでは、会社の支出は「コンピュートと人員」という2つのコストセンターで成り立っており、人員の比率はコンピュート側に傾いていくと従業員に説明していた。
3〜6ヶ月以内に「より大きな恩恵」——ただし具体性なし
ザッカーバーグは前向きな見通しも示した。今後3〜6ヶ月以内にAI投資から「より大きな恩恵」が得られると予測しているという。ただし、どの製品やチームがその成果を出すかは明言しなかった。Metaの広報もReutersの取材に対してコメントを断った。
今月後半に控えるMetaの第2四半期決算発表が、ザッカーバーグが投資家から直接質問を受ける最初の機会となる。
社内の別問題:従業員監視ツールの波紋
同じタウンホールでは、別の問題も取り上げられた。MetaCTOのアンドリュー・ボスワースが、社内審査の結果を報告した。Metaが「Model Capability Initiative」と呼ぶ取り組みの一環として4月に導入したマウストラッキング・キーストローク監視ツールについて、収集した従業員データはAIモデルの学習には使用されていなかったと説明した。
このツールはオプトアウトの選択肢なしに展開されたため、社内で反発を受けて一時停止されていた。ボスワースは再開の可能性を示しつつも、今後はオプトイン方式に変更する方針を明らかにした。
組織疲弊と技術遅延が並行する構図
エージェントAIをめぐる遅れは、技術面だけの問題ではない。Applied AIユニットのエンジニアたちが、再編以降の労働環境を「過酷だ」と訴えているという報告もある。ザッカーバーグの発言は、組織文化の疲弊と技術的な遅延が少なくとも並行して進行していることを示唆している。
1,450億ドルという投資規模は業界でも最大級だが、資金とエンジニアリングリソースを積み増すだけでは解決しきれない課題がエージェントAI開発には存在する——今回の発言はそのことを、図らずも浮き彫りにしている。
詳細はZuckerberg says Meta's AI agent progress is slower than expectedを参照していただきたい。