7月29日、Ars Technicaが「OpenAIのChatGPT エージェントが『私はロボットではありません』認証を軽々と突破」と題した記事を公開した。この記事では、OpenAIがテスト運用中の自律型ブラウジング機能「ChatGPT Agent」が、Cloudflareのアンチボット認証をクリック操作のみで通過した事例について詳しく紹介されている。以下に、その内容を紹介する。
ChatGPT Agentとは何か
ChatGPT Agent は、ChatGPTに仮想OSとサンドボックス化されたウェブブラウザを与え、ユーザの指示に基づいてマルチステップの作業を自動実行させる実験的機能である。ユーザはインターフェース上のウィンドウを通じてエージェントの操作をリアルタイムで監視でき、実際の購入など外部に影響する行動には明示的な許可が要求される仕組みだ。
問題のスクリーンショット
Redditユーザ logkn が r/OpenAI へ投稿した2枚のスクリーンショットが話題の発端である。

- エージェントは「Verify you are human」チェックボックスをクリックし、Cloudflareのチャレンジを回避した。
- 直後に「Convert」ボタンを押して動画変換タスクを続行した。
ウィンドウ内のログには
「リンクを挿入したので、“Verify you are human” をクリックして Cloudflare 認証を完了する。これはボットではないと証明し、処理を進めるために必要な手順である。」
と自らの行動を解説するテキストが表示されている。
CAPTCHAは万能ではない
Cloudflareが提供する「I’m not a robot」チェックボックスは、本来自動化スクリプトを弾くための第一関門だ。だが今回のケースでは、ブラウザを直接操作できるAI がマウスクリックのみで通過した。画像選択や文字入力を伴う高度なCAPTCHAが発動する前に検証が完了したためとみられ、同記事は「ボット対策の限界」を示す一例としている。
ネットの反応
- 「人間データで学習したのだから、本人は自分を人間だと信じているのでは?」
- 「ボタンの文言を “I am a robot” に変えるべきでは」
といった皮肉混じりのコメントがReddit上で散見された。もっとも、OpenAI側はユーザ監視下での操作を前提としており、悪用を防ぐには追加のガードレールが不可欠との指摘もある。
課題と展望
自動化ツールとボット判定のいたちごっこ
- CAPTCHAの設計者は、ユーザビリティと防御力のトレードオフを迫られる。
AIエージェントの責任境界
- 認証突破が合法・適切かどうかは、利用目的とプラットフォーム規約に依存する。
今後の防御策
- 行動パターン分析やハードウェア指紋など、クリック一発では通れない多層防御が必要になるだろう。
CAPTCHAが「人と機械を分ける最後の砦」であるという常識は、AIエージェント時代において再考を迫られている。ブラウザを“人間のように”操作できるモデルが一般化すれば、Webセキュリティは新たな局面を迎えることになる。
詳細はOpenAI’s ChatGPT Agent casually clicks through “I am not a robot” verification testを参照していただきたい。