10月17日、Anthropicが「Claude Skills: Customize AI for your workflows」と題した記事を公開した。この記事では、生成AI「Claude」における新機能「Skills(スキル)」を使って、特定の業務やワークフローに合わせてAIをカスタマイズする方法について詳しく紹介されている。
以下に、その内容を紹介する。
Claudeに「スキル」という概念を導入
Anthropicは今回、Claudeに「Skills(スキル)」という新たな仕組みを導入した。スキルとは、指示文、スクリプト、リソースなどをまとめたフォルダ構成であり、Claudeが必要に応じて読み込むことで、特定領域の作業効率を高めるものだ。
Claudeはスキルを常時読み込むわけではなく、関連するタスクを検出した場合にのみ必要最小限の情報をロードする。この仕組みにより、応答速度を維持しながら専門性を高めることができる。
スキルを利用することで、たとえばExcelでの数式付きスプレッドシートの生成、PowerPoint形式のプレゼン資料作成、企業ブランドガイドラインに準拠した文書生成など、従来よりも精度の高い自動化が可能になる。
スキルの特徴
Anthropicは、スキルの特長を次の4点にまとめている。
- Composable(組み合わせ可能):複数のスキルを組み合わせて利用でき、Claudeが自動的に必要なスキルを判断して協調的に動作する。
- Portable(移植可能):スキルはClaudeアプリ、Claude Code、APIなど、あらゆる環境で共通フォーマットとして利用できる。
- Efficient(効率的):必要な情報のみを必要なときにロードするため、高速性を損なわない。
- Powerful(高機能):スキルには実行可能コードを含めることができ、トークン生成よりも確実な処理を実現できる。
Anthropicはこれを「エージェントスキル(Agent Skills)」という設計パターンとして位置付けており、詳細な技術構成やベストプラクティスについてはエンジニアリングブログで解説している。
すべてのClaude製品でスキルが利用可能
Claudeアプリ
スキルはPro、Max、Team、Enterpriseユーザーに提供される。文書作成などの共通タスク向けスキルが標準搭載されており、ユーザー自身でカスタマイズも可能だ。

Claudeはタスク内容に基づいて自動的に関連スキルを呼び出し、ユーザーが手動で選択する必要はない。さらに、「skill-creator」スキルを用いれば、Claudeが対話形式でフォルダ構成やSKILL.md
を自動生成し、必要なリソースをまとめてくれる。設定画面から有効化可能で、チーム全体での利用には管理者による組織単位の有効化が必要である。
Claude Developer Platform(API)
開発者は/v1/skills
エンドポイントを通じて、カスタムスキルのバージョン管理や配布をプログラム的に操作できる。スキルはCode Execution Toolベータ機能を必要とし、安全な実行環境で稼働する。
Anthropic提供のスキルを利用すれば、ExcelやPowerPoint、Word、PDFといったファイルを自動生成・編集することができる。また、独自の業務ロジックを持つカスタムスキルも作成可能で、Claude Console上で容易に管理・アップグレードできる。
Claude Code
Claude Codeでは、スキルをプラグインとして導入し、チームの知見や開発フローを直接組み込める。スキルは~/.claude/skills
ディレクトリに配置するだけで読み込まれ、バージョン管理システムを通じてチームで共有できる。
利用企業の声
いくつかの企業はすでにClaude Skillsを導入し、業務効率化を実現している。
Box:「スキルを通じてBox内のコンテンツを扱えるようになった。保存されたファイルをPowerPointやExcel、Word形式に自動変換し、社内標準に沿った資料を短時間で生成できる。」
Canva:「スキルによってエージェントのカスタマイズが容易になり、チーム固有の文脈をClaudeに学習させたうえで、高品質なデザインを迅速に作成できるようになった。」
楽天(Rakuten):「複数のスプレッドシートを処理し、異常値を検出してレポート化するスキルを導入。従来1日かかっていた作業が1時間に短縮された。」
はじめ方と今後の展望
Claude Skillsの利用は、アプリ・API・Claude Codeそれぞれに用意されたドキュメントから始められる。
今後はスキル作成の自動化や、組織全体でのスキル配布機能の強化が予定されている。一方で、スキルがコード実行機能を持つことから、セキュリティ面では信頼できるソースの利用が推奨されている。
詳細はClaude Skills: Customize AI for your workflowsを参照していただきたい。