12月14日、Inertia 2.0がリリースされた。
Inertia 2.0は、Laravel開発者にとって重要なツールである。このプロダクトは、従来のフルスタック開発とは異なり、バックエンドとフロントエンドを密接に統合する方法を提供する。具体的には、Inertiaは、LaravelバックエンドとReactやVue.jsなどのモダンなJavaScriptフレームワークを組み合わせるためのシンプルなインターフェースを提供し、従来のAPIを介したデータ取得の複雑さを軽減する。つまり、Inertiaを使用することで、クライアントサイドのJavaScriptコードがそのままLaravelのコントローラーからデータを取得し、ビューをレンダリングできる。
以下に、その内容を簡潔にまとめて紹介する。
Inertia 2.0の新機能
Inertia 2.0では、特にフロントエンド開発の効率を向上させる新機能が多数追加された。これにより、Laravelを使用した開発者は、従来のフロントエンド開発で直面していた問題に対して、より直感的かつ効率的にアプローチできるようになる。
非同期リクエスト(Async Requests)
新たにサポートされた非同期リクエスト機能により、ページ遷移やデータ取得がバックグラウンドで行われるようになった。これにより、アプリケーションのパフォーマンスが向上し、ユーザーがページ遷移を待たされる時間が減少する。
例えば、以下のように、Inertiaを使った非同期リクエストを行うコード例を示す。
Inertia.get('/user/123', { headers: { 'X-Custom-Header': 'value' } })
.then(response => {
console.log(response.data);
})
.catch(error => {
console.error('Error fetching user data:', error);
});
このコードは、/user/123というエンドポイントからデータを非同期に取得し、その結果をコンソールに出力する。これにより、ページ全体のリロードなしに必要なデータを素早く取得できる。
遅延プロップス(Deferred Props)
遅延プロップスを使うことで、特定のデータをページの初期表示時ではなく、後からロードすることができる。この機能は、初期表示を速くし、ユーザーの待機時間を短縮するために有用である。
例えば、次のように遅延プロップスを設定することができる。
Inertia::render('UserProfile', [
'user' => $user,
'posts' => deferred(fn() => $user->posts),
]);
ここで、postsのデータは最初に必要となる前に非同期で読み込まれるため、ユーザーにとって非常にスムーズな体験を提供できる。
プリフェッチ(Prefetching)
プリフェッチ機能を使うことで、ユーザーが次に訪れる可能性のあるページのリソースを事前に読み込んでおくことができる。これにより、ページ遷移時の読み込み時間が大幅に短縮される。
例えば、次のようにリンクにInertia.prefetchを設定することができる。
<a href="/next-page" onMouseEnter={() => Inertia.prefetch('/next-page')}>Next Page</a>
このリンクにマウスカーソルが乗ると、/next-pageのリソースが事前に読み込まれ、実際にクリックした際にはすぐに遷移できるようになる。
ポーリング(Polling)
ポーリング機能を活用することで、サーバーとクライアント間で定期的にデータを同期させることが可能になった。これにより、リアルタイムでのデータ更新が必要な場合でも、簡単に実装できる。
例えば、次のようにポーリングを設定するコードは次の通りである。
Inertia.visit('/user', { polling: 5000 });
このコードは、/userのエンドポイントを5秒ごとに自動的に更新し、最新のデータを取得する。これにより、ユーザーがリアルタイムで変化するデータを確実に受け取ることができる。
まとめ
Inertia 2.0は、Laravelとフロントエンドフレームワークを組み合わせた開発において、非常に強力なツールとなる。新機能によって、開発者はより効率的に、かつ直感的にフロントエンドとバックエンドの統合を行うことができる。また、非同期リクエスト、遅延プロップス、プリフェッチ、ポーリングといった機能を駆使することで、ユーザー体験を大きく向上させることができる。
詳細はAnnouncing Inertia 2.0: Redefining Frontend Development for Laravelを参照していただきたい。