MIXI GROUPには、様々な経歴のメンバーが所属しています。それぞれの専門性やスキルを手に転職を決めた方々は、どのような経歴で、そしてなぜMIXI GROUPを選んだのでしょうか。中途入社した方々に「転職を考えたきっかけ」「入社を決めた理由」「入社後に感じたこと」を聞く『なんでMIXIに?』。
今回は文系大学からSIerを経て、現在はスクラムマスターとして『みてね』の開発部で活躍している賀茂さんにインタビューしました。
Vantageスタジオ みてねプロダクト開発部 アジャイル変革グループ
2016年 TISにエンジニアとして入社。入社当初はシステム開発における設計〜実装工程を担当。その後アジャイル型の開発手法であるスクラムに魅力を感じ、スクラムマスターとして活動。主に新規サービス開発案件でスクラムマスター としての経験を積む。2020年 株式会社ビズリーチに入社。スクラム・アジャイルを専門にチーム支援に従事。2023年9月 MIXI入社。
文系からSIerでエンジニアになるまで
──元々文系だったとのことですが、SIerのエンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください
大学在学中、私はボランティア活動に取り組んでいました。その中で、東日本大震災の震災ボランティアに関わったのですが、その際に、子供たちが「スタディサプリ」というアプリを使って自発的に学ぶ姿を見た時、大きな衝撃をうけたんです。それが私がITに興味を持つきっかけとなりました。
私は大学で生涯教育を専攻していましたが、その中で人々が持つ能力や個性をどう発揮し、輝かせるかについて学んできました。その考えをITでサポートする方法を模索する中で、具体的なアイディアが欠けていたことに気づきました。そこで、ITに関する知識がない状態からでも現場に身を投じることが重要だろうと考えました。
──ITにもさまざまな職種がありますが、エンジニアを選んだのはなぜですか?
ITのサービスがどう作られているのかを知らないと、いざ何かを作ろうと考えてもうまくいかないと考えたためです。ボランティアの経験からも、まずは 現場に飛び込むのが一番 だと分かっていたので、IT業界の現場・最前線といえばエンジニアだと思って選びました。
──就活先にSIerを選んだのはなぜですか?
当時プログラミング経験がない中で事業会社にいくのはハードルが高いと感じていました。その点、SIerでは入社後の教育が充実しており、文系の卒業生がエンジニアになるケースも多いです。それがあって、SIerに狙いを定めて就職活動をしました。
──就活ではどんな点をアピールしましたか?
プログラミング経験はありませんので、先ほどの自分の原体験を中心にアピールしました。その上で、 学ぶ熱意 がある点と、単にもの作りだけではなく全体の視点を持ってサービス開発に貢献したいという話をしました。
──実際にエンジニアとして働いてみてどうでしたか?
やはり最初は苦労しました。配属された部署はプログラミング能力が必須だったのですが、同期が上級のプログラミング研修を受けている中、私は初級からはじめました。そこでも指示をこなすのに精一杯で大変でした。
──上達するために工夫したことはありますか?
当時は仕事中はもちろんのこと、自宅でも学習していました。書籍を買ってサンプルコードを写経したり、OJTの先輩に仕事のあと付き合って教えてもらったり……そうやって手を動かす時間を増やしていました。
スクラムとの出会いから転職まで
──スクラムとの出会いはSIerにいた頃ですか?
そうですね。SIerにいたときに、スクラムマスター研修に参加したのがはじまりです。その頃は、スクラムが何なのかよく分かっていない状態でした。
そこで講師から教わったのは、スクラムマスターは「 環境を良くする 」のが大きな役割の一つだということです。これは大学時代に専攻していた生涯教育の中にもある、どうしたら人が生き生きと働けるのか、個性を活かせるのかという点にもつながる考え方です。そうした関心のマッチがあり、スクラムマスターやアジャイル開発をもっと極めたいと考えるようになりました。
──請負でのプロジェクトの進め方とアジャイルの相性はあまり良くないと言われますが、その点はどうでしたか?
どのようなプロジェクト管理体制であっても、チーム作りが大事という点は変わりませんので、その点ではアジャイルの考え方が活かせます。ただ、SIerの主要なビジネスモデルの一つである受託開発とアジャイル開発では思想が異なる部分は確かにあります。受託開発では顧客に言われた要件をどう実現するかに主眼が置かれますが、アジャイル開発では どうしたらお客さまが一番満足するサービスを作れるか を考えます。そのギャップはあったと思います。
──その開発思想のギャップが転職のきっかけになったのでしょうか?
私は幸運なことに新規事業開発のプロジェクトに携わる機会が多かったので、思想のギャップに悩むことは少なかったのですが、スクラムマスターとしてどう成長していくのかのイメージが見えていなかったというのはありました。社内には他にスクラムマスターがいなかったんですよね。同僚と情報交換したり、教え合うことができなかったので、一人での学習の難しさを感じていました。
──2社目では、すでにアジャイル開発に取り組んでいたんですね?
ちょうど私が入社した頃に、アジャイルを導入しはじめました。私のミッションは、アジャイル開発の考え方であったり、スクラムがうまく回るように全社的なサポートをすることでした。特定のチームに入ることもあれば、各チームで活動しているスクラムマスターと協力していました。
──2社目は事業会社ですが、SIerとの違いはありましたか?
様々な職種の人が顧客を第一に考え、どうしたら素晴らしいサービスが作れるか議論しあう文化は強いなと思いました。一方で、ある程度大きな会社になると、部署ごとの役割が決まってきます。そのため、企画を考えるチームと開発するチームが分かれる力学が働きやすいなと感じました。
もちろん、みんなサービスを良くしたいという考えは共有しているので、利害関係がある訳ではないです。とはいえ、実際の動きになると1つのチームになりきれない場面もありました。そういう意味で、直面していた難しさの本質はSlerでも事業会社でも変わらず、 いかに異なる職種同士が協力する状況を作れるか だなと感じました。
MIXIは「サービスに対する熱意」が高い
──MIXIへの転職理由について教えてください
MIXIには2023年9月に入社しました。転職のきっかけとしては、『みてね』の開発部長である平田さんに誘ってもらったことです。平田さんには前職のときにも声をかけてもらったのですが、そのときにはタイミングが合いませんでした。そのあとも継続的に連絡をもらっていて、今回改めてMIXIに誘ってもらいました。
──平田さんと実際に話してみてどうでしたか?
一般的に、アジャイル開発は、権限のある人が実はあまり理解していない……という現実がありますが、平田さんは開発組織自体を良くするという立場にいながら、アジャイル開発の理解も深いです。そういった方と一緒に仕事ができれば、本当の意味で組織を良くする点にフォーカスした活動ができるんじゃないかと思いました。
──面接時のMIXIの印象はどうでしたか?
面接では現状の課題などを聞いたのですが、みなさん赤裸々に語ってくれた印象です。そういった意味でもコミュニケーションのしやすさというか、MIXIに入ってもうまくやっていけそうだと感じました。コミュニケーションが円滑で、一緒に仕事をしたいと思う人たちが多かったです。あとはみんなの サービスに対する熱意 が高くて、それが入社の決め手になりました。
──『みてね』のことは入社前から知っていたのですか?
いや、実は知りませんでした。ただ、ちょうどその頃に婚約していたこともあって、自分のライフステージも踏まえて、『みてね』への興味は高まりました。
──運命を感じちゃいますね
そうですね。本当にタイミングが合っていました。
──サービスとしての『みてね』の印象はどうでしたか?
私自身は使っていなかったのですが、友達も子育て世代が増えてきたので、『みてね』を使っている友人は何人もいました。彼らに話を聞いてみると、いいサービスだって話をしてくれました。ずっと続いて欲しいともいわれて。
そういったサービスってなかなかないと思うんです。長く続いているサービスはたくさんありますが、 ユーザーに愛されているサービス はあまりないというのが私の感覚です。『みてね』が今後もユーザーに愛されて、広く支持されるプロダクトであり続けるために、自分の能力が活かせるのは嬉しいです。
透明性の高さがチームの改善につながる
──現在の業務内容について教えてください
今はシニアスクラムマスターというポジションを担当しています。特定のチームだけでなく、みてね事業部全体に働きかけて、組織環境を改善する活動を行っています。
みてね事業部では、スクラムを導入して1年半程がたちました。とはいえ、まだアジャイル開発のエッセンスが体現できていない部分もあるので、アプローチを変えたり、考え方のアドバイスをしています。
──たとえばどういったタスクがありますか?
みてね事業部では平田さんがアジャイル研修を行っていて、開発に関わるメンバーは全員基本的な考え方は理解できています。ただし、実務の中で実践する難しさはあります。
アジャイル開発の大きなテーマの一つとして、不確実性をどう取り扱うかがあります。不確実性を完全になくすのはベストですが、とても労力も時間もかかります。そのためゼロにするのではなく、半分や75%程度まで下げる方法を一緒に考えたりしています。そうすることで、不確実性が残りつつも、開発に取りかかれるようになります。
──それはサービス会社ならではでしょうか?
そうですね。プロジェクト型開発の場合、プロジェクトを終わらせるにはどうするかという思考が強く働きます。まずプロジェクトを終わらせるのが必須なので、そのプロセスを良くしようという動機が働きづらいという課題はあります。
一方で、みてね事業部では継続的なサービス開発を前提としていますので、単にものを作るだけでなく、 将来を見据えてものづくりをうまく進める ためにはどうしたらいいかをメンバー全員で考える必要があります。
──入社後のMIXIの印象はどうですか?
入社前からいろいろ話は聞いていたので、ギャップはありません。透明性は高いと聞いていたのですが、入社してみてその通りだと感じました。みてね事業部では、経営状況を含めて数値を全員に共有しています。組織がどういう状況にあるか全員が理解しているので、コミュニケーションが円滑です。
開発チームにおいては、個人目標のオープン化に取り組んでいます。誰がどういった目標を持って、どう取り組んでいるのかも明確になっているので、コミュニケーションがよりスムーズになっています。
カジュアル面談のときから平田さんが上司だったら働きやすいだろうと思っていましたが、これもその通りでした。今、エンジニアリングマネージャーやデザインマネージャーの方々と協力して、今後の組織体制やそれに合わせてすべきことを議論しています。こうした内容を話し合えるよう、平田さんがサポートしてくれて、私が動きやすくしてくれています。
──大事なのは「対話と透明性」ですね
そうですね。アジャイル開発を進める上で、ユーザーや関わっている人からフィードバックをもらって継続的に改善するのが大事です。そのフィードバックも、前提となる状況を理解していないと改善する方向性がぶれやすくなります。ユーザーの継続的な価値を高める活動を行う上で、透明性はとても大事です。
──チームの共通認識が作りやすいですね
そうですね。透明性があることで、チームの改善や継続的な価値の積み上げがしやすくなっています。先ほど、異なる職種の方々と協力することの難しさについて述べましたが、立場が違う人同士が協力するために必要な要素に透明性の高さがあると思っています。透明性があることで、お互いが何をしようとしているのか理解でき、自律的な協働が可能になります。
進化し続ける組織・個人を作りたい
──入社後ここまでの2ヶ月、手応えはどうですか?
はい、手応えを感じています。何かを成し遂げたという意味ではなく、このチームの人たちとだったら達成できそうという手応えです。これは、まずメンバー全員がアジャイル研修を受けており、アジャイル開発に対して一定の共通理解があることが大きいです。また、みんながサービスを良くしたいと考えている土壌がある点も大きいです。そのため、 議論が建設的 、かつサービスを良くしたいというマインドをぶらさず行えています。
──今後の目標を教えてください
まだ入社して2ヶ月ということもありますので、まずチームメンバーとの良い関係性を築くことを第一に取り組んでいます。メンバーの皆さんに、私と一緒に働くと良い組織ができそうだと感じてもらえるよう努力していきたいです。
そのためには、まず自分が貢献できることを、絞り込みせずに取り組んでいきたいと考えています。
──MIXIで実現したい目標を教えてください
実は、長期的なキャリアプランはあまり深く考えていません。キャリアは現状の積み重ねが形になったものだ、くらいの考えです。私自身は自分がこうなりたい、というよりも組織の課題を解決したり、良い組織を作りたいと考えるタイプだと思っています。
アジャイル開発は「開発」という単語が入っているので、つい開発者のためだけのものだと思われがちです。しかし、開発者だけが改善されても意味はありません。私としてはビジネス全体をどう良くするか考えるようにしていて、そのために開発者や開発に関わる事柄がボトルネックにならないように改善するというアプローチを取っています。
その意味では、ビジネス全体を良くしたいですし、『みてね』自体を強くしたいと考えています。今は開発チームの支援が中心ですが、マーケティングやカスタマサポートと、事業運営企画に関わる人たちともより協力できる機会を作っていきたいです。『みてね』の事業価値を向上させる活動が私にとっての大きなチャレンジです。
──個人としての目標はどう考えていますか?
人や組織に関心があって、進化し続けられる人や組織を作っていきたいと思っています。これは周囲もそうですが、自分自身もそうありたいと考えています。これを実現するための鍵になるのは 「賢明性」と「健全性」 の両立です。この2つを高いレベルで実現する必要があります。
自分の解釈ですが、賢明性は、戦略性の高さを表し、健全性は、描いた戦略を実行する組織の密度の高さを意味します。
進化し続けるためにはどこに向かうかの方向性や・どうやって到達するのかの作戦が重要です。一方で描いた方向性を実現するのは組織であり、もっというと組織に所属するメンバーです。そのため、一人一人が方向性や作戦を理解し、そこに到達するために何をすべきか、何ができるか考え、他者と密に協力しながら進めていく自律性の高い組織を作っていくことがとても重要だなと感じています。
現状、自分が組織を良くするのにスクラムマスターのスキルが一番活用できていますが、必ずしもそこにこだわってはいません。進化し続ける組織や人を、人材育成などの視点から支援したいですね。
やるべきことは無数にありますが、まず相手を理解し、 本質的な課題は何か を知ることが必須だと思っています。例えば、デザイナーと話をするなら彼ら彼女らがどのように仕事を進めているか・どのようなことを大事にしているかなどを知ることで協力できるポイントを見つけることができます。
また、それぞれの職種の方をリスペクトして議論しあうためには、会話できる基礎知識が絶対に必要です。例えばテスト領域に関する知識やプラクティスを知ることはQAの方と協力しあう上で重要なことだと考えています。
ビジネス面であれば経営の理解も必要なので、学問としての経営はもちろん、実務的な意味でも経験が必要だと思います。エンジニアリングにこだわらず、さまざまな知識を吸収しないといけないですね。
スクラムマスターの役割の一つは組織を支援することで、それは技術面だけに限りません。開発者以外の人たちとも協力できる知識が必要なので、スクラムマスターはまさに総合格闘技だなって感じますね。
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