4月4日、1Passwordは「AI時代のセキュリティと生産性(Security and productivity in the age of AI)」という年次セキュリティレポートを公開した。このレポートは、ビジネスの進歩がセキュリティにとってしばしば逆効果になる可能性があるという、避けられない結論に達している。
北米のホワイトカラー従業員1,500人、うちセキュリティ専門家500人を対象に実施した調査により、生産性とセキュリティの間に新たな緊急性を帯びた緊張関係が浮かび上がっている。テクノロジー業界では、ほぼ半数の従業員が未承認のアプリやツールを使用 しており、企業では 従業員一人当たり平均5つの未承認アプリを使用している ことが判明している。しかもその理由は、 単に「仕事を早く終わらせたいだけ」 という、生産性向上という企業にとってのプラスの側面が働いていることも、事態を深刻にしている。
セキュリティチームは、リソースが限られている中で脅威の増大に追いつくことに苦労しており、セキュリティリスクに対して受け身の姿勢にならざるを得ない状況だ。そうした中、AIが新たな生産性向上の道を、そしてセキュリティリスク増大の道を開こうとしていることに、セキュリティ担当者は戦々恐々としているという実情があらわになった。
セキュリティ専門家の92%がAIのセキュリティに対して懸念を抱いており 、従業員がAIを利用することで生産性が向上する一方で、セキュリティが犠牲になっていることが明らかになっている。セキュリティと生産性の微妙なバランスは決して新しい問題ではないが、職場の習慣が変化する中でセキュリティインシデントのリスクを低減しようとするセキュリティチームと、生産性の追求に集中する従業員との間で潜在的な緊張関係が高まっている。
この調査結果からは、働き方の多様化とAIの台頭によって、セキュリティチームが直面している新たな脅威に適応することの難しさが浮かび上がっている。特にテクノロジー業界では、セキュリティポリシーに従うことなく、個人的なデバイスや公共のコンピュータで仕事をする従業員が存在することが、セキュリティリスクを一層高めている。
また、AIを利用した生産性向上が企業にとって重要な目標である一方で、従業員がセキュリティポリシーを緩めてしまうことで、データ漏洩やサイバー攻撃のリスクが増加していることも指摘されている。セキュリティと生産性のバランスをどのように取るかは、今後の企業運営において重要な課題である。
1Passwordのレポートは、セキュリティと生産性のバランスを取ることの複雑さを浮き彫りにし、AIの進化がもたらす新たなチャレンジについて警鐘を鳴らしている。
詳細は[1Password cybersecurity report: Balancing information security and productivity in the age of AI」を参照されたい。