11月19日、Mozilla Developer Newsで「Firefox の 20 年: コミュニティ プロジェクトが Web をどう変えたか(20 years of Firefox: How a community project changed the web)」と題した記事が公開された。この記事では、Firefoxがウェブの発展に与えた影響と、20年にわたる進化の歩みについて詳しく紹介されている。
以下に、その内容を詳細に紹介する。
Firefoxの誕生: ウェブの風景を変えたブラウザの原点
2004年: Firefox 1.0が登場
2004年11月9日、Firefox 1.0が正式リリースされた。当時、ウェブブラウザ市場はほぼInternet Explorerが独占しており、選択肢が限られていた。そんな中、Firefoxはオープンソースプロジェクトとして、次のような革新をもたらした。
- ポップアップ広告のブロック: 広告だらけのウェブから解放され、ユーザーがどの広告を許可するか選べる機能を搭載。
- タブブラウジングの先駆け: 一つのウィンドウで複数のウェブページを簡単に管理できる仕組みを提供。
- オンライン安全性の強化: フィッシングや偽装ウェブサイトへの防御機能を初期段階から搭載。
さらに、Firefoxの知名度を押し上げたのが、2004年12月15日にニューヨークタイムズに掲載された全面広告だ。この広告には、コミュニティからの資金提供で実現したもので、支持者の名前が多数掲載され、「より速く、安全でオープンなブラウザがここにある」という宣言を世界中に響かせた。
コミュニティと共に歩んだFirefoxの進化
2008年: ギネス世界記録を樹立
2008年、Firefox 3.0のリリース時に行われた「ダウンロードデイ」で、1日で800万件以上のダウンロードを達成し、ギネス世界記録に登録された。このイベントは、Mozillaコミュニティの協力の象徴となり、世界中で祝われた。ユーザーが自分たちのブラウザに誇りを持つきっかけともなった。
2010年: モバイルの世界へ
Firefoxは2010年にモバイル版をリリースし、Nokia N900向けに以下の機能を実現した。
- タブブラウジングのモバイル対応
- アドオンのサポート: モバイルブラウザとして初めてカスタマイズ可能な拡張機能を提供。
- デスクトップとの同期: Weave Syncにより、デスクトップとモバイル間でブックマークや履歴をシームレスに同期可能にした。
さらに、WebRTC(Web Real-Time Communication)技術を採用し、プラグイン不要でブラウザ間のビデオ通話を可能にした。この技術により、Firefoxはオンラインコミュニケーションの可能性を大きく広げた。
プライバシーの守護者としての役割
2014年以降: プライバシー機能の進化
Firefoxはウェブにおけるプライバシー保護を重視して以下の機能を次々に導入した。
- 2014年: トラッカーの読み込みをブロックする初の機能をリリース。
- 2016年: コンテナ機能により、異なるウェブサイト間でデータを分離する仕組みを提供。
- 2018年: Enhanced Tracking Protection (ETP)が導入され、トラッキングクッキーをブロック。2019年にはデフォルト設定となる。
- 2022年: Total Cookie Protection (TCP)により、すべてのサードパーティクッキーを隔離し、クロスサイトトラッキングを根本から防止。
このような取り組みは、プライバシー保護がブラウザにとって不可欠な要素であることを業界全体に示した。
パフォーマンスと効率の革新
2017年: Firefox Quantum
2017年、Firefox Quantumのリリースにより、ブラウザのパフォーマンスが大幅に向上した。このアップデートは、Rustプログラミング言語で開発された新しいエンジンによるもので、次のようなメリットがあった。
- 速度の向上: ページの読み込み速度が2倍に。
- メモリ使用量の削減: Chromeより30%少ないリソースで動作。
未来を形作るFirefox
2024年: 20周年を迎えて
Firefoxは20年にわたり、プライバシー保護、オープンイノベーション、選択の自由を推進してきた。これまでの歩みの中で、ウェブを支える重要な存在となり、今後もさらなる進化を遂げることを約束している。
詳細は[20 years of Firefox: How a community project changed the web]を参照していただきたい。