HashiCorpが、Terraformによるインフラストラクチャのセキュリティ強化に関する6つの手法を公開しました。
この記事では、クラウド環境への移行に伴うセキュリティ上の課題に対処する方法が具体的に述べられています。
HashiCorpの調査によれば、セキュリティはマルチクラウド環境の成功に不可欠な要素として挙げられており、Terraformを活用することでセキュリティとコンプライアンスを重視したインフラストラクチャのプロビジョニングプロセスを実現することができます。
1. プロビジョニングスキルのギャップを埋める
調査によると、スキルギャップがマルチクラウド採用の大きな障害となっています。プラットフォームチームは初心者開発者のニーズに応じたワークフローを設計する必要があります。これにより、開発者がより早く適応できるだけでなく、経験不足や標準プロセスの不備によるセキュリティとコンプライアンス上の問題を防ぐことができます。
2. セキュアなモジュールの構築と再利用
インフラストラクチャの構成をゼロから書き起こすことは時間がかかり、エラーを生じやすく、マルチクラウド環境ではスケーラビリティが課題となります。これを解消するために、Terraformでは再利用可能な「モジュール」と呼ばれるコード化されたインフラストラクチャを作成できます。これにより、セキュリティ要件とベストプラクティスを含むゴールデン構成をレビュー、テスト、検証済みのものとして作成し、安全性の確保と再利用性を実現します。
3. ポリシーガードレールの作成
迅速なプロビジョニングは多くの可能性を開く一方で、準拠したインフラストラクチャの維持と過剰なプロビジョニングを防止する必要があります。過去には、これらのセキュリティ、コンプライアンス、コストのポリシーは手動の検証と強制が必要であり、スケーリングが難しいという課題がありました。Terraformはポリシーをコードとして表現する「Policy as Code」フレームワークをサポートしており、自動的にプロビジョニングワークフローでポリシーを適用することが可能です。
4. プロビジョニング時のガードレールの強制
Terraformはプロビジョニングプロセスにおいてガードレールを強制することで、セキュリティとコンプライアンスの努力を上流に移動させ、コードとして自動的に検証します。例えば、エンドユーザーが公開モジュールを利用することを確認する、インフラストラクチャが可視性のためにタグ付けされていることを確認する、データストレージがGDPRに準拠していることを確認するなど、ポリシーをプロビジョニングワークフローに統合して適切に検証します。
5. ガードレールの継続的な強制
インフラストラクチャが大規模で複雑になると、一貫性を維持することがますます困難になります。セキュアな初期プロビジョニングプロセスを実行しても、インフラストラクチャの設定が取り消されたり回避されたりする可能性があります。これにより、構成の偏差が生じ、ダウンタイムや不必要なコスト、セキュリティリスクが発生する可能性があります。Terraformでは、変更を監視し続けることでこの問題を解決します。プロビジョニング後も、インフラストラクチャの変更を継続的にチェックすることで、予期せぬ変更に対応することができます。
6. 観測性(Observability)と可視性(Visibility)
セキュリティを強化するためには、インフラストラクチャの変更を可視化する必要があります。Terraformの実行計画とプロビジョニングランタイムのログにより、インフラストラクチャの変更履歴や異常な挙動を把握し、セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能となります。
この記事では、Terraformを利用した6つの基本的な手法に焦点を当て、インフラストラクチャのセキュリティ向上に向けた具体的な方法を提供しています。Terraformを活用することで、セキュリティとコンプライアンスを常に重視したプロビジョニングプロセスを実現し、マルチクラウド環境における成功に寄与することが期待されています。
【元記事のリンク】
6 ways Terraform can help secure your infrastructure