9月10日、ACMが「QUIC is not Quick Enough over Fast Internet」と題した論文を公開した。この論文では、QUICプロトコルが高速なインターネット環境下でどのようにパフォーマンス低下を引き起こすかについて詳しく紹介されている。
QUICのパフォーマンス検証
この記事では、QUICがウェブアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与することが期待されている一方で、高速インターネット環境下では、QUICのパフォーマンスに深刻な問題があることが示されている。特に、以下の点が指摘されている。
データレートの減少
- UDP + QUIC + HTTP/3のスタックは、TCP + TLS + HTTP/2と比較して、データレートが最大45.2%低下することが確認された。この現象は、高速なネットワーク環境で顕著に現れる。
パフォーマンス差の拡大
- 基本的な帯域幅が増加するにつれて、QUICとHTTP/2のパフォーマンス差も拡大する。これにより、特に高速なインターネット接続を利用する場合にQUICの効率性が低下することが判明した。
さまざまな環境での影響
- このパフォーマンス低下は、軽量なデータ転送クライアントや主要なウェブブラウザ(Chrome、Edge、Firefox、Opera)において、異なるホスト(デスクトップ、モバイル)や多様なネットワーク環境(有線ブロードバンド、セルラー)で観測された。
ファイル転送とアプリケーションへの影響
- ファイル転送だけでなく、ビデオストリーミングやウェブ閲覧にも影響を与え、ビデオビットレートが最大9.8%減少することが確認されている。
パフォーマンス低下の原因
このパフォーマンス低下の原因として、受信側での処理負荷が挙げられている。特に、過剰なデータパケットとQUICのユーザー空間でのACK(確認応答)処理が問題となっている。これにより、受信側の処理が過剰になり、結果としてパフォーマンスが低下することが明らかになった。
改善への具体的な提言
この記事では、パケットトレース解析やカーネルおよびユーザースペースのプロファイリングを通じて、QUICのパフォーマンス問題に対処するための具体的な改善提案がなされている。これにより、高速なインターネット環境においてもQUICが効率的に動作するようになることが期待されている。
**詳細は[QUIC is not Quick Enough over Fast Internet」を参照していただきたい。