10月2日、Cindy Krumが「GoogleのモバイルファーストインデックスにおけるChromeの役割」と題した記事を公開した。この記事では、Googleがモバイルファーストインデックスの第二段階としてChromeを利用していること、そしてそれがユーザーのコンピュータをどのように利用しているかについて詳しく紹介されている。
以下に、その内容を紹介する。
Krumは、2018年にGoogleがモバイルファーストインデックスを導入した際に、第二段階として「ボット」ではなく、ユーザー自身のコンピュータを使用してJavaScriptのレンダリングを行っていたことを指摘している。これは、ユーザーがウェブサイトを訪れた際に、そのユーザーのChromeがページをレンダリングし、その結果をGoogleが取得してインデックスに追加しているというものだ。このプロセスは、Googleが専用のボットを使用せずにユーザーのブラウザを活用する形で進められている。
さらに、KrumはGoogleがユーザーのコンピュータを使って情報を事前処理し、レンダリングデータやユーザーの行動データを収集していると述べている。これにより、Googleは広告モデルやランキングアルゴリズムに使用されるデータを効率的に集めているという。このデータには、ユーザーの行動履歴、購入傾向、興味関心などが含まれており、これらを基にGoogleは広告ターゲティングやAIモデルのトレーニングを行っているとされる。
記事の中でKrumは以下の重要な点について言及している。
ユーザーのコンピュータをリソースとして利用: Googleは、ユーザーのデバイスを使ってJavaScriptを処理し、その結果をインデックスに追加している。これは、まるでユーザーのコンピュータがビットコインマイニングに使われるような形で計算作業を外部委託しているようなものだ。
Core Web Vitals: Googleは、ページの読み込みパフォーマンスやユーザーのインタラクションを評価するために、実際のユーザーデータを収集し、それをランキングアルゴリズムに反映している。
ブラウザの更新とデータ収集: 頻繁に行われるChromeの更新は、データ収集がGoogleの検索モデルや広告モデルと一貫していることを保証し、ターゲット広告やAIのトレーニングに寄与している。
プライバシーの問題: GoogleがWhatsAppのプライベートグループのようなプライベートデータをインデックス化していることが判明しており、これは積極的なキャッシュとデータ収集の結果とされている。
AI開発におけるChromeの役割: AI開発は非常にコストがかかるが、GoogleはChromeの処理モデルを利用してAI開発を支援しており、これがAI競争において優位性をもたらしている可能性がある。
広告追跡とターゲティング: Googleのデータ収集は広告モデルにまで及び、コホートターゲティングやユーザー行動のモデリングに利用され、広告の最適化が行われている。
Krumはまた、これらの仮説が正しければ、SEOにおけるいくつかの影響も考えられると述べている。
- クリックされないリンクがあるページは、Googleによってクロールされにくくなる。
- 実際のユーザーエンゲージメントが以前よりも重要視されている可能性が高い。
- SERPの操作やクリック情報の操作は、Chromeで行われた場合、重大な脆弱性となりうる。
- ユーザーによるページのレンダリングが重要であり、GoogleBot向けに特別なページを提供する戦略は効果が薄れるかもしれない。
詳細は[Is Google using Chrome for mobile-first indexing and user signals?」を参照していただきたい。