12月1日、「Linuxカーネル 6.18がリリースされた」。この記事では、Linuxカーネル6.18の正式リリースと、その主な新機能・改良点について詳しく紹介する。

以下に、その内容を紹介する。
Linux 6.18 の概要
Linuxカーネル6.18が正式に公開された。新旧ドライバの拡充、ファイルシステムやネットワーク機能の改善など、幅広い領域で更新が加えられたバージョンであり、今年最後のリリースであることから次期LTS候補としても注目されている。
主な変更点
● Bcachefs の削除
Bcachefsファイルシステムがツリーから削除された。
● Rust Binder ドライバの追加
Rustで実装されたBinderドライバが導入され、Rustによる低レイヤー機能拡張の活用が進んでいる。
● 新しいデバイスマッパー「dm-pcache」
永続メモリを低速ブロックデバイスのキャッシュとして利用するための新デバイスマッパーターゲットが追加された。
● microcode= カーネルパラメータの追加
x86向けにマイクロコードローダーの挙動を制御する新しいコマンドラインオプションが提供された。
ファイルシステム関連の更新
- カーネルネームスペースに対しファイルハンドルの扱いを拡張
- Btrfs における「ブロックサイズ > ページサイズ」初期サポート
- EXT4 における 32bit の予約UID/GID サポート
- EXT4 に superblock パラメータ取得・設定のための ioctl が追加
- OverlayFS が大文字小文字の折り畳み(case-folding)をサポート
仮想化関連の改善
- LoongArch KVM に PTW 機能検出を追加
- FreeBSD Bhyve ハイパーバイザ上でゲストとして動作するための初期サポート
- KVM が Intel/AMD の CET(Control-flow Enforcement Technology)仮想化に対応
- x86ホストでの SEV-SNP CipherText Hiding に対応
- Kexec HandOver(KHO)における vmalloc 領域の保持をサポート
ネットワークとプロトコル
- TCP に Accurate ECN(AccECN)の初期サポート
- TCP コネクションの PSP 暗号化サポート
- UDP 受信性能の改善
メモリ・性能改善
- NFS サーバーのスケーリング性能改善
- swap 性能の向上
- カーネルメモリ割り当て性能を向上させる “sheaves” 機能の実装
- User-mode Linux(UML)に sparse interrupt のサポート
- PowerPC 向け BPF arena のサポート追加
セキュリティ関連
- audit サブシステムが複数のLSM(Linux Security Modules)を同時処理可能に
- BPF プログラムの署名機能を追加
- TPMバスの HMAC-encrypted transaction(TPM2_TCG_HMAC)サポートをデフォルト無効化
新規・更新ドライバ
記事では以下のような新しいハードウェアサポートが挙げられている。
- AMD VersalNET メモリコントローラ向けの EDAC ドライバ
- ARM Cortex-A72 向けの EDAC ドライバ
- 仮想マシンからSPIデバイスにアクセス可能にする virtio-SPI ドライバ
- DualSense(PlayStation)コントローラのオーディオジャック対応
- 触覚タッチパッドに対応する HID ドライバ拡張
- Apple M2 Pro / Max / Ultra SoC のサポート追加
リリーススケジュールと今後
Linux 6.18公開後、6.19のマージウィンドウが開かれ、初のリリース候補(RC1)は12月14日に公開予定である。6.18は年内最後のカーネルであるため、Greg Kroah-Hartman氏がLTS採用を判断すれば、数年にわたって長期サポートが提供される可能性が高い。
詳細は公式のリリースアナウンスを参照していただきたい。