7月2日、Ars Technicaが「Google's AI buildout drove 37% increase in electricity use in 2025」と題した記事を公開した。再エネ100%を掲げる看板の裏で、Googleは天然ガス発電所の建設を容認しつつAIインフラを急拡大させている——その実態が、同社の最新エネルギーレポートと独立系アナリストの分析によって明らかになった。
電力消費37%増という数字の重み
2025年、GoogleのAIインフラ拡大が同社の電力使用量を前年比37%押し上げた。 大規模言語モデルのトレーニングや推論処理が、現実のエネルギーインフラにどれほどの負荷をかけているかを示す具体的な証拠だ。
同時に、サプライチェーン由来の排出量も25%増加した。Googleは、この増加の原因として「アジア太平洋地域のサプライチェーンが、カーボンフリーエネルギーの供給が依然として不足しているグリッドで稼働しているため」と説明している。委託製造業者や仕入先からの間接排出(いわゆるScope 3排出)が、自社の再生可能エネルギー調達だけでは相殺しきれていない実態が浮かび上がる。
AIによるデータセンター電力需要の急増はGoogle固有の問題ではなく、業界全体の構造的課題だ。国際エネルギー機関(IEA)は、世界のデータセンター消費電力が2026年までに2022年比で倍増する可能性があると指摘しており、MicrosoftやAmazonも同様の電力消費増大に直面している。Googleの37%増という数字は、その最前線を示すベンチマークとして業界に重くのしかかる。
「再エネ100%」の看板と現実のギャップ
Googleは9年連続で、グローバルな電力消費量の100%を再生可能エネルギーの購入で相殺している。2025年には12ギガワット分の「新規クリーンエネルギー」購入契約を締結し、これは同社史上最大の年間調達量となった。
ただし、Googleは自ら認めているように、「再エネ100%」という表明は会計上のマッチングに過ぎない。実際に使う電力は、地域の送電網を流れる化石燃料由来の電気である場合もある。この問題に対応するため、同社は「24/7カーボンフリーエネルギー(CFE)」へのシフトを改めて強調している。これは、1時間単位・地域単位でクリーンエネルギーの証書と消費をマッチさせる、より細粒度な会計手法だ。年間の総量合わせで「100%」を名乗る従来手法との差異は大きく、実質的な脱炭素化の指標として24/7 CFEの重要性が業界内で高まっている。
「Everything Everywhere All at Once」戦略の実態
エネルギーデータ分析家のMichael Thomasは、Googleのエネルギー戦略を「Everything Everywhere All at Once(あらゆる手段を同時並行で)」戦略と評している。これはGoogle自身の公式用語ではなく、Thomas氏がその戦略の性格を表現するために用いた分析上の言葉だ。同氏はニュースレターや各種媒体でデータセンターのエネルギー政策を継続的に取り上げているアナリストとして知られている。
Googleが投資する領域は、太陽光・風力にとどまらず、「先進核融合・核分裂エネルギー、強化地熱、長期エネルギー貯蔵、そして炭素回収・貯留付き天然ガス発電」にまで及ぶとされる。元記事によれば、2010年から2025年にかけて累計38億ドル超をクリーンエネルギー分野に投資し、7.5ギガワットのクリーンエネルギーを稼働させる計画だという(いずれも計画値・累計値として元記事が引用する数字)。
テキサスの天然ガス発電所問題
より踏み込んだ問題も浮上している。Thomasが2026年4月のニュースレターで指摘したのは、Googleがテキサスのデータセンターに400億ドルを投資する計画の中に、炭素回収なしの933メガワット天然ガス発電所によって電力を供給される可能性があるキャンパスが含まれているという点だ。
この天然ガス発電所のタービンは、年間450万トンのCO₂を排出する可能性があるとされる。Googleの広報担当者はThomasに対し、「同社のデータセンターがその発電所からどれだけの電力を調達するかについて、まだ契約を締結していない」と説明した。
「再エネ100%」を掲げながら炭素回収なしのガス発電に依存する可能性を残すこの構図は、企業のサステナビリティ表明と実際の調達行動のギャップを象徴している。AIの計算需要が電力インフラを急速に押し広げていく中で、「グリーン」と「スケール」をどう両立させるかは、Google一社の問題ではなく業界全体の課題として突きつけられている。
詳細はGoogle's AI buildout drove 37% increase in electricity use in 2025を参照していただきたい。