本セッションの登壇者
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それでは、「ChatGPTの個人開発ではGoogle App Scriptがおすすめな理由」というタイトルで発表させていただきます。
今回お話しする内容はこちらになります。まず少しご紹介させていただいて、ChatGPTが非常に流行っていますねというところから、APIが公開されて個人開発が今すごく盛り上がっていること、サービス開発における重要ポイント、その中でChatGPTのAPIを使った個人開発にGoogle App Script (GAS)がおすすめな理由という今回のメインテーマのところをお話しして、最後にまとめます。
まず、自己紹介をさせていただきます。ヤマタケと申します。ふだんはメディア系の企業で働いていまして、Google App Scriptを使った業務改善を好んでやっております。個人では、AutoWorkerというブログを運営しておりまして、その中でブログのSEOを趣味として楽しくやっております。こちらの月間PVなんですが、実はChatGPTの盛り上がりとともにChatGPTに関する記事を書いていたところ、3月は非常にアクセス数が増えまして月間60万PVを超えました。また、ブログだけではなくYouTubeなどでもChatGPTに関する情報を発信しておりますので、もしよろしければそちらもご覧いただければと思います。
ChatGPTのAPI提供でサービス開発戦国時代へ
2023年はもう猫も杓子も生成系AIということで昨年から登場したStable Diffusionなどの画像生成AI、ChatGPT、さらにはChatGPTと連携しているMicrosoftのBing AI、GPT-4など、画像生成AIから文章生成AI、さらにはGPT-5で搭載と言われているマルチモーダルと、まさに今まで未来と考えられていた部分が近づいていると感じています。
そんな中でもやはり生成系AIで最も注目を浴びているのはChatGPTです。おそらく今視聴していただいている皆さんも見たと思いますが、先日のニュースでOpenAIのサム・アルトマンCEOが来日して岸田総理と会談するとともに、自民党のAIを考えるタスクチームの会合に参加しました。非常にChatGPT周りが盛り上がっているとともに、この後、アルトマンCEOは17カ国を巡ると言っているので、日本だけではなく世界中で注目を集めていると思われます。
そんな中でのターニングポイントとは、ほかの登壇者の方のお話にも出てきたChatGPTのAPIが提供開始されたことだと思います。こちらは3月2日にWhisper APIとともに公開されたのですが、昨日「ChatGPT」でPR TIMESを検索したところ、右側にあるようにもうこのわずかな時間の間に、さまざまな会社がChatGPTを使ったサービスのリリースノートやお知らせを流している状態です。本当に毎日何十個ものChatGPTを使ったサービスができていて非常に盛り上がっています。
開発スピードが最速でなければ生き残れない!?
こういった盛り上がりがある中で、個人開発では課題も出てきています。そのひとつが、ChatGPT APIを使った個人開発が増えすぎて埋もれてしまいつつあるという事態です。QuitaやZennといったエンジニア向けのプラットホームでも、毎日ChatGPTを使った個人開発の記事が多数アップされていますが、最近ではそういった記事も注目されにくくなっています。また、ChatGPT APIも無料ではなく、使用量に応じた従量課金なので利用料というコスト、またインフラ周りでクラウドの費用もかかってきます。なので、一部の有名になった、もしくはマネタイズに成功した一部を除くと、サービス終了を迎える可能性は非常に高くなっていると思います。とくに企業がChatGPTを使ったサービスの提供を始めている中で個人開発を続けるのは、なかなか難しくなってくる可能性はあると考えています。
そのような中でのAIサービスの開発というのは、やはり最速で行うことが非常にポイントとなってきます。その最たる事例と言えるのが、「AIチャットくん」というLINEアカウントです。こちらはChatGPTをLINEで使えるというサービスで、リリースからたった3日でユーザーが累計20万人を超えて、大きな話題を呼びました。ChatGPTのAPI自体は先ほどもお伝えしたとおり2023年3月2日の早朝に発表されています。その後、このアプリがたった半日で開発され、API発表当日に公開されたことが大きな話題を呼び、たった3日で累計ユーザー数20万人を超えました。つまり「AIチャットくん」のポイントは誰よりも早く開発したことです。これが重要で、今、私が調べたところだと友だちの数が115万人を突破していて、本当に一大サービスになっていると感じます。
GASなら半日でLINEボット開発も可能に!?
こういったサービスを爆速で開発するにはどうすればいいかというと、「プログラミング言語やサービスとしてGoogle App Script(GAS)を使うことをお勧めします」というのが今日のメインテーマです。GASの大きなメリットは、やはりまず無料で使えるというところです。クラウドサービスというのは基本的には一定額までは無料で使えるのですが、使い込んでいくうちに有料に切り替わります。ところがGASはどこまで使っても無料なので非常に安心感があります。また、非常にJavaScriptライクで書きやすい言語であるためAPI連携がしやすいです。GAS自体にWebアプリケーションを作れる仕組みも備わっていますので、言語自体の圧倒的難易度の低さと、サーバレスアーキテクチャという特徴から、デプロイまで持っていくのも非常に簡単になっています。したがって、無料で簡単、かつ高速にChatGPTのAPIを扱うことができます。
逆に、一般的なクラウドでサービス開発をするとどうなるかというと、AWSであればEC2を使う、ないしLambdaを使う、もう少し本格的に作るとAuroraなどのDBを使ったり、データを格納する上でS3バケットを使うという選択を取ります。また、Google Cloud Platformであれば、EC2的なGCEだったり、Cloud FunctionsやFirestoreといったアーキテクチャを採用する形になるのですが、サービスを作る前にまずクラウドの準備が必要です。実際にどういう構成にするかというアーキテクチャの設計が必要になるんですね。そこからさらにサービスやアプリを開発するので、どうしても初速が遅くなりがちです。
では一方でGoogle App Scriptの場合はどうかというと、あっという間にプロトタイプを作ることができます。先ほどもお伝えしたとおり、Webアプリケーションを簡単に作れるので、ChatGPTを組み合わせたWebアプリを作ったり、LINEやSlackといったチャットツールにも簡単に連携できますので、チャットボットも簡単に作成できます。GASはGoogleが提供するサービスなので、Googleが持つGmailやGoogleドキュメント、スプレッドシートなどと連携も可能です。たとえばGmailメールを使うことでChatGPTの文章をメールで送ったり、Googleドキュメントで記事を書いてもらうことも簡単にできます。私もLINEアカウントを作ったことがあるんですけども、GASをある程度使ったことがある方であれば、半日程度でChatGPTのLINEボットが作れると思います。
以下、実際に私がGASを使って「GPI応答AIダヴィンチさん」というLINEボットを開発した事例です。OpenAIがChatGPTのAPIを出す前にtext-davinciという言語モデルで作ったものですが、こういったものをすぐ作ったり、その後、恋愛相談ができたらおもしろそう…ということで、今度はChatGPTのAPIを使って作ったりしてました。非常に速く作れたこともあってマネタイズも成功できたので、スピード感というのは非常に大事だと思います。
サービスが成長したらクラウドサービスにスケール
Google App Scriptがすべてにおいて素晴らしいかというとそうではなく、やはり大規模だったり高負荷がかかるようなシステムには向いていません。アクセスが多くなるとページが見られなくなってしまったりしますので、そういった場合にはAWSやAzure、Google Cloud Platformを採用するのがいいのかと思います。リプレースのタイミングは大事ですが、まずはGASを使って爆速開発して、いろいろな人に見られることで認知を獲得できたところで、本格的なクラウドサービスにスケールするのもひとつのやり方ではないかと思います。
最後にまとめですが、2023年はChatGPTを筆頭に生成系AIが大流行していて、おそらくこの流れはこの後も続いていくと思っています。ChatGPTやGPT-4のAPIが使えるようになって個人開発が増えていく中で、開発スピードというものが重要な要素になります。個人開発者が開発スピードを上げるためには、デプロイなどが非常に簡単で、無料で使えるGoogle App Scriptがおすすめです。ちょっとしたサービスでも誰よりも早く作ることができれば、注目を集めて急成長が期待できますので、Google App Scriptに興味を持った方はぜひ使っていただいて、ChatGPTサービスを爆速個人開発していただければと思います。
私の発表は以上となります。皆様、ご静聴ありがとうございました。