1月21日、Phoronixが「LLVM Adopts "Human In The Loop" Policy For AI/Tool-Assisted Contributions」と題した記事を公開した。この記事では、LLVMオープンソースコンパイラプロジェクトにおけるAIおよびツールを利用したパッチの提出に関する新方針について詳しく紹介されている。

以下に、その内容を紹介する。
LLVMプロジェクトでは、AIによるパッチの提出をめぐる近年の議論を経て、AIやツール支援によるパッチを認めることで合意した。ただし、プルリクエスト(PR)などを作成する前に、人間が介在してコードを精査することが必須条件となる。人間による審査を伴わない、完全にAI主導のパッチ提出は許可されない。
プロジェクト側が「Human In The Loop(人間が輪の中にいること)」という方針を決定した背景には、AIが生成した無価値なパッチ(AI-driven garbage)の増加がある。LLVM側は以下のように述べている。
「2025年を通じて、LLM(大規模言語モデル)の支援を受けた迷惑なパッチの量が増加していることを観測した。迷惑なパッチは常にオープンソースプロジェクトの課題であったが、LLMが登場するまでは、それらを禁止する正式なポリシーを設けずに対処してきた。しかし、LLMが普及した現在、我々はこのポリシーを採用する。略称『Human In The Loop』と呼ばれるこの方針は、すべてのパッチに、その価値と、レビューに要する時間に値する品質であることを証明する人間の著者が存在することを要求するものだ。」
本ポリシーの詳細は[特定のコミット](https://github https://www.google.com/search?q=air.com/llvm/llvm-project/commit/18695b27d565)%E3%81%A7%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%8C、その核心は以下の点に集約される。
- コントリビューターの責任と自律性: コントリビューターはどのようなツールを使用してもよいが、必ず「Human In The Loop」でなければならない。コントリビューターは、他のプロジェクトメンバーにレビューを依頼する前に、LLMが生成したすべてのコードやテキストを読み、レビューする必要がある。コントリビューターは常に「著者」であり、自身が提出したパッチに対して全責任を負う。
- レビュー品質の担保: コントリビューターは、提出内容が限られたメンテナーの時間を割く価値があるほど高品質であると確信していなければならない。また、レビュー中に自身の作業に関する質問に答えられる必要がある。
- 新人コントリビューターへの指針: 新しいコントリビューターは、まず自身が完全に理解できる「小さなパッチ」から始めて自信を深めることが推奨される。メンテナーからのフィードバックをそのままLLMに入力するだけの行為は、個人の成長にもコミュニティの持続にも繋がらない。
- 透明性の確保: 実質的な量のツール生成コンテンツを含むパッチについては、その旨を明示し、透明性を保つことが求められる。これはレビューを円滑にするためのものであり、ツールを使用した場合は、プルリクエストの説明やコミットメッセージ(例:Assisted-by: [コードアシスタント名] というトレーラーの使用)に記述すべきである。
この動きは非常に明快であり、Linuxカーネルやその他のオープンソースプロジェクトがAIに関するポリシーやドキュメントを決定しようとしている時期とも重なっている。
詳細はLLVM Adopts "Human In The Loop" Policy For AI/Tool-Assisted Contributionsを参照していただきたい。