4月11日、AppleはSafari Technology Preview Release 192を発表した。このリリースは、認証、CSS、編集、JavaScript、メディア、レンダリング、Web API、Web Extensions、およびWeb Inspectorに関連する多数の改善と新機能が導入されている。
特に注目すべき新機能には、View Transitions APIのサポート、メディアソース拡張(MSE)のワーカーでのサポート、JavaScriptのObject.groupBy
やMap.groupBy
が非オブジェクトに対しても機能するように修正されるなど、多くの改善や修正が行われている。
特にView Transitions APIのサポートは、SPAにおけるビュー遷移の実装を大幅に簡素化できる可能性がある。例えば、あるページから別のページへの移動時にアニメーションやエフェクトを簡単に実装できる。現在まで、Chromiumベースのブラウザでのみサポートされていた機能であるが、WebKitでの開発が進むことにより技術採用の障壁が下がり、Web開発に大きな影響を及ぼす可能性もある。
メディアソース拡張(MSE)がワーカーでサポートされることも、動画再生技術の一環として非常に重要である。
メディアソース拡張(MSE: Media Source Extensions)は、HTML5の一部として提案されたWeb標準技術で、動画や音声のストリーミングをブラウザで直接操作し、より細かく制御できるようにするAPIである。これにより、ウェブページのJavaScriptが動的にメディアコンテンツを生成または変更し、それをブラウザのビデオやオーディオ要素で再生することが可能になる。
MSE APIを使用することで、開発者はビデオやオーディオの再生中にセグメントを動的にロードし、それらをソースバッファに追加することができる。これにより、長時間のライブイベントのストリーミングや、ユーザーのネットワーク条件に基づいて動的にビットレートを調整するなどの複雑な動画配信シナリオに対応できるようになる。
MSEがバックグラウンドワーカー(Web Workers)上で利用できるようになることで、メインスレッドの負荷を減らしながら高品質なストリーミング体験を提供できるようになる。
その他の改善点や詳細についてはRelease Notes for Safari Technology Preview 192を参照していただきたい。