2023年7月13日、DeNA・MIXI共催でリモートワークをテーマとしたイベントを実施しました。両社とも、全国各地に居住しながら勤務できるリモートワークの環境が整備されています。リモートワークでの不安を払拭すべく、各社の取り組みであったり、実際にリモートワークで働いている人たちの実例を含めてざっくばらんに話すトークイベントを開催しました。この記事では、当日のスライドと、後半に行われたパネルディスカッションの様子を抜粋してご紹介します。
また、合わせて大阪でも次回開催が決定しておりますので、こちらもご興味があれば是非!
当日の発表の様子
前半では、各社の紹介とリモートワークの状況、そしてユニークな仕組みについて紹介がありました。まず最初にDeNA常務執行役員の小林さんより、DeNAの会社紹介がありました。小林さんは最近、メディカル事業に関わることが多くなっているとのこと。
エンジニアによりクリエイティブで成長できる場を
DeNAといえばゲームやスポーツなどが有名ですが、他にもライブストリーミングやヘルスケア、メディカルなどさまざまな事業領域に関わっています。これらは、エンターテインメントと社会課題解決という二軸に沿ってシナジーを起こしつつ進められています。
一例として挙げていたのが、2022年10月に子会社化した医療ICTのアルムです。アルムでは医療機関向けに、医療機器認証を受けている医療関係者コミュニケーションアプリ「Join」を提供しています。日本で初めて保険診療の適用が認められたアプリだそうです。
DeNAというとゲームというイメージが強いですが、ライブストリーミングが急成長を遂げ、さらにヘルスケアやメディカル、スポーツなども伸びています。
そうした急成長を支えているのが組織および人材であると小林さんは語っています。DeNAのミッションは「一人ひとりに想像を超えるDelightを」であり、プロダクト開発を進める中でも頻繁に出てくるキーワードとなっています。
DeNAのモノづくりにおける強みとして、専門的な技術レベルの高さを挙げています例えばセキュリティ技術でいうとユーザーが新しいサービスを使い始めたときに不安定さを感じることがないよう、個人情報を預ける中で脆弱性を感じたりすることがないよう組織として取り組んでいます。
小林さんが2018年に執行役員になった際、経営陣に対して「オンプレミスとクラウド」のどちらを選択するのかを決めることが一番はじめのミッションでした。大規模なサービスを運営する上では、クラウドよりもオンプレミスの方が安価ではあります。しかしハードウェアの保守は常に発生し、メンテナンスが必要です。メンテナンスは重要な業務ではありますが、よりクリエイティブな仕事や成長できる機会を提供する方が重要であると考えクラウド化が推し進められました。
DeNAのエンジニア紹介
エンジニアとしての様々なキャリアパスについて紹介がありました。Google Developer Expertsであり、Kagglerでもある社員や、Anycaという個人間カーシェアアプリのリードエンジニアの経験から、現在はそのAnycaを提供するグループ会社の代表取締役社長を担っている社員をあげました。こういった様々なキャリアパスがDeNAには用意されています。
DeNAの人事制度について
DeNAのキャリアを支える上で重要なのが人事制度であると小林さんはいい、中でも特徴的な制度を2つ紹介しました。
1つ目がシェイクハンズ制度で、これは異動希望者と受け入れ側の事業責任者の両者が承諾(握手)したら異動が決まるという制度です。異動希望者の上長を通す必要がなく、本人のやりたいという熱量を後押しする制度となっています。
2つ目はクロスジョブ制度です。シェイクハンズ制度は異動に直結するので、少しでも不安があると飛び込めない人たちもいます。そこでクロスジョブ制度では自分の業務時間の30%までを他部門の業務にあてることができるので、いわばお試しで他部門の業務を体験することができます。その他、副業や起業支援などの制度もあります。
DeNAでの働き方について
DeNAは現在、渋谷のWeWorkに拠点を移しています。これはオフィスの縮小・拡張などにも柔軟に対応でき、WeWorkの国内外拠点を活用した多様な働き方も可能になるためです。会社としてもリモートワークと出社を織り交ぜたハイブリッドワークを推奨しています。
2022年6月より、オフィスから遠方に住んでいる社員でも出社しやすいように通勤交通費の上限を変更する制度※を開始し、これにより遠方であってもリモートワークと出社を織り交ぜた働き方が実現できるようになりました。
※遠方居住者が出社する場合、1日の上限を無くし月15万円まで実費支給
※上長の承認が必要であり、また一部業務では適用されない場合があります
また、リモートワーク手当の導入やWeWork各拠点の活用など働き方の変化に伴って人事制度のアップデートも行われています。
MIXIの紹介
MIXIからは前CTO、現取締役 上級執行役員の村瀨がMIXIの紹介をしました。
「スポーツ」「ライフスタイル」「デジタルエンターテインメント」
MIXIが重視しているのはコミュニケーションです。ゲームやスポーツなどさまざまな事業分野に関わっていますが、根底にあるのはコミュニケーションです。つまり1人ではなく、2人以上の世界を支える企業でありたいと考えています。それはゲームやスポーツ、家族向けの写真アプリであっても共通の理念です。
MIXIでは大きく分けて3つのセグメントの事業領域があります。それは「スポーツ」「ライフスタイル」「デジタルエンターテインメント」です。スポーツとしてFC東京や千葉ジェッツはもちろんですが、今回はスポーツベッティングである『TIPSTAR』を紹介します。TIPSTARは競輪のリアルタイム中継を見ながら車券を購入できるサービスです。車券の購入というとギャンブルですが、MIXIはそれをスポーツとして捉えており、見ている人たちがどう楽しみを最大化できるかと考え、取り組んでいます。
ライフスタイルとして紹介したいのは『家族アルバム みてね』です。これは子供や家族の写真を遠くにいるおじいちゃん、おばあちゃんと共有できるサービスです。ここでもシェアやコメントを通じてコミュニケーションが生まれます。
デジタルエンターテインメントとしてはスマホゲームの『モンスターストライク』(以下モンスト)が挙げられます。クラスの休み時間やお昼休憩時に遊んで、何やってるのとか一緒にやろうよといった空気を生み出すのが私たちの事業として注力しているポイントです。
CSR的な観点としては、ビットバレーという渋谷からITを盛り上げるという団体運営に関わっていたり、渋谷区の中学校向けにプログラミング教育を提供しています。これらはIT人材不足とも言われる中で、もっと一緒に関わっていける人たちを増やしたいという気持ちで行っています。
変わったところとして、ハードウェア周りでの関わりを紹介します。まずスポーツ事業として、不動産会社とのジョイントベンチャーを作り、千葉ジェッツのホームアリーナを建設しています。こういった建物やインフラも提供しています。ライフスタイル分野としては『みてねみまもりGPS』があります。これはあらかじめ指定した範囲から出るとアラートを送るデバイスで、家族をサポートしています。
MIXIのエンジニア組織と職種
MIXIはマトリックス型組織であり、先に挙げた3事業領域それぞれに関わるエンジニアもいれば、MIXI全体に関わるエンジニアもいます。各事業・サービスに深く関わっていくエンジニアもいれば、複数の事業に関わる欲張りなタイプもいます。
エンジニアの種類としては実に多彩で、インフラ系・データアナリスト・機械学習エンジニアなどさまざまです。エンターテインメント企業らしく、アプリのアニメーションに関わるエンジニアもいます。
MIXIはハードウェアに関わる人も多く、一例として競輪に搭載している車載カメラも自社開発しています。このためにローカル5Gの免許を取得し、基地局を建てています。カメラは秋葉原で買ったRaspberry Piをベースに3Dプリンターでケースを作成しています。
MIXIのキャリアパスについて
MIXIのエンジニアとしてのキャリアパスも実に多彩です。エンジニアリングマネージャーになりたいという人もいれば、いろいろな事業に関わりたいという人もいます。他にもサービス1人目のエンジニアになるんだ、と0→1を続ける人もいます。
ユニークなキャリアとしては、元々モンストのインフラを支えていたエンジニアが、今はモンストのマーケティング部の部長をしています。エンジニアのキャリアというのではなく、事業をどう伸ばしていくかという観点におけるキャリアの選択肢は多彩に用意しています。
MIXIが大事にしているのは「みんなで作ろう」という観点です。上流工程という言葉がありますが、これにはヒエラルキーやワークフローが見え隠れします。こうした工程や壁をなくすのが私や事業部長の役割であり、みんなで作ろうという考えを啓発しています。
MIXIは割とわがままの通じる会社です。開発生産性を伸ばすためにどういったスペックのPCが必要で、ソフトウェアやアセットが必要だと提示されれば、大抵通ります。エンジニアが成長してくれれば、周りのみんなも幸せになると信じています。
また、MIXIではエンジニアのアウトプットを積極的に支援しています。登壇の機会を提供したり、スポンサーを含めて積極的に行っています。先日、はじめて自社テックカンファレンスであるMIXI TECH CONFERENCE 2023を開催しましたが、こうしたアウトプットの機会提供はエンジニアからも好評です。
MIXIのリモートワーク状況
MIXIのリモートワーク状況についてですが、私自身が渋谷に住んでいつつも月1回程度しか出社していません。そのため、リモートワークはあまりに普通になりすぎていて、あまり特別に語るものはなかったりします。それくらいMIXIでは当たり前のものになっています。
コロナ禍になって、集中と発散を選択できるようになっています。自宅で集中して仕事にあたっても良いですし、逆にオフィスにある集中ブースで仕事もできます。また、ときには出社して他のメンバーとコミュニケーションもできます。この集中と発散を活性化できるよう、MIXIとして取り組んでいます。
そのため、リモートワークがなくなるということはあり得ません。MIXIとしてグローバル化を目指していますので、究極的には8時間交代制の24時間常時開発を実現したいと考えています。それを実現するためには、リモートワーク活用が前提になっています。
MIXIとしては「会いたいときに会いたいって言える関係性」こそ大事だと考えています。会った方が生産性が上がるとか、合理的であるとかそういった建前は抜きにして、会いたいなら会いたいといえば良いんです。
集まるなら交通費はもちろんサポートしますので、ときには会って一緒にランチしながら事業やシステムについて話し合えば良いんです。そして後はみんな集中して仕事をして、オンラインでコミュニケーションをとっています。これがMIXIの働き方です。
リモートワークの実情
ここから後半として、まずは実際にリモートワークを行っている2人から働き方に関する紹介をしました。まずはMIXIの萩原からです。
東京から博多へ移住してリモートワークを実現へ
私が福岡(博多)へ移住を決めたのは、何よりご飯が美味しいからです。元々広島生まれで、その後岡山の高専で5年ほど寮生活をし、MIXIに入社したタイミングで渋谷に引っ越しています。そしてコロナ禍になった中で、東京に少し疲れたこともあって博多への移住を決めました。
コロナ禍でリモートワークになったとき、東京では7畳ほどの部屋に住んでいました。広さは十分かも知れませんが、特に問題だったのはプライベートと仕事の切り替えがうまくできなかったことです。デスクとテーブル、ベッドが同じ空間にあるためにダラダラと仕事を続けてしまったり、休みの日にも仕事のことを考え続けてしまう状態になってしまいました。
そこで、もう少し広い部屋に住んで、仕事部屋とくつろぐ部屋を分けたいなと考えていました。MIXIでは12時までに出社できるならどこに住んでも良いという制度があるので、これを機会に住んでみたいと思っていた博多への移住を決めました。
なぜ博多かといえば、前述の通りご飯が美味しいという点が1つです。また、空港が近いこともあって、渋谷へもドアツードアで2時間半程度です。交通の便も良くて、普段の生活で車がいらないのもメリットです。
現在の働き方
働き方については、私のチームでは月に2回(1日と16日)出社推奨日を設けています。出社必須というわけではなく、この日であればいろいろな人がいますよ、といった程度のものです。この日に入社する人が多いので、新しい人たちを迎えてウェルカムランチをしています。
実際に出社している人たちの割合でいうと、エンジニアは集中したい人が多いのか出社率は低めです。デザイナーや企画職の人は出社率が高めで、密なコミュニケーションをとりながら企画を進めています。
出社する目的は人それぞれです。会社の方が集中できる人もいれば、社食が美味しくて安いからという人もいます。私の場合は他の人に会いに行くという目的が強いですが、同じように雑談したいからという人もいます。
面白いのは博多への移住を他の人に伝えたら、羨ましがる人が多かったことですね。ネガティブな意見は全然なく、他の人も独身だったら移住したかったとか、効率が上がりそうだし面白いねといってくれました。
とはいえ懸念点もありました。それは自分の立場がマネージャーであり、チームマネジメントが成り立つのかどうかです。しかし、私が移住することで他のメンバーも移住という選択が選びやすくなったり、何か問題があるならばそれを解決できる仕組みを作る方が意義があると考えました。
実際に工夫している点としては、近況報告であったりリモートワーク前以上にコミュニケーションを活性化するように促しています。そうした工夫によってちゃんと成果が出せる体制であったり、業務上困ったということはなくリモートワークができています。
とはいえ課題がないわけではありません。一番大きいのは突発的な雑談がなくなってしまったり、新しく入ったメンバーとの関係構築です。この点については私から積極的に話すようにしたり、Slackのハドルを使ってカジュアルに話すなど、なるべく孤独感を感じさせないように心がけています。新しく入社された方は不安があって当然なので、それを解消できるようなメンター制度や資料作り、フォローできる体制を構築しています。
田中さん@DeNAの紹介
続いてDeNAの田中さんより自己紹介がありました。
私は2022年11月にAndroidのエンジニアとして、DeNAへ入社しました。佐賀県生まれで、前職も天神にある会社でリモートワーク勤務でした。プライベートではDroidKaigiの運営スタッフとして関わっていたりもします。
パネルディスカッション
ここからは4人でのパネルディスカッションです。事前にSli.doへ質問が寄せられており、それに答える形で進められています。
Q. どれくらいの頻度で出社しますか?
田中: 「2ヶ月に1回くらいの頻度で渋谷オフィスに出社しています」
小林: 「私は東京にいるときは、必ず毎日出社しています」
Q. コミュニケーションで工夫していることはなんですか?
田中: 「SlackやZoom、Meetといったオンラインツールを状況に応じて使い分けています」
小林: 「2022年11月入社ということで、リモートワーク全盛だった時期ですがやりづらさはありましたか?」
田中: 「正直ありましたね…」
小林: 「何かそれを解決したきっかけとかありましたか?」
田中: 「会社としてオンボーディングで支援してくれる制度があったので、遠方であっても同僚と一緒に会ったりランチをしたりしました。そうした機会を通じてお互いを知り合えたのは大きかったです」
萩原: 「私の場合はバックグラウンドを含めてなるべく丁寧に話すように心がけています。サービス領域がソーシャルベッティングであり、そもそもベッティング自体に興味がない人もいます。そうした人には理解が難しいと思います。そのためにも、仕様に関する背景やなぜ必要なのかをかみ砕いて説明するようにしています」
村瀨: 「Slackでエンターを押すのが遅い人っているじゃないか」
会場: 「笑」
村瀨: 「いろいろ書いて、それでもメッセージを送らないっていう。そうするより、考えていることをストリーミングして、リアルタイムコミュニケーションを大事にして欲しいなと。単発的なメッセージであっても、その中に謙虚さや誠実さが入っていれば問題は起きないですし」
Q. 地方から働く選択をした理由について
田中: 「私は元々佐賀に住んでいたからという理由ですが。逆になぜ東京の会社に入社したのかといえば、IPを持ってモバイル事業を行っている企業は地方にはあまり多くありません。そのためAndroidエンジニアとしてのキャリアを考える上で、東京の会社という選択肢があったのは大きかったです」
萩原: 「コロナ禍になって、人と会えずにさみしかったのが一番の理由ですね。そんなときに村瀨が『仕事以外の何かを見つけた方が良い』といった話をしていて、これだなと。たぶん自分を変えたかったんだと思います」
Q. リモートワークは良いですか?
田中: 「やはり生活を変えなくて良いのが一番大きいです。住み慣れた街で、いつも通りの生活をしながら働けるメリットは大きいです」
萩原: 「承認欲求という意味では、出社するだけでみんなが喜んでくれるのが嬉しいですね。最近ちょっと出社頻度が増えてしまって飽きられてしまったかも知れませんが」
会場: 「笑」
萩原: 「それは冗談として。メンバーから呼んでもらえることは増えていて、私も嬉しくてじゃぁ明日行くねって感じのノリで出社しています」
小林: 「博多は福岡空港がすぐ近くですもんね」
萩原: 「そうですね。福岡から羽田までが1時間半程度と考えると、名古屋から新幹線と変わらないんです」
Q. リモートワークでの課題はありますか?
田中: 「最初にも軽く触れましたが、やはり仲良くなるのが若干難しさを感じます。コミュニケーション面は工夫が必要ですね」
萩原: 「メンバーのパーソナリティが伝わりづらいなと思います。自分のロールがマネージャーということもあって、最初はかしこまって話しかけられてしまいます。もっとお互いオープンマインドになるにはどうしたら良いか悩みました」
小林: 「何か解決策はありますか?」
萩原: 「やはり一度は対面で会うことだと思います。先日七夕のタイミングで集まったのですが、みんなすぐに打ち解けました。二次会で喧々諤々な議論をして、そこでみんなのサービスに対する思いを知れたのは良かったです」
小林: 「DeNAでも入社初日に出社する人は多いですね。そこでチームメンバーと顔合わせしたり、ランチに行ったりして交流しています」
村瀨: 「中途入社だと、同じ自宅で仕事しているのに会社だけ変わっていたりしますよね。そうした人に言われたのは、何らかの区切りが欲しいと言われて。確かにそうだなと思いましたね」
Q. 転籍制度について。各事業部のエンジニア需要と供給は考慮されているでしょうか?
村瀨: 「MIXIの場合は自由に異動できる制度です。そのため、もしエンジニアに異動されて困るならマネージャーが事業の魅力付けと説明をちゃんとしなさいという感じです」
小林: 「DeNAでも同じです。もし社外の方を採用しようと思ったら、事業の魅力説明は必要ですよね。それと同じ観点を社内に対しても持たなければならないということです。その点は割とドライです」
村瀨: 「時々、注力事業や社長直下案件みたいなものが発生しますが、その時には事業部に頼んで融通してもらうこともあります」
Q. 社内で人気のあるフレームワークは何ですか?
萩原: 「アプリについてはFlutterの需要が高まっていますね。WebフロントエンドについてはNext.jsが増えています。TIPSTARではReactを採用しています。Vue/Nuxtも時々耳にします」
小林: 「DeNAも割と自由に選んでいますね。私が最近見ているプロダクトはサーバーサイドがGo言語で書いています。フロントエンドはRemixを利用していたりと、最近流行っているものを使うことが多いですね」
Q. リモートでの進捗管理、メンバー間コミュニケーションはどう整えていますか?
田中: 「今のチームでは朝会をやっていて、そこで進捗管理や詰まっているところの相談をしています。ただ、そこではあまり時間はかけないようにしていて、困ったときには都度早めにエスカレーションするようにしています」
萩原: 「Slackのハドルをよく使っています。Slack内で何か議論があったら、ハドルで話すようにしています。もちろん、その内容はテキストにしています」
小林: 「ハドルも良いですが、テキスト起こししているのが良いですね。書記係などがいるのですか?」
萩原: 「いえ、特にそうした人がいるわけではありません。チーム文化として自然と育ってきた感じです。私が何を話したのかをよく聞くからかも知れません」
Q. 東京へ出社した際のスケジュールについて教えてください
萩原: 「前日は遠足の前の日みたいにワクワクしていますね」
会場: 「笑」
萩原: 「当日は少し早めに起きて用意して、朝7〜8時くらいに家を出ます。飛行機は9時半〜10時くらいに乗ります。東京に着陸するのが11時前後で、そこから会社に向かいます。後は仕事をしていますが、日帰りの場合には18時にはオフィスを出ますが、最近はそのまま2〜3泊していくことが多いです」
小林: 「欠航とかのトラブルはありませんか?」
萩原: 「幸い、今のところ欠航しかけただけで済んでいます。一応、そのときは労務に相談して無理に出社しなくても良いという返答はもらっています」
田中: 「私の場合は出社した日のスケジュールに依りますが、前日入りする場合もあります。そのときには自宅で4時くらいまで仕事をして、東京に向かいます。東京で飲み会がある場合には1泊して帰ります」
Q. VR・Vision Pro関連の事業はありますか?
村瀨: 「MIXIは対面コミュニケーション重視の事業を行っているので、基本はありません。ただ、建築のシミュレーションであったり、アニメの世界に入れるといった没入型体験といった使い方はありだと思っています。ただMIXIとして重視しているのはVRではなく、映像やモデリングです。技術基盤としてリアルタイムレンダリングを強化することで、さまざまな分野で使えると考えています」
小林: 「DeNAの場合、VRに特化した事業はないです。ただ、いろいろな事業で活用はできると思っています。」
Q. 出社したいという方に対してのフォローアップはありますか?
萩原: 「今のところは聞かないですが、もしそうした方がいれば出社に対する目的を聞くかと思います。自宅より集中できるのであれば、特に誰かが一緒に出社しなくても大丈夫だと思います。誰かと話したいのであれば、どの曜日が一番多そうかを教えてあげます。出社を通じて企画職、デザイナーの方と仲良くなっているエンジニアの方もいますね」
村瀨: 「会いたいなら会いたいっていえば良いんですよ」
会場: 「笑」
小林: 「昔からいる人はリモートワークが多くて、最近入社した人は出社する人が多い印象ですね。ケアというわけではありませんが、オフィス出社デーというのを設けてそこでコミュニケーションを促したり、新卒の方が来ると聞いたらフォローアップしたりしています」
Q. ChatGPTやGitHub Copilotは使えますか?
村瀨・小林: 「使えます」
Q. 評価制度はどうなっていますか?
村瀨: 「評価は達成した内容によるので、リモートワークによって何か難しくなったとかは一切ありません」
小林: 「DeNAも同じです。目標設定が大事で、その設定した目標に対して結果がどうだったかを見ているので、それはオフラインのときと変わっていないです」
Q. エンジニアの技術キャッチアップについて工夫していること
田中: 「社内のコミュニティが活発です。AndroidやFlutter、他にもVimなどもコミュニケーションが活発です。好きな人がコミュニティを作って、それをエンジニアリング室などがサポートしてくれる仕組みがあります」
萩原: 「エンジニアリングが好きな人が多いので、みんなSlackでどんどんネタを流していますね。私はそこから拾ってキャッチアップしています」
小林: 「そういったオープンなチャンネルがあるのですか?」
萩原: 「はい。技術的な内容をオープンに話すチャンネルの他に、各事業のチャンネルでも開発本部のメンバーが他の事業部であった話題を投げてくれます」
小林: 「エンジニア同士の交流の場はありますか?」
萩原: 「そうですね。私が参加しているSREの情報交換会は月1くらいの頻度で開催しています」
Q. フルリモート導入後の成果、効率について
村瀨: 「現場のエンジニアは定性的には生産性が上がったと感じています。対してマネージャーの中には、生産性が下がったと感じている人がいます。会話を重視している人があらわになったと感じているので、そうしたコミュニケーション濃度の変化が求められています。その意味では効率というより、新しい課題が出てきました。成果は特に変わっていないです。
たとえばサーバーサイドエンジニアはサーバーへのログインが必要で、これはある意味リモートワークだったんですよね。それに対してフロントエンドエンジニアやデザイナーの方はコミュニケーションの方法を変える必要があったと思います」
小林: 「DeNAも同じですね。みなさん、チューニングするんですよね。コロナ禍になった直後は一時的に効率が下がったときもありますが、試行錯誤しながら戻ってきました。今ではハイブリッドで楽しくやろうと、違和感ないくらい戻っていますね」
Q. 英語力はどれくらい必要ですか?
村瀨: 「MIXIはグローバルにやろうと推し進めているので、喋れた方が良いという場面は増えています。そのために、会話も含めた英語学習補助も用意しています。エンジニアは、ドキュメントは英語で読めれば十分だと思っています。英会話については学習できる仕組みはAIをはじめとしていろいろ出ているので、駆使しながら学習するのが良いと思います」
小林: 「たとえば今日紹介したアルムのエンジニアは半数以上が外国人です。プロジェクトによっては、会話には英語ではなくスペイン語が使われることもあります。また、Pocochaはグローバル展開を進めていて、英語化にも取り組んでいます。そのため事業に合わせて言語を選択しています。エンジニアについてはMIXIさんと同じ考えです」
Q. 福利厚生のお勧めはなんですか?
萩原: 「書籍購入補助と社食補助ですね。書籍いっぱい買ってます」
田中: 「交通費補助ですね。これは必ずしもミーティングだけではなく、自分が参加したいと思っているイベントが東京などであった場合にも補助が得られます。先日もGoogle I/O Extendedというイベントがあったのですが、申請したら許可をもらえました」
Q. インフラエンジニアはリモートワークできますか?
村瀨: 「できます。データセンターへ行ってくださいというときに対応できれば問題ないです」
小林: 「DeNAも同じです。むしろインフラエンジニアの方がリモートワークしやすい気がしますね」
村瀨: 「そうですね」
最後に
今回はリモートワーク・移住をテーマに約2時間半のイベントになりました。非常に数多くの質問が寄せられており、すべてにお答えできずに終わってしまったほどでした。本記事を通じてMIXI・DeNA両社のリモートワークの実情、働き方の一端が感じてもらえれば嬉しいです。
次回イベントは9/21に大阪で開催!
ご好評につき、今回のイベントの大阪開催が決定しました!
詳細はこちらから。よろしければ是非ご参加ください。
Q. インフラエンジニアはリモートワークできますか?
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