7月1日、Dataconomyが「Codex use is spreading into knowledge work, OpenAI says」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIが社内でCodexをほぼ全面的に採用し、法務・財務・採用といった非技術部門にまでAIエージェント活用が広がっている実態を、OpenAI自身が公開した研究論文のデータをもとに紹介している。
社内トークンの99.8%がCodex経由
本稿の一次情報はOpenAIが公開した研究論文「The Shift to Agentic AI: Evidence from Codex」であり、Dataconomyの記事はその内容を解説・紹介したものだ。論文によると、2026年6月11日時点で、OpenAI社員がCodexとChatGPTで生成したアウトプットトークンのうち、99.8%がCodex経由である。
ここで背景を整理しておくと、ChatGPTは「質問に答える」対話型AIであるのに対し、Codexはコードの生成・実行・ファイル操作といった複数ステップの作業を自律的にこなすエージェント型AIだ。チャット形式で完結する単発の問答ではなく、「この機能を実装して」「このデータを整理してレポートにして」といった一連の作業をまるごと委任できる点が大きく異なる。
Codexはもともとコード生成に特化したツールとして知られていたが、現在のOpenAI社内での使われ方は大きく変わっている。論文が強調するのは、単なる「相談ツール」から「仕事を任せるツール」への移行だ。
「ユーザーはCodexに助言や情報提供だけでなく、実際の作業をさせている(Users are asking Codex to do work, not only to provide advice or information)」——論文より
法務・財務・採用部門まで多数派に
エンジニアリング部門より遅れて、法務・財務・採用といった非技術部門が2026年4月までにCodexの多数派利用に到達した。
具体的な数字として、法務職の中央値の社員は2025年11月と比較して月間アウトプットトークンが13倍に増加。研究者では同期間に50倍超の増加が記録されている。なお、これらの倍率はいずれも論文が定義した特定の計測期間(2025年11月を起点)における比較値であり、OpenAI社内という「組織的コミットメントが高く利用制限もない」特殊環境下のデータである点は留意が必要だ。
エンジニアのツールだったはずのAIエージェントが、知識労働全般に浸透していることを示す数字だ。
外部ユーザーでも法人はアウトプットの63%がCodex経由
社内にとどまらず、外部ユーザーの動向も論文は報告している。法人アカウントユーザーの17.3%がCodexを利用済みである一方、個人ユーザーでは1%未満にとどまる。アウトプットトークンのシェアで見ると、法人ユーザー間ではすでに**63.3%**がCodex経由だ。この数字は「法人ユーザーがCodexに完全移行した」ことを意味するのではなく、「法人ユーザーが生成したアウトプットトークンのうち63.3%がCodex由来である」という利用量のシェアを示している点に注意したい。
2025年8月以降、Codexの非開発者ユーザーは個人で137倍、法人で189倍に急増している。
ただし、OpenAI自身が論文内で留保をつけている点は重要だ。社内データは「高い組織コミットメントと制限のない利用環境」という特殊条件下のものであり、一般的な企業の採用トレンドをそのまま反映するとは限らないと注記している。
タスクの複雑さも急増
利用量だけでなく、Codexに投げるタスクの難度も上がっている。2025年12月時点では、「人間が8時間以上かかると推定されるタスク」を投げていた個人ユーザーは全体の2.1%だったが、現在は**25.6%**に増加した。
週間アクティブユーザー数は500万人超で、2026年2月比で6倍以上に増加している。
「会話AI」から「エージェントAI」へのシフト
この論文が示す最大のポイントは、AIの使われ方のパラダイム転換だ。ChatGPTに代表される「質問して答えをもらう」会話型AIから、複数ステップにわたる作業を自律的に遂行させるエージェント型AIへの移行が、少なくともOpenAI社内では事実上完了しつつある。
法人ユーザーと個人ユーザーの採用率に大きな開き(17.3%対1%未満)があることは、組織的なオンボーディングやユースケース整備がエージェントAI普及の鍵になることを示唆している。
詳細はCodex use is spreading into knowledge work, OpenAI saysを参照していただきたい。