5月13日、Jorijn van der Lootが「Why I'm leaving GitHub for Forgejo」と題した記事を公開した。この記事では、GitHub から自前ホストのForgejoへ完全移行する理由と実装方法について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
オランダ政府も同じ結論に至った
注目すべきは、著者だけでなくオランダ政府も同じ判断を下している点だ。2026年4月27日、オランダ内務省は政府のオープンソースコード用プラットフォーム「**code.overheid.nl**」を立ち上げた。これは自前ホストのForgejoインスタンスで、プロジェクトマネージャーのBoris Van Hoytema氏は「省が所有する場所にソースコードを法的に公開する必要がある」と説明している。
政府がGitLabではなくForgejoを選んだ理由は、完全にオープンソースであり、デジタル自治に必要なすべての自由を提供するからだ。これは個人開発者の判断と政府の判断が一致した興味深い事例であり、GitHub代替への移行がもはやニッチな動きではないことを示している。
GitHub離れの本当の理由
障害は症状であり原因ではない
GitHubは2025年5月から2026年4月の間に257件のインシデントを記録し、そのうち48件が重大な障害だった。しかし著者は「障害が理由で離れるわけではない」と明確に述べている。
重要なのは、GitHub CTO のVlad Fedorov氏が2026年4月28日に公開謝罪で述べた内容だ。負荷に対応するため容量を30倍に拡張する必要があるとし、その負荷の原因を「2025年12月以降のエージェンシックAIワークフローの成長」に直接帰属させた。つまり、信頼性の問題はAI戦略の副作用なのである。
GitHubにはもう独自のCEOがいない
2025年8月11日、Thomas Dohmke氏がGitHubのCEOを退任した。Microsoftは後任を置かず、GitHubをMicrosoftのCoreAI部門に吸収した。これは2025年1月にSatya Nadella氏が設立した「Copilotと AI スタック全体を構築する」ミッションを持つ組織だ。
ブランドは残っているが、独立したリーダーシップは存在しない。現在github.comにコードをプッシュすることは、MicrosoftのAI組織のユニットにプッシュすることを意味する。
学習データのデフォルトが変更された
2026年4月24日から、Copilot Free、Pro、Pro+ユーザーのインタラクションデータがデフォルトでAI学習に使用されるようになった。重要なポイントは3つだ:
- オプトアウト方式:デフォルトで学習データとして使用され、ユーザーが設定で無効化する必要がある
- リポジトリレベルでの制御不可:メンテナーが「自分のリポジトリでの操作は学習に使うな」と指定できない
- プライベートリポジトリでの境界が曖昧:「保存時のコード」は使わないが、「Copilot使用中に生成されるコードスニペットとコンテキスト」は収集する
Copilot BusinessとEnterpriseは別契約により除外される。つまり十分に支払えばインタラクションデータは学習に使われない。そうでなければ使われるという明確な分岐だ。
なぜForgejoを選んだのか
著者はGitLabも真剣に検討したが、2つの要因でForgejoを選択した。
ライセンシング
GitLabはオープンコアモデルで、プロダクション環境で実際に必要な機能の多くがEnterpriseティアの非フリーライセンス下にある。一方、Forgejoは2024年8月のv9.0でMITからGPLv3+に再ライセンスし、コピーレフトを維持して商業的な囲い込みに抵抗する明確な意図を示した。
ガバナンス
ForgejoはベルリンのNPO法人「**Codeberg e.V.」の下で運営されている。メンバー選出の理事会、公開予算、30万以上のリポジトリを持つホスティングインスタンスを運営する。2025年予算案は賛成88、反対0、棄権1で承認された。これは「コミュニティガバナンス」のマーケティング主張ではなく、ドイツの協会が協会として機能している**実例だ。
実装:単一NUCでの本格運用
著者は自宅オフィスのIntel NUC(RAM 64GB)1台でcode.jorijn.comを運営している。構成は以下の通り:
- Forgejo v15 LTS、Postgres 17、TraefikをDocker内で実行
- Forgejo Actions ランナー用にKVM分離された仮想マシンを並列運用
- 週次での仮想マシン再構築によるセキュリティ確保
Forgejo v15.0 LTSは2026年4月16日にリリースされ、2027年7月15日までサポートされる。商用エコシステムは薄いが、スイスのVSHN社のCodey(月額19CHF〜)などの選択肢が登場している。
管轄権の問題は解決されていない
GitHub Inc.とMicrosoft Corp.は米国企業であり、データの物理的な場所に関係なく**FISA Section 702とCLOUD Act**の適用を受ける。
最も率直な証言は、Microsoft自身の弁護士がフランス上院で2025年6月に宣誓証言した内容だ。欧州のMicrosoftデータセンターに保存されているフランスのデータが、米国政府の秘密アクセスから安全であることを保証できないと述べた。
EUデータレジデンシーはデータの場所を解決するが、管轄権は解決しない。CLOUD Actの適用は企業統制に従い、地理的な場所には依存しないからだ。
この記事は単なる技術選択の話ではなく、デジタル主権という大きな文脈での判断を描いている。オランダ政府と個人開発者が同じ結論に到達したという事実は、この動きがもはやフリンジではないことを示している。開発者コミュニティにとって、プラットフォームの独立性とデータの自己管理がますます重要な検討事項になっていることの表れだろう。
詳細はWhy I'm leaving GitHub for Forgejoを参照していただきたい。