4月28日、Mitchell Hashimotoが「Ghostty Is Leaving GitHub」と題した記事を公開した。
Vagrant作者が愛したGitHubからの決別宣言
Hashimotoといえば、Vagrant、Terraform、Consulなどの著名なインフラツールを手がけ、HashiCorpの共同創設者として知られる開発者だ。そんな彼が開発しているターミナルエミュレーター「Ghostty」のプロジェクトが、GitHubからの移行を決定した。
理由は深刻だ。GitHubの頻発する障害により、毎日の開発業務が阻害される状況が続いているためだ。特に注目すべきは、HashimotoがGitHub user 1299番という初期ユーザーで、2008年2月から18年間、毎日複数回GitHubにアクセスし続けてきたという事実である。彼にとってGitHubは「人生で最も幸せを感じた場所」だったという。
愛憎入り混じる18年間の関係
実際、彼の代表作であるVagrantも「GitHubで働きたい」という思いから生まれたプロジェクトだった。20歳で初めてVagrantについて講演した際、「良いものができればGitHubが雇ってくれるかも!」と冗談めいて語ったというエピソードからも、彼のGitHubへの憧れの強さがうかがえる。
しかし現在、HashimotoはGitHubの頻発する障害に深刻な影響を受けている。過去1ヶ月間、GitHubの障害で業務に支障が出た日に「X」印をつけるジャーナルをつけていたところ、ほぼ毎日に印がついたという。記事執筆当日も、GitHub Actionsの障害で約2時間プルリクエストのレビューができない状態が続いた。
毎日数時間もブロックされるようでは、もはや真剣な仕事をする場所ではない
Hashimotoはこう痛烈に批判している。
GitHubの安定性問題は業界全体の課題
実際、GitHubの安定性問題は近年開発者コミュニティで度々議論されている。GitHub Statusページを確認すると、Actions、Pages、Packagesなどの各種サービスで定期的に障害が発生しており、多くの企業や開発者が影響を受けている。特にCI/CDパイプラインに依存するモダンな開発ワークフローでは、GitHubの障害が即座にプロダクト開発の停止を意味する。
Ghosttyは、Hashimotoが現在精力的に開発しているターミナルエミュレーターで、高性能とGPUアクセラレーションを特徴とする。オープンソースプロジェクトとして多くの開発者が注目しており、その移行決定は業界に波紋を呼んでいる。
感情的批判への謝罪と冷静な判断
記事の中で特筆すべきは、Hashimotoが自身のGitHub批判について率直に謝罪している点だ。「最近GitHubを公然と批判し、意地悪で怒りに満ちていた。人の感情を傷つけ、当たり散らしていた」と認めつつ、それでもGitHubが毎日彼を失望させ続けている現実は変わらないと述べている。
18年間愛し続けた場所への複雑な感情を、彼はこう表現している:
GitHubを人が物を愛する以上に愛しているのに、それに対して怒っている。GitHubはもう楽しい場所ではない。私はそこにいたいのに、GitHubは私がそこにいることを望んでいない
移行先は検討中、段階的に実施予定
Ghosttyプロジェクトは今後数ヶ月かけて他のプラットフォームに移行する予定で、現在複数の商用・オープンソースプロバイダーと協議中だという。候補としてはGitLab、Codeberg、SourceHutなどが考えられるが、具体的な移行先は明示されていない。
GitHubからの依存関係を段階的に除去し、現在のURLで読み取り専用のミラーは維持する計画だ。なお、Hashimotoの個人プロジェクトや他の作業は当面GitHubに残すとしている。今回の移行は、Ghosttyチームとオープンソースコミュニティが最も影響を受けているプロジェクトを優先した判断だと説明している。
この決定は、長年GitHubの安定性を信頼してきた多くの開発者にとって、プラットフォーム選択を再考する契機となりそうだ。特にミッションクリティカルなプロジェクトを運営する開発者にとって、サービス信頼性の重要性を改めて浮き彫りにした形となった。
詳細はGhostty Is Leaving GitHubを参照していただきたい。